三崎綾+☆ 綾 姫 ☆の不定期日記

☆ 綾 姫 ☆

三崎綾と言う作家がうまれた経緯
2011年02月27日(日)
HPに自己主張を書きまくって居たら、
それをたまたま見た出版社社長に声をかけられて書籍化された異色作家の日記です。

自分が命の危機にさらされ、同じ苦しみを味わう人が1人でも減る様に、
自己主張をインターネットで書こうと決めました。

暗いトンネルは、何時までも続かない。
少しでも歩いて居れば、何時か必ず光がさす場所に出られる。

そう思いサイト名を「光を探して」と付けました。

どうやったら、自己主張が書けるのか。どうやったら、多くの人に読んで貰えるのか。

なにも解らない状態の中、手探りで必死で調べまくって、
ドメインを取って、サーバーを借りて、
初心者向けのHTML講座サイトでタグを覚え、
手打ちタグで少しずつサイトを大きくして行きました。
今みたいに、日記と言うものが無かった。

HTMLなんか全く解らなかった。ホームページビルダーも知らなかった。
ただ書きたかった。


自分が生きてきた証として。
そして、辛いのは貴方だけじゃないよ。


それを、たまたま見た出版社社長に声をかけられて、
あっと言う間に書籍化されました。

自分が書いた物が書籍化され、書店に並ぶ10日ほど前に、
自宅に出版社から本が届きました。

箱を開けて、強烈なインクの匂いのする紙の下から、
私が書いた書籍が顔を出しました。


手直しも加筆もほとんど無く、苦労せずに書籍化された私の自己主張。
なのに、何故か大泣きしました。
嬉しいのか悲しいのかなんなのか解らない。
ただただ涙が止まりませんでした。


書籍化された事で、色んな弊害も出たし誹謗中傷も受けたけど、
私は自分の書いた書籍に誇りを持って居ます。


あやさんに出会えて良かった。
この本に出会えて良かった。
もう1度頑張って生きてみます。


そういうメールを貰うたびに、
書いて良かった。書籍化して良かった。こっちこそありがとう。読んでくれて。
顔も知らない読者さんに、心の中で何度も頭を下げた。



三崎綾と言う名前は、
あたしのハンドルネームの☆ 綾 姫 ☆と、娘の名前未来を引っ付けた。
未来と書いて「みさき」と読む娘の名前。
そして、仲間から呼ばれて居た「綾ちゃん」と言う慣れ親しんだ名前。
それを引っ付けて三崎綾がうまれた。


私が今まで生きて来れたのは、
書籍に出てくる「大切な仲間3人」と「親友」が居たから。


その親友は、6年前の寒い夜、電車に飛び込んで自殺をしました。
一生忘れない。親友が飛び込んだ次の日、線路で見た光景だけは。
左手はちぎれ、肉片が線路の石にこびりつき、
歯が線路の石の中に埋まってた。靴下や、化粧品、車の鍵、髪の毛も。
電車が走る線路横で、泣きながら遺品や肉片拾ったあの日を。
このまま立ってたら、おかんとこ行けるなって思いながら、
線路内でどろだらけになりながら遺品を集めたあの日を。
線路に行った瞬間「あやちゃん」って呼んだおかんのあの声を。

救えなかった悔しさ。親友を失った悲しさや寂しさ。
親友を追いつめた奴らへの憎しみ。私は一生忘れない。

私は、親友と言う名の大切な人を2人失いました。
1人は自殺。1人は悪性スキルス胃ガン。

年間3万人、この国で自殺者が出ている事実。
医療ミスをミスと認めない医者。裁判しても勝てない現実。
医療ミスを公表すると、治療すら受けられないこの国は間違ってる。

人を平気で傷つけ殺す。痛みを知らない若者。
悪い事をしても謝らない、私利私欲しか考えない政治家。
痛みも知らないに、偉そうにコメントしてるコメンテーター。

年間3万人の人が自殺をすれば、
その陰でそれだけの人が、心に傷をつけ泣いて居るか。

私利私欲の為に、無駄な税金を使う金があるなら、
もっと弱者救済に何故お金を使えないのだろう。


痛みを知ると、人に優しくなれる。
そしたら、人を死においやる事なんか出来ない。
弱者切り捨てなんか出来ない。
政治家は本当の痛みを知ってるのか。

医者は命を救うのが仕事。
なのに私はくだらない投薬ミスで殺されそうになった。
明らかな投薬ミスなのに、医者は医療ミスだと認めなかった。
市も県も国も弁護士も助けてはくれなかった。
関わり合いたくない。態度で解った。



親友を自殺で失って、三崎綾も居なくなれば良い。
そしてネットから消えた。

けど、このままだったらあたしらしくない。
どんな逆境に居ても、必死で這い上がったのに、
此処で消えたら、あたしらしくない。親友に合わせる顔がない。仲間にも。


必死でネットが出来る所まで這い上がって来ました。
誰かが言わなければ。。。何も変わらない!


