藤野恵美さんの講演会に行ってきました。 大阪市立中央図書館にて。
************ 藤野:小さい頃から本好きで、そのおかげで成績が良かったです。 高校は進学校に行ったのですが、「偏差値のいい大学に入る」っていう価値観がピンと来なくて。 中島らもさんの本を読んだら「灘高校から大阪芸大に行った」って書いてあったので、私も大阪芸大に行きました。 文芸コースっていう、小説を書く学科に通いました。 眉村卓先生の授業で、週一回、短編を書くのに苦労しました。
それまで、私は読書感想文や詩などの賞を総なめにしていて、 「自分は天才」と思っていたんですが。 眉村先生に出会って、本当の天才とはこういう人か! と思いました。 眉村先生は「一日一短編を書く」という生活を何年も続けてらしたんですよ。 (「僕と妻の1778の物語」というタイトルで、草薙君と竹内結子さんで映画化されてます)
大学時代に、文章修行のために、食べ歩き感想のHPを開設したら、 ライター仕事の依頼が来て、卒業後はグルメライターになりました。
20代半ば頃に、大学の同級生が小説家になりました。 ライターの仕事は、雑誌等に掲載されることはあっても、本にはならないので、作家っていいなぁと羨ましくなりました。
公募ガイドを買って読んでみたら、新人賞って250枚以上が多くて、長いんですよね。 ところが、私はそれまで短編しか書いたことなかったんです。 そこで、枚数の短い児童文学の賞「福島正実記念SF童話賞」に応募しました。 結果、佳作を受賞。 交通費は出ないのですが、東京の授賞式に行きました。 そこで編集さんに「児童文学はやりがいあるよ。子どもが最初に出会う本が、自分の本かもしれない! 本好きになるかどうかそれで決まるんだよ」と言われ、心打たれました。
次も児童文学の賞に応募したら、大賞を受賞して本になりました。 イラストレーターの候補も、出版社からサンプルが送られてきて、選ぶことができました。 このデビュー作「ねこまた妖怪伝」がヒット。 講談社から依頼が来て、青い鳥文庫でシリーズを書きました。 青い鳥文庫はシビアで、人気なかったら5巻以下で打ち切りですが、なんとか5巻以上出せました。
青い鳥文庫で書いてたのはミステリーで、それを見た東京創元社から依頼が来て「ハルさん」という一般ミステリーを書きました。
小説を書いていて辛いことはないですが、独身時代は仕事のし過ぎで体を壊しました。 趣味がなくて、休日もなく、徹夜もしながらずーっと小説を書いてたんですよ。
ただ、ひとつ辛かったのは、大学時代の友人に絶交されてしまったことですね。
友人は、勤め先をやめて、執筆1本に絞りましたが、応募した小説が落選しました。 大学時代の友人達で集まった時に「締め切りで寝てない」という話をすると、 友人は「自慢するな!」と怒り出したんです。 その後も「落ちても、また応募すればいいよ」と励まし続けていたら、絶交されたんです。 私自身も、先にデビューした友人から話を聞いて、作家になろうと思ったので、 「プロの話は絶対、役に立つ」と思っていたのですが。
小説は「泣けるのが偉い」って言われがちですけど、納得がいきません。 次回は、笑えるものが書きたいです。
●お客さんから質問●
Q.編集さんの指示で、納得がいかないことはありますか? A.怪談アンソロジーで「とびきり怖い話を書いて」と依頼されたので書いたら「マイルドにして」と直しが入りました。理不尽!
Q.1日の執筆時間は? A.息子が小学4年生なので、今は1〜3時くらいまで執筆してます。土日は休みです。
Q.1日、何枚くらいかけますか? A.今、webで連載している「きみの傷跡」は1週間で30枚です。
Q.執筆に使うソフトと、国語辞書を教えてください。 A.MacのiText、新明解国語辞典です。
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