バカ恋
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■ 出産ドラマ 〜あとがき〜 ■



シュウはアタシを病院まで送ってから自宅で待機していた。

産まれるまでどのくらいかかるか予測不能だったため、

分娩台にあがるころ電話して呼んでくれる事になっていた。

のに・・・。

あっという間に陣痛が進んでしまい、

結局、シュウとスーさんが病院に来た頃には、

赤ちゃんはすっかりとキレイになって眠っていた。

スーさんは恐る恐る赤ちゃんを抱っこして、

自分に似てるとか、ちっちゃいくせに爪があるとか、

初めて抱いた妹に感激していた。





出産の所要時間はどのくらいかしらねぇ

陣痛監視装置を外していたので本格的な陣痛の時間が判らないらしい。

アタシも眠っていたので詳しい時間が判らない。

こんなに一気に進んだお産は初めてだとか、超安産で驚いたとか、

二人の看護婦さんは興奮していた。








いいのか?

異常分娩でもないし、赤ちゃんもアタシも健康だし、

問題ないからいいのだな。いいのだよ、多分。





やがて、赤ちゃんに初めての授乳をした。

ちっちゃい口で一生懸命に乳首を探す。

まだまだ母乳は出てこなくて、吸われると少し痛かったけど、

この小さくてカワイイ存在が愛しくてたまらなくなった。

ありがとう。産まれてきてくれてありがとう。

出産まで色んな事があり、此れからもきっともっと色んな事があるけど、

でも、頑張ろうと思った。

この子は本当の幸せを運んできてくれると思った。

アタシはまだまだ頑張れる。

いつの日もいつの時代も母は強いのだ。




*************************




怒涛の出産から早二ヶ月。

ベイベは丸々太り、可愛さもアップしてます。

シュウは相変わらず、平気でぺロッと嘘ついたりして、

小さないざこざは絶えませんが、

アタシに何もかもを知られて気が楽になったのか、

お金の話を嫌がらずに聞くようになりました。

今更なんですけどね。

此れからどうなる事やらさっぱり検討もつきませんが、

とりあえず、ガンバローと思ってます。





■ 出産ドラマ 〜出産〜 ■


いつの間にか、またしてもウトウトと眠っていた。

どのくらい経っただろう。

突然、下腹部に激しい痛みを感じて飛び起きた。

何というか、兎に角とてつもない痛みなのだ。

そして何だかイキみたくなって力んでみた。

ズズズズズ・・・

腹の中で何かが下がっていった。

そしてまた激しい痛みが襲ってきたので、

堪らずナースコールをした。


どうしました?


スピーカー越しの看護婦さんの声が聞こえた。


うーまーれーそーおーでーすー


そりゃ大変だと、慌てて駆けつけた看護婦さん二名。

ちょっと内診してみると、なんと赤ちゃんの髪の毛が見えていた。

急いで分娩台へと担ぎ込まれる。


もうすぐ先生来るから、其れまで産むの我慢して!


無茶苦茶な事を言う看護婦さんなのだ。

我慢など出来るわけがないだろーが。

陣痛は既にピークを迎えており、

出来るだけ我慢して我慢して我慢して我慢して、

我慢に我慢をしたのだが、








其の間、たったの壱拾分。何ともいえない、恐ろしい音がした。

看護婦さんは一瞬絶句した後 あらら と呟いた。

間もなく医者が到着して、ようやく赤ちゃんとご対面。

胎盤やら何やらが出てきて、医者が傷口を縫い始めた。

此れがかなり痛い。

長いことチクチクと縫っていたところを見ると、

もしかして・・・






































裂けちゃってた?

ガーン!



つづく




※アホ恋UPしました。




■ 出産ドラマ 〜陣痛〜 ■



日曜日の夜の病院。

早速、陣痛室へと連れて行かれる。

既に、ひとりの妊婦さんが陣痛中で、

おなかにつけた陣痛監視装置から胎児の心音が聞こえていた。

夜勤の看護婦さんに促され、

ピンク色の病院着に着替え、診察台に上がり、

今朝方におしるしが在った事、

陣痛の間隔が壱拾五分おき位になった事などを言い、

其の後、内診を受けた。

内診の結果、子宮口がまだまだ開き切ってないことが判明したのだが、

経産婦と云う事も在り、状況が急変する可能性もあるので、

陣痛室で暫く様子を見ることになった。


このまま陣痛が治まってしまう事もあるし、

朝まで続く事もあります。

明日の朝、もう一度内診をして、その結果によっては

お家に帰って貰う事になるかもしれませんので。



このまま朝まで陣痛なんて耐えられねえ・・・

と思いつつ、規則的にやってくる陣痛の波を乗り越え、

持参したお菓子やジュースを食し、








様子を見に来た看護婦さんの目は明らかに

『お前、家に帰れよ・・・』

と語っており、

隣のベッドにいる妊婦さんの陣痛に苦しむ声が切なかったのだった・・・。





おなかにつけてあった陣痛監視装置が外され、

何かあったらナースコールで呼ぶようにと言われた。

長丁場になると踏んだ看護婦さんは

とにかく、ゆっくり休んで

と言って陣痛室を後にした。




つづく




■ 出産ドラマ 〜おしるし〜 ■


早いもので、あの劇的な出産から既に一ヶ月超。

どおりでベイベもでかくなるわけだ。

蒸し暑くもなるわけだ。

暫くサボってましたが、

毎日せっせとベイベに母乳飲ませてます。

生まれてきたベイベが何時かこの日記を読むかもしれないと、

そんな小さな希望や期待を込めて、

出産時のことについてちょっとだけ記そうかと思います。

いや、内容的に読まれたら困ることだらけだ・・・



**************************



出産予定日まで残すところ数日となった日曜日。

明け方、下腹部に妙な違和感を感じてトイレに行った。

此れが噂の おしるし か…

ピンク色の出血とともに、微妙な子宮の収縮も始まり、

いよいよ出産へのクライマックス!!

かと思ったけど、此れがなかなかうまくはいかないのだ。





丁度其の日は、シュウの母上や叔母さんが揃って家に集まって、

此れからについて相談する事になっていた。

今のアタシの状態だと、相談なんて無理。

なので、アタシはシュウの母上や叔母さんに電話を入れ、

ひとまず延期する事した。





日曜日も仕事を始めたシュウは、

陣痛が始まったアタシを気遣って休もうとしていたが、

陣痛の間隔がまだ長かったり、痛みも少なかったりしたので、

出産まではまだまだ時間がかかりそうだからと、

シュウを仕事に行かせた。









けど、いつまで隠し通すつもりなのか知りたかったし、

家に居られても文句を言いたくなるだけなので、

とりあえず、家から追い出した。と言ったほうが正しい。





そして時間は過ぎ、

夜の九時を廻った頃、シュウが帰宅し、

陣痛の間隔も壱拾五分程度になってきたので、

入院の準備を持って病院へ向かった。




つづく



○○○ついしん○○○

「アホ恋」更新しました。



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