知って欲しい。
人は払った犠牲の分しか吸収できない事を。
辛い思いをした分しか、痛みが解らない事を。
無駄な命なんて無い事を。
痛みを知らない政治家達が国を支配して居る以上、この国に未来は無い。
自分さえ良かったらそれで良いって考えが絶対に蔓延するだろう。



三崎綾として、何が出来るのか考える。

弱者救済 医療ミス撲滅 自殺撲滅 


私1人が、こんな事を考えても言っても、何も変わらないかもしれない。
1人でも言い続ければ、何かが変わるかも知れない。
やってみないと解らないなら、あたしは言い続けたい。




弱者救済 医療ミス撲滅 自殺撲滅 

やらずに後悔するなら、やって後悔した方が良い。
小さな1歩は、きっと有意義なものになると信じて。


あやちゃんが出した本は、ここから買えるので、よかったら読んでくださいねー☆
ふぅ・・頑張ったじょ^^w
2011年02月26日(土)
昨日は、ほぼ徹夜で修正加筆してました。
あたし、こんなに書いてたのかーって感じと、やっと半分終わったかーって感じです。
書くよりも、修正の方がめんどくさいのよ;;
しかも、親友の事を書いてると、ドカーンと落ちるしね。
どこを修正したら良いのか、どこを書けば良いのかわからなくなる。
自分で書いた文章なのに、自分で整理出来ないってどーなんよ;
好きなゲームをやめて、せっせと作業してます。出来あがるまで頑張る^^w
1回やめちゃうと、もう書けなくなるしね。

吉田拓郎&中島みゆき:永遠の嘘をついてくれ (つま恋2006)
これを何度も聞きながら書いてます。あたしの愛と似てる。
結局、結ばれる事はないけど、お互い愛し合ってる。そんな歌。
詩がめちゃ悲しいんだけど、歌にするとまだ聴けるかな。
こんな詩が書ける作家になりたい。人の心を揺さぶる物書きになりたい。
もう1度、長編書いてみようかなって思ってます。
今のあたしに書けるかなぁって感じもするけど!!

あたし、フィクションが懸けない。ノンフィクションしか書けない。
整理して、もう1回まじめに向き合ってみるかな。

あやちゃんが出した本は、ここから買えるので、よかったら読んでくださいねー☆
日記加筆修正中
2011年02月24日(木)
日記には6年間抜けてる部分があります。
親友の自殺、精神病の悪化などで、日記が書けませんでした。
また、日記を移転してた時期もあります。

全部バックアップがあるので、ちまちまと修正加筆中です。
が、あまりにも辛い日記は、出すのはやめときます。
精神性疾患を持ってる人にはつらすぎる日記になるから。
あたし自身、読んでて辛い。

今、精神的に安定してるから、過去と向き合えるけど、
ちょっと落ちてる時は、絶対無理(汗)

今は落ちる訳には行かない。
膨大な日記のバックアップを修理して、短編小説の書きかけを書いてしまって、
選挙も頑張りたいし!

☆ 綾 姫 ☆ としても、三崎綾としても、向き合うのは辛い。
辛いけど、向き合わないと何も出来ないし、話が前に進まない。

最近は1人でコンビニに行ったり、自販機にジュース買いに行ったり、
学会の会合に行ったり選挙活動したりと、
ちょこちょこと家から出れるようになってきました☆
このまま、秋までもってくれたらなーって感じ。秋からは絶対落ちる(泣)
今の難点はお風呂に1人で入れない事かな;
お風呂はいらなくても、死なへんわーと開き直るようになってきた。
うん!いい傾向だー☆

前は、何でお風呂くらいはいれへんのん?って自分責めてた。
なにか起きると、下向いて薬飲んで逃げてた。
1歩進んで1歩下がるしかできへんけど、それでも確実な1歩にしたい。
そのうち、2歩進めるようになるやろう(希望的観測)
なるようにしたい!

日記は日にちが、バラバラのとこがあるけど、ご了承くださいまし☆

と言う事で今はこんな感じです。あやちゃんがんばるでー♪


あやちゃんが出した本は、ここから買えるので、よかったら読んでくださいねー☆
感想メールとか大歓迎・・・あ・・・メールアイコンまだついてなかったw
今、この日記は工事中なので、ちょいとお待ちを^^
洋服選び
2011年02月23日(水)
娘の卒業式の洋服を買うため、あちこち走り回って来ました。
小学校6年生で、2L着るんだよーもう服選びが大変;

あたしは、女の子らしいピンク系の服を着せたかったんだけど、
娘は黒系の服が好き。
店3軒回って、やっと服を見つけて着ました。
2Lってもう・・・どれだけでかいねんて感じでしょ;
6時間くらいかかって、やっと揃った。
上着・下着・スカート・靴下・・・はぅ;

もうちょっとしたら、中学校の制服が届くでしょ〜
カバンとか買いに行かないとだし、なんぼかかんねん!;;

手がかからなくなったら、お金がかかるってほんまやった。
3年たったら、高校のお金がかかるでしょ〜

中学校は、お弁当作って持たせないとやし、その分手間もかかる。
この間まで、ママーって泣いてた子供が、もう中学生だよ。
年月って早いね。ほんと。
あたし、ほとんど寝たきりで、育児してなかった。
娘は勝手に大きくなった感じ。
何時の間に、こんな大きくなったんやろ。
もうちょっとすれば楽になる。あたしも頑張ろう!




