白痴日記
白痴



 終わりへと

色々なことが
束になって

私を

終わりへと流していくのです.

もう
すっかり疲れてしまって
流れに身を任せて

終わりへと.
終わりへと.

2002年05月31日(金)



 血玉

ベージュのズボンに血玉.
たくさんたくさん.

体温.
高めの体温.
殺したくて首を絞めた.
溢れる血.



2002年05月30日(木)



 愛していると

愛していると言ってもいい?
刃物片手に.

本当は花でも持って言いたいのだけれど.

最期にはきっとあなたに愛していると
伝えてから.

世界中の誰よりもあなたのことを愛しているわ.
私ほど愛せる人なんていないのだから.

伝えさせてね,届かなくても.

2002年05月29日(水)



 たぶん

死なないだろうとは思うけれど.



2002年05月28日(火)



 安らかに

安らかに
平らかに

あのとき殺してしまえば
幸せだった.



2002年05月26日(日)



 ミドリガメ

餌を食べているだけ.
全てが其れ.

限られた中を泳いで
石の上で蛍光灯に照らされて.

私があげる餌を食べている.
ミドリガメは.
私かもしれない.

2002年05月25日(土)



 夕焼け

夕焼けの長続きする季節になって
ピンクをオレンジを
水色に散らして
白を浮かべて.

去年見上げた私の横には
あの女の子
憎み慈しんだ,悲しい顔を隠した子.

あの子がまた敵になるのかな.
ああ,いっそ三人で溶けてしまえたら.

でも駄目.
やっぱりあの人は
私だけで
殺してしまいたいから.


2002年05月24日(金)



 

私は加害者だと思っている.
そう思った方が楽だから.

被害者になどならない.
被害者になって生きていけない.

でも偽悪でないことは
知ってる.

でも偽善でないことも
知ってる.

私に罰を,痛い痛い罰を.
どうか.


2002年05月23日(木)



 夢の中のセックス

夢の中なりに
感触があって,欲望があって
相手がいるような,いないような.

夢の中で躰が弾んで
夢の中で声をあげて

避妊の心配もなく.

肌の感触だけで
歪む自分の躰だけで
熱だけで.

わたしのセックス.



2002年05月22日(水)



 飛行機の下の雲

全部が空に包まれる飛行機が
とても好きです.

ちまちまと動いている私の上に
広がる空は
とてもとてもきれいで

飛行機に乗り空の隣に行くと
いつも
とても
開き直った気分になるのです.

2002年05月20日(月)



 

病院の薬以外には
生理痛の鎮痛剤と風邪薬ぐらいしか飲みません.

サプリメントなど時々買ってみるのです.
前はひどい貧血なので鉄剤を.
でも飲んでも切っているので効果がわからず.
いつのまにかやめました.

今日,コンビニエンスストアで新たなサプリメントを買いました.
塩分のとりすぎによい,というもの.
ダイエット効果もあるらしい.

毒々しい色のカプセルを4つ飲み干しました.



2002年05月19日(日)



 狂人28号

全てをさらけだして
自分の中では.

表面は静かなまま
微笑など浮かべていれば
さらに上等.

泣くのも,笑うのも,怒るのも
内側の堤防まで.

狂人28号はとても臆病で
謙虚
なのです.



2002年05月18日(土)



 いつかが大嫌い,信じていない

いつか
が大嫌いです,信じていません.

何月に何日に何時に?
いつか
など
私には不要
私は我慢強くないのです.

いつか
に向かっては生きていけない.



2002年05月17日(金)



 

胸が華やぐ
ただただ其れだけで

生きていることが一瞬だけ
嬉しくなる

私の目は永久保存カメラのように
私の皮膚は形状記憶のように

地獄がまた始まったことを
うなじのあたりに
感じながら

いつかの夏の恋の始まりを
思い出す
一瞬のすれ違い,一瞬の視線

その日から私の足はただ
私の心臓はただ

あなたによって
私のために.

愛してる,愛してる

2002年05月16日(木)



 ヒトを殺すこと

昔読んだ本で
何故ヒトを殺してはならないのか
説いたものがあって.

詳しくは忘れてしまったけれど
結局は自分が殺されないため
だったような気がする.

何故ヒトを殺してはならないのか
私には
わからない.
殺さないのは
家族が
可哀想だから.もちろん私の家族.

2002年05月15日(水)



 

私に開いている穴
廃棄物の出る穴
たまに受け入れるものもある穴

そこからヒトが出てくるなんて.
嗚呼.

あの人のコピイは出てこなかったな.
殺すほど,殺されるほど,愛したのに.
愛したのに.

2002年05月14日(火)



 遠く

遠くに逝きたい


2002年05月13日(月)



 ファンタは無果汁なのに葡萄味

たぶん目をつむって飲んだら
砂糖の味しかしない.

そういうの身近にいっぱいあると思う.
目はほら吹きだから
耳は適当だから
鼻はえこひいきだから

ね.

2002年05月12日(日)



 道化師

自分を道化師だと思うほど
私は愚かではないわ.
自分に同情などしないわ.

私は大丈夫
独りで大丈夫.

いつか本当になるわ
本当にするわ.

2002年05月11日(土)



 果てない

果てのないものなど
あるなら

一個一個捨てていったものを
もう一度

でも
私の中に「果て」はあるから
これからも
捨てていくしかないだろう.

いくしかない,ではない.正確には
いくだろう.

2002年05月10日(金)



 

瞼を閉じると,何もなかった
瞼を開けると,失望が笑った

2002年05月09日(木)



 マリア

母なるマリア

私を赦しますか
この足を,泥だらけの足を
そのまま
あなたの元へ行ってもいいですか

あなたの元へ行きたいのです.


2002年05月08日(水)



 腐り,鎖

やっと来た生理
黒ずむ血.

腐りかけの廃棄物.

イブプロフェンの虜.



2002年05月07日(火)



 甘み

たぶん私は甘いのだと思う
無責任に.

口を開けてくれれば
何時でも甘い唾液を流し込んであげよう.

誰にでも,というわけでもないけれど.

甘い唾液の行き先は.

私は知らない.

2002年05月06日(月)



 もたれかかる

人からもたれかかれれるのも
人にもたれかかるのも
怖い.

好き嫌いは別として.

どうにかしてしまっていいのなら
殺してあげる.

終わらすことしか
私にはできないのよ.

できないのよ?

2002年05月05日(日)



 死ぬこと

死ぬことは怖い.
私には怖い.

死ぬことが近い.

2002年05月02日(木)



 魅力

不思議な魅力のある女の子だね
と言われたがっていた.
自分のことが好きで好きで
なぜ周囲が私を
愛したり崇めたりしないのか
不思議だった.
不満だった.

そんな年月
相変わらず自分のことが好きで
でも
人に求めると痛いことを知った.
苦い味も.

ああ,それならば
自分のことを愛し続けようと
日々愛を深めようと

私は一人で立てるから.
立てないときは地面に伏せているから.

魅力とは力なのだと改めて気づく
朝の台所.

2002年05月01日(水)
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