凛とした冷気の中で年の夜の過ぎ行くことの幸を知る
歳の市人込みにいる幸せを感じるために街に出るのか
年の瀬の寺町包む線香の香り静かにこの年思う
煤払いいろいろなことはあったけど来年こそはと心に誓う
来年の課題を抱えとりあえず仕事納めの夜は更け行く
冴え渡る冬の星座の煌きは儚く強く心に残る
華やかな繭玉飾る店先は春へと急ぐ足音がする
ミレナリオ光の門をくぐるとき過去は忘れていこうと思う
ラジオより流れる唄に遠い日の記憶を辿る午後のひととき
柚子の香に忘れてみたきことなどを溶かしてみたい心地続きぬ
遠い日の記憶から出た人のよに思えてならぬ再会もある
突っ張りも張り手もありで満員の電車はまるで異種格闘技
師走はや半ばも過ぎて黄落に乗り遅れてる銀杏を仰ぐ
華やかな笑顔の似合うその人の今宵祥月命日偲ぶ
羽子板を手にする人も少なくてテレビばかりが目立っておりぬ
穏やかな風に包まれ年重ね生きてることの喜びを知る
やむを得ずビタミン剤を買い込んでおとなしくする週末となる
義士もまた企業戦士と思う夜にふと思い出す叔父のひとこと
寒い夜に思い出すこと多くなる年を重ねて想い重ねて
満たされぬ想いもあればルミナリエ白い光を浴びたく思う
初霜の色にも似てるツリーなど眺めて街をぶらぶら歩く
潮風の幽かに届く線路端アロエの花が開いておりぬ
初雪の降りしきる中急ぎたる会社への道白くなりゆく
久しぶり何もしないで一日を終われることの贅沢を知る
氷雨降る割り切れないよな心地するわが胸を打ち静かに続く
更地にて舞う落ち葉など眺めつつ過ぎた昔は綺麗と想う
冬の雨降る街角でふと思う最近少し乾いていたかと
電飾が明るく照らす街角で去年のことをふと思い出す
スケジュール過密な日々を思いつつあと一枚のカレンダー見る
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