大量に飲んでた精神科の薬も、ちょっと減らすことが出来て楽になった。
それでも1日20錠は飲んでるかな。もっとかな。
薬飲んで寝てる時、娘も旦那も絶対あたしをおこさない。
それが習慣になってる我が家。
あたしが寝てると、娘は自分で作れるものを作って食べる。
簡単に作れるものを、いつも冷蔵庫に入れておくんだけどね♪
だから、しんどくなったら薬を飲んで寝る。
そうやって6年間やってきて、気がついたら卒業。早いなー☆
もう手はかからないだろうな。

医療ミスの後、娘の卒業式なんか見れないって思ってた。
そこまで生きれないだろうなって。でも生きれた。
がんばったよーあたし。
何度死にたいって思った事か。それでも頑張ったよ。
今は、自分を褒めてあげたい。よく頑張ったねって☆
誰かのために出来る事
2011年02月22日(火)
今まで隠してたけど、あたし学会員やねん。
学会員って言うと、毛嫌いされた事があったから、今まで黙ってた。
と言っても、あたし学会活動ほとんどしてなかった。
あたし自身、学会嫌いやった。

あたしが、学会活動を始めたのは、親友の死以降やった。
親友も学会員で、学会葬で送ったから。
親友が死んだ後、毎日学会員の人が来て、親友のために祈ってくれた。
毎日毎日・・・面識のない親友のために祈ってくれた。
あたし、毎日来てくれる学会員さんに何もお返し出来なかった。

今あたしは学会員として選挙活動してる。
それは、この間会った市会議員を、めちゃ気に入ったから。
初対面のあたしの話を真剣に聞いてくれて、メモまでしてた。
あたしが医療ミスにあったときに、この市会議員にあってたら、
全く違う人生になってただろうと思えた。だから、応援してあげたくなった。
この市会議員、マジで良い人やねんって思えた。
選挙なんて、誰が当選しても何も変わらないやろう!って行ってなかった。
でも文句だけ言って選挙行かないのは最悪だよ。あたし最悪だった。

自分の1票が、世間の流れを変えるかも知れないんだよ。
それってすごくない?
自分の行動が、誰かのためになるなら、あたしはやろうと思う。
あたしと同じ思いをする人が、一人でも減るように頑張りたい。
もうあんな思いするのは嫌や!

今、あたしは福祉を受けてる。自立支援精神通院ってやつね。
これも学会員さんから、民生委員さんを紹介して貰って、
こんなのがあるって知ったわけ。病院代が3割が1割になる。
随分と安くなるよ。病院代。
あたしは、福祉に力をそそいでくれる、党に投票したい。
弱者切捨てみたいな事をする党には、投票したくない。
自分の目で、ちゃんと見て決める。
自分の1票が誰かのためになるなら、みんな選挙にいきましょう☆
過去
2011年02月17日(木)
約6年分の日記がなくなっています。
読むのも辛い親友の自殺。その頃の日記が削除されています。
バックアップはあるけど、その頃の事は書かないと思います。
悲しみと憎しみしかうまないから・・・

事故から何年経ったんやろ?
娘が2歳くらいだったから、もう10年くらいになるのかな。

ずっと忘れられなかった。ずっと引きずって生きてる。
前向きたいけど、向けなかった。悲しみしか残らなかった。
親友をすくえなかった悔しさと無念。
あたし、めちゃ前向きな人やったのに、何で後ろしか向けないんだろう。
自分を責めた。ますます後ろ向きになった。
もうあかんわ・・・死にたいって。

子供を殺して、あたしも死のうかと考えた時期もあった。
けどそれもできなかった。
ただ流れていく日々に身をゆだねる事しか出来ないもあった。
なんであたし生きてるん?

流される日々に気がつけば、来年は娘が中学生になる。
親友が死んだ時、娘はまだ幼稚園やった。
それが中学生だよ。年月が流れるのってはやいね。
家事もしてくれるし、ご飯も自分で作って食べる。
親友の育児を見てたから、あたしは育児には困らなかった。

親友の子供が結婚して、子供が出来てる。
もうちょっと生きてれば、おばあちゃんだったんだよ!
なんで先に逝っちゃったんだよ;あたしも連れてって欲しかったよ;
後、少しがんばれば、楽になったのに・・・
そう、親友の写真に話しかけながら自分に言い聞かせてる。


ここまで、がんばったから、あたし、もうちょっとがんばるよ!
相変わらず大量の薬に追いかけられてるけど、それでもがんばるよ。
心の病気の人にがんばれって言うのは禁句。
あたし自身、自分に頑張れって言うのは辛い。
けどあたし1歩前にあるけた。あたしまだまだ頑張る。
自分のためじゃない。同じ思いをしてる誰かのために。


今、日記をカズタマイズしています。その内メールアイコンもつけます。
一緒に泣きましょう。そして1歩でも良い。前に進みましょう。
あたしも頑張るよ^^w
永遠の嘘をついてくれ
2011年02月13日(日)
久しぶりに「エンピツ」に帰ってきたら、応援メールがいっぱいきていました。
でも、10年経っても、あたしの心は張り裂けたままです。

この10年、色んな事がありました。
親友が電車に飛び込んで自殺しました。あたしが1番大事な人を失いました。
心に大きな穴が空いて埋める事が出来ません。

ブログも2個書いたけど、結局削除しました。
もうネットから消えようと思いました。
でも毎日書かず、何かあった時だけネットに出てこようかな・・・って感じです。

沢山の方に、あたしの本を読んでもらって有難うございます。
事実を書きたくて、あたしと同じ思いをする人が1人でも減るように。

あたしは生きてるから苦しく辛い。でも生きれなかった人もいっぱいいる。
声を上げたくても、何処に言えば良いのかわからない人もいっぱいいる。あたしもそうだった。


昨日、ふとしたことで、市会議員にあった。
どこにでも居る、ふつーのおばちゃんやった。
親身になってきいてくれた。医療ミスと言う心の傷が随分楽になった。
市会議員は簡単にあえる。辛い時、悲しい時、市会議員に相談すればいいねん。

あたしが、事故にあった時、心が晴れるような相談できる人がいなかった。
10年たって、やっと大声で叫べる人に出会えた。
けど、10年は長すぎる・・・
こんな時こうすれば良いんだよって、あの当時教えてもらってれば
あたしは、こんな苦しまなくていいんだよ!って自分に言ってあげれたのに;;




昔、仲間が歌ってくれた、吉田拓郎&中島みゆき:永遠の嘘をついてくれ (つま恋2006)
聞いた当時は、意味が分からなかった。数年経ってやっとこの歌の意味が分かった。
ありがとう。
あたしは、やっぱり過去を捨てられない。
思い出をあたしから消してしまったら、あたしがあたしじゃなくなる。
あたしのために歌ってくれてありがとう。
あたし・・・心を大事にしながら、生きていくよ。
ずっと貴方を愛してる 詩 part3
2011年02月12日(土)
命をかけて愛した人へ

この4年ありがとう 一言書いた手紙を残し
貴方が去って行ったあの日から 私の心は止まったまま
手紙の事も知らずに 私は
貴方の匂いにつつまれ 安らかに眠ってた


貴方が来たと解る度 飛んで出た玄関先で
何時も 微笑んでくれたわ
辛い顔 苦しい顔 見せなかった貴方に
どれだけ救われてたのか いなくなって気が付いた
大切な宝物を失ってしまった 命より大切な宝物

言葉に出来ない 両手いっぱいの感謝や
言葉に出来ない 深い愛が
今も 私の所に 残ったまま

貴方がいなくなって 2ヶ月後 
私に届いた新しい宝物は 小さな命

自信が 無かった 
貴方がくれた宝物 大切に育てる 自信が

「自分の道は自分で決めなさい」
そう言い残して 何処かに行ってしまった 貴方

不安に振るえた夜 
消えてしまいたい朝
涙零した 深夜
そんな時 見ていた 2人の思い出の 微笑む写真

そして 決めた 自分の道
この手に 抱いた 貴方がくれた 宝物


探して 見つけた 光 それは新しい命をくれた
沢山の不安
心の暗闇
大きな愛
そして 私の手の中に 暖かな温もり 愛の証

凍えそうな心 必死に隠し 子供に微笑む
明日 命の火が消えるかも知れない そんな時
貴方の足跡 見つけて 
声がかれるほど 大声で泣いた

「ママ大丈夫?」 「痛くないでしょ?」
微笑む 宝物の後ろに見えた 微笑む貴方が

この宝物がある限り
穏やかに 暮らして行ける
宝物の後ろに 貴方が微笑んでくれている

振り向かない
迷わない
この地球の何処かで
宝物と重なる 貴方の微笑み

私を残して 消えた宝物は
新しい命を残して行ってくれた
もう それだけで十分だから

どんなに 逆境にいても
どんなに 困難が襲って来ても
どんなに 辛くても
どんなに 悲しくても・・・
光り輝く未来を手に入れてね

明日 命の終わりが来ても
私は 貴方を忘れない
貴方にも 私を 忘れて欲しくない
1つの時代だったと あれはあれで良かったと
1つの命を 地獄から 救った 時代だったと
憎んでも良い 恨んでも良い
忘れないで 貴方が救った命があることを
この地球の何処かで
貴方を見守る 命が あることを


ありがとう 命をかけて愛した人
命をかけて愛してる人





探しもの

貴方が近づいてくると
私の鼓動が高鳴った

貴方が触れると
全身の力が音を立てて崩れた

貴方が囁くと
心が乱れた

そして 私では無くなった


どんな 飾り立てた言葉より
どんな 優しい言葉より
どんな 眼差しより
欲しいものがそこにあった

手を伸ばせば
すぐ側にあったのに
今は もう気配もしない

欲しい時に あったものが
求めても なくなった

貴方の匂い 
貴方の吐息
貴方の・・・
何も残っていない

私は 探し続ける
私の 探しもの




溢れる 想い

どんな 言葉にしたら
貴方に この想い 届くの?

どれだけ 祈ったら
貴方に この望み 届くの?

どれだけ 考えたら
私の 叶いは 届くの?

どんなに 愛してるか
どうしたら 伝わるの?

この 想い
どうしたら 受け止めてくれるの?

凍えそうな 心を
どうしたら 暖めてくれるの?

恐怖に 振るえる身体を
どうしたら 抱きしめてくれるの?

どうしたら・・・
どうすれば・・・
この溢れる 想い 届くの?




長い指

ベランダの窓を開け
貴方が飛び込んで来た あの日
私だけじゃ無いんだと
確信した あの夜

私に触れ 私を抱きしめ
貴方の心が 悲鳴を上げた
私の顔に落ちた 涙の滴

辛いのは 私だけじゃない
苦しいのは 私だけじゃない
無言の貴方の涙が
私に教えてくれた

そのまま 夢の中に落ちていれば
私達は 変わっていたの?
そのまま 貴方を受け入れていたら
私達に 未来はあったの?

そのまま 貴方が抱いてくれてたら
今でも 同じ時を重ねていたの?

夢の中に出て来て
私を 抱く貴方

どうか 聞かせて
どうか 感じさせて
貴方の 気配を 

その長い指で




記憶

愛した貴方の記憶が

愛されて居た時の記憶が

どんどん失われて行く


時間が忘れさせるのではなく

心は憶えて居たいのに

病で貴方を忘れて行く


だんだんと失われていく

愛した記憶

愛された記憶


なくしたくない心が

失いたくない心が

病で消えていってしまう


怖い

苦しい

辛い

私から奪わないで

生きる支えなのに

楽しい記憶

嬉しい記憶


助けて

助けて・・・


つながらなくなった 私の記憶

私の・・・







私はどうして こんな病気に なってしまったんだろう

微笑む事も出来ない

大声で笑うことも無い

感情が抜け殻になってしまった



どうして生きて居るんだろう

どうして死なないんだろう

生きる資格があるのだろうか?

傷つけて 傷ついて 人を恨んで 過去を恨んで 幸せな時を忘れ

それで 生きる意味があるのだろうか?


もしも 聞くことが出来たら 何て答えるんだろう

死んでくれって 言われるのかな


私は心の病

抜け殻の私




暖かさ


深夜 頬を伝う涙と

右側に誰か居る気配で目が覚めた

そこには 貴方の眼差しがあった


朦朧とした意識の中で、

貴方は、あの時と変わらない暖かさを

優しさと温もりを 残して消えて行った


逢いたい・・・逢いたい・・・逢いたい・・・

今も残る右手の暖かさ


まだ・・・



あれから・・・

あれから

どれだけの月日が流れて

私は何を失ったのだろう。



あの時 貴方が残したメッセージを

大切に 大切に 閉まって置いた


どうして 忘れようとしている頃に 貴方の気配を 感じてしまうのだろう

私が 私の心が 私の身体が 貴方を探しているから?

貴方が 私を 心配してくれて居るから?

ずっと ずっと 探し続けて 私は生きて行くの?


あれから・・・探し続けてた

ずっと ずっと 探し続けてたの


貴方を・・・
ずっと貴方を愛してる 詩 part2
2011年02月11日(金)
帰る家

その出会いは 突然で
その出会いは 奇跡で
その出会いは 光に満ち
心がいっぱいになった あの日

心をうつ 感動
振るえるほどの 優しさ
嬉し涙を くれた貴方
沢山の光を くれた貴方が
自分の光を手に入れた

人に与え続けて来た 優しさ
人に与え続けてきた 感動
人に与え続けて来た 安らぎ

人の為に 尽くし続け
人の為に 傷ついて
人の為に 泣いていた貴方が
自分の光を手に入れた

これからも 変わらない貴方でいて
これからも 変わらない場所でいて
その場所は 仲間の集まる家だから
その場所は 仲間みんなの 心の拠り所

仲間みんなの 帰る家
疲れた時に 帰る家
お帰りの 明るい声が 聞こえる家
そこは 仲間みんなの 帰る家




もしも・・・

あの時 違う時代で
あの時 別の人生を歩いていたら
あの時 私の生きていた場所が
あの時 貴方と同じ世界で
あの時 貴方と同じ場所にいたら
貴方と 離れなかった

もしも
私が 同じ時代に
私が 同じ環境で
私が 同じくらいに
私が 産まれていたら
貴方と 離れなかった

生まれ変わっても
そばにいられなくても
どんな辛いことがあっても
同じ時間にいられなくても
貴方の気配がなくなっても
命が消えても
貴方を 愛しているわ

もしも
生まれ変わって 出会えたなら
今度は 私だけを 見つめていてね

もしも
生まれ変わって 出会えたなら
もう 二度と 離れないでね

もしも・・・



眼差し

気がつくと
何時も見つめている
写真がある

気がつくと
何時も見つめている
手紙がある

この4年間ありがとう
その一言書いて
去って行った
貴方の手紙

色褪せてしまった
貴方の手紙

心が荒れて
どうしようも無い
寂しくて
悲しくて
辛くて
苦しくて
眠れない

どんな薬より
どんな言葉より
どんなプレゼントより
貴方の
眼差しが欲しい

きっと貴方の眼差しが
私の疲れた心を
癒してくれる

私の心を
解き放してくれる

本当に
疲れているの

本当に
ぼろぼろなの

御願い
私に
貴方の眼差しを下さい
貴方の眼差しを・・・




たった一言

返事もくれない貴方へ
毎日 毎日
メールを 書き続けて居ました

返事が来ないと
わかっていても
毎日 毎日
メールを 書き続けて居ました

日記を書くように
独り言のように
私の気持ちを
知って貰う為に・・・

読んでくれましたか?
私を少しでも
思い出して くれましたか?

一言で良いから
お返事下さい

読んだよ
その一言で良いから
その一言が欲しいから

その一言が・・・



お元気ですか?

お元気ですか?
私はそれなりに元気です
貴方は元気ですか?

・・・・・

私の存在が
今も 貴方を
苦しめて居ますか?

・・・・・

何を聞いても
貴方は答えては
くれないのでしょうね

お元気ですか?
無理をしないで
お仕事頑張って下さいね

私は
それなりに元気です
私のことを
今も 思い出してくれますか?

・・・・・

お元気ですか?
貴方の心は
お元気ですか?



心の翼

もしも 私に 翼があれば
いますぐ 貴方のもとに 飛んで行けるのに

もしも 私に 自由が あれば
いますぐ 貴方のもとに 飛んで行けるのに

もしも 私の 心に 翼があれば
いますぐ 貴方の心の中に 飛んで行けるのに


そしたら 貴方の心が わかるのに

私に 翼があれば 貴方の 顔が 見れるのに

私に 翼があれば
私に 翼があれば

天使になれば 翼は 手に入れられるのかな

翼が 欲しい 翼を 下さい・・・
ずっと貴方を愛してる 詩 part1
2011年02月10日(木)


貴方との 思い出がある
あの海へ 行きました

こんな未来になれば良いねと
話しあった
あの海へ 行きました

あの時
そばにいてくれた貴方は
今は もういない

私に
あの未来を
話してくれた貴方は
もう私のそばにはいない

こんな未来になれば良いねと
また私に話してくれる?

私はずっと待ってるのに
貴方は
未来の話を二度と
してくれなくなった

こんな未来になれば良いのに
もう一度
その声が聞きたくて
あの海へ 行きました

ひとりぼっちの寂しい海
貴方の声を聞きたくて
あの海へ あの砂浜へ

あの海で 待っていたら
貴方は 逢いに 来てくれますか?

あの海で・・・





今まで 生きてきて
心も 身体も 傷だらけ
今も 心は 傷だらけ

身体の傷は 
時が 解決してくれるけど
心の傷は
誰が 治してくれるのでしょう

私の 手首の傷は
時が 薄くしてくれました
心の傷は
どうすれば治るのでしょう

貴方なら
貴方になら
治して貰える
そんな気がします

どんな薬より
どんな言葉より
貴方の心が
私の傷を治してくれるでしょう

傷だらけの人生
身体も 心も 傷だらけ

治す 薬を知りませんか?
隠す 薬では無く
治す 薬です

私の心の傷は
何時になったら
癒えるのですか?

何時になったら
この傷が 無くなるのですか?

心の 傷が・・・




嘘吐き


人を傷つけると 自分も傷つくと 知りました

傷つけた時に 気がつかなくても

その見返りが 必ずやって来る事を 知りました

私は 貴方を 傷つけてしまいました

だから 私は 今も 苦しんでるのでしょうか?

貴方に甘え 貴方にすがり 貴方を 傷つけてしまいました

いいえ

貴方が傷ついて行くのを 私は知って居たのかも知れません

その事実を認めたくなかった ただ、それだけなのかも知れません

私は 嘘吐きです

貴方に対して 私は 嘘吐きでした

ごめんなさい

今 傷つけられて居るのは そのしっぺ返しですね

知らない顔して 傷つけた居た 貴方からのしっぺ返し

私は 嘘吐き




信じられなくなった貴方への手紙

これまで付き合って来て 私は貴方を嫌いになった事は無かった

心の底から信じて居た

貴方は私の宝物だった


今は悲しいけど 貴方を信じる事が出来ない

悲しいけど現実 苦しいけど事実

いつの間にか 隙間が出来て居たのね 私達の間に

その隙間は 毎日少しずつ大きくなって

もう 修復不可能になってしまった

今までの年月が すべて嘘になってしまった


信じてた 心の底から信じてた

こんな悲しい思いをするなんて夢にも思って無かった


貴方の口から一言言って欲しかった

貴方から伝えて欲しかった

もう終わりね 私達の腐れ縁

さようなら 貴方

心から信じてた 貴方

もう2度と あの時には戻れない

あの幸せだった 時代には戻れない


ありがとう

さようなら

信じられなくなった 貴方への 手紙




夢の続き

詩を書くことで

夢の続きを

探して居たのかも知れない


詩を書くことで

思い出を

美しく

彩りたかったのかも知れない


現実は

そんなに

簡単なものじゃ無くて

もっと もっと

柵だらけで

それでも

夢を 見ていたかった

そうなのかも知れない


現実は

もっと残酷で

現実は

もっと悲しくて

現実逃避していたのかも知れない


せめて この中では

夢の続きを

見させて欲しい

愛されて居た

あの時代へと

戻っていたい


詩を書いている

その間だけは

夢の続きを

見させて下さい

夢の続きを・・・




暗闇の向こうに

暗闇の向こうに 一筋の光が見えた

暗闇の中で もがき苦しんで居た時 光を投げかけてくれた


未来への希望も 生きる力も すべてを奪って行った暗黒の世界

その時 出会った 1本の光の道

消えそうで 消えない 細いけど 力強い 光の道


この道の向こうには 何があるのか?


必死で歩いた 険しい光の道

そして 暗黒の世界が 光に満ちた


今は暗闇でも 光の道は誰にでもあるから

探し続けて

求め続けて

必ず見つかる

暗闇の向こうに

光輝く 

明るい未来が


暗闇の向こうには・・・



許せない恨み

貴方を許さない

何があっても絶対に許さない

私から 大切なものを奪った貴方を 私は決して許さない

私の宝物 大切な宝物を 私から取り上げた貴方を 私は決して許さない

私が自殺したら それは貴方のせいだから

私は貴方を許さない 死んでも 許さない恨み



小さな願い

夜空を見上げた 星が輝いた

私の命が終わった後 あの星のように

輝き続けることが 出来るのだろうか

綺麗だねって言われるような星になれるのだろうか


私の命が終わった後

星を見上げて 私を思いだしてくれる人が居るのだろうか


誰のじゃまもしないで 自己主張する 光り輝く星達よ

どうか私を 貴方達の所へ連れて行って

そして 今度、生まれ変わったら 太陽でうまれたい


みんなの心に光をあたえる輝きになりたい

それが私の小さな願い



それが私の・・・
短編小説 日本刀と拳銃 part4
2011年02月08日(火)
横浜から戻り、頭からの連絡を待ちながら、日々の仕事に追われて居た。
社長は、
「横浜からの連絡は?」
「まだ無いねん」
私も社長も苛ついて居た。何故見つからない?


数週間、百合子の消息はつかめなかった。
ある日の朝、店の電話がパンクするかと思うほど一気に鳴った。
「ママはおいでますか?!」
「ちょっとお待ち下さい」
店長が、ママお電話ですと呼びに来た。
「はい私」
それは百合子の客だった。
「ママ、今日発売の★★に百合子が店の看板娘と言う事で紹介されています」
「解りました。すぐに調べます。有り難う御座いました!!」
私の手の届かない地方の温泉地でソープ嬢をして居た。
私の縄張りの外では調べようが無い。
百合子の男は元裏家業だったんだ。私が甘かった。

すぐに一番近くの事務所に電話をかけて人を行かせた。
時すでに遅く、昨日退店しましたと言う。
写真は客寄せに、ギャラを払って掲載させて貰ったのだと。


「ええ根性してるやないっ絶対に捕まえてやるっ」


この後半年間、同じ事の繰り返しをして、追いかけ続ける事となった。
しかし、この逃走劇はあっけなく幕を閉じる事になった。



早朝、私専用の電話が鳴った。
「はい私」
横浜の頭からだった。
「姉さん、こんな時間にすいません。見つけました」
「殺してないだろうな?」
「男は鉄砲玉に使われてすでに死んでました」
「女は?」
「場末の一発屋に売られてました」
「そこから取り返す事は可能か?」
「可能ですわ。どないさせて貰いましょう?」
「今から行くから話しつけとして。逃がすなよ」
「解ってます」
「ちょっと遠いから時間かかると思うわ。半日かかると思うし頼むわ」
「お気を付けて」
「ありがとう」

社長が起きた。
「見つかったんか?」
「はい」
「何処でだ?生きてか?」
「東北ですわ。今から行ってきます」
「事務所には電話したか?」
「まだです」
「1時間後で良いんか?」
「はい」

事務所に電話をして、何時もの運転手を来させた。

手に包帯を巻いて居た。包帯の巻き方で解った。小指を落として居た。
「どないしたんや?下手売ったんか?」
「。。。」
「言わんかいな!」
「わし、組長に姉さんと一緒になりたいって言うたんですわ。そして自分で指落としました」
「何をしてるんや!あんたには将来があるやないか。私には将来は無いんやで」
「この仕事が終わったら足洗って2人で田舎にでも行って小さな店でもしましょう」
「。。。よー解った。あんたの気持ちは嬉しい。けどな、私はこの世界から足を洗うつもりは無いんや」
「何でですのん?もうこれ以上、自分を痛めつけてる姉さんを見たくないんです」
「昔の事言うたやろ?この世界で生きるしか無いんや。苦労して今の力を手に入れたんやで」
「解りました。ほなわしも一生運転手します。誰とも世帯持ちません。姉さんをずっと思い続けます」
「あかんわっ。結婚して子供作って幸せになり。私には出来ないから、あんたにはして欲しいんや」
「姉さんが結婚するまで、わしも結婚しません。諦めつきません」
「好きにしたらええわ。私も一生結婚しないで今の場所に居るから」
「姉さん寝て下さいね。時間かかりまから」
「ありがとう。気持ちしっかり受け取ったで。ほな寝かせて貰うわな」
「はい」


「姉さん、もう30分ほどですわ」
その声で目が覚めた。
「解った」
化粧を直して服を着替えた。


高速を降り山道を走った。
こんな所で、百合子が暮らせる訳が無い。
そう思うほど寂れた温泉地だった。

黒塗りの車が数台止まって居た。
その後ろに車を着けると、頭が前の車から降りて来た。

「姉さん、此処ですわ」
「で、渡して貰えるんか?」
「話しはついてますが。。。」
「なんや?」
「もう使い物になりませんわ」
「どういう事や?」
「見たら解りますわ」
「行こうか?」
「はい」

暗い路地を抜け、見るからに寂れた一軒家に入った。
玄関を開けると、やりてばばあが座って居た。

「遠い所お疲れ様でした。連れて帰って貰って結構です。ご案内します」

と言うと、置くの方にある薄暗い部屋の前まで通された。

「此処です」

深呼吸してドアを開けた。目を疑った。これがあの百合子か?!

「百合子」
「ママ」

生き生きと輝いて居た百合子は、陰も形も無くなって居た。
どれだけ苦労してん?何をしてたんや?

「ママごめんなさい。男にだまされて、こんな風になってしまったわ」
「もう良いから店に帰ろう。話しはつけたから」
「ありがとうママ。でももう私はあかんわ」
「何を言うてるねん」
「薬付けになってぼろぼろやねん。もう店では使って貰えないわ」
「そんな事あらへん。しっかりしーや」
「あの頃が一番楽しかった。ママには迷惑かけて本当にごめんなさい」
「もう良いから帰る支度しような」
「ママありがとう。服着替えるし外で待ってて」
「大丈夫か?」
「大丈夫。こんな汚くなった身体ママに見せたくないねん」
「解った。外で待ってるし出来たら呼んでな」
「ママありがとう」


私は外に出て、やりてばばあに百合子の着替えを手伝うように頼んだ。
荷物はカバン1つだと聞いた。
外で待ってると、やりてばばあの悲鳴が聞こえた。

「ギャー」

慌てて百合子の部屋へ行くと、舌をかみ切った百合子が口から血を流して倒れて居た。

頭が、
「どないしましょう?」
「医者呼んでやって。息のかかった医者おるやろう?」
「はい」
「薬の事は書かないで自殺とだけ死亡診断書に書かせて」
「はい」

若い衆を1人呼んで、
「どっかで部屋を取って来てくれるか?」
「車で30分ほどの所に、旅館がありますのでそこで良いですか?」
「此処にいる全員の人数分取ってや。今日は百合子の為に飲むで」
「はい。では貸し切りに出来るように手配させて貰います」
「頼むで」
「はい」
「私は車の中に居るから、後は運転手と話ししてや」
「はい」

車に戻ると運転手が、
「姉さん女は?」
「死んだ」
「どうしましょう?」
「取りあえず、世話になった所に電話をしといてくれるか?」
「はい。姉さんは?」
「私は疲れたし少し横になるわ」
「解りました」


残ったのは、カバンが1つだけだった。
カバンの中には、下着と服が数えるほど入って居ただけだった。
どんな生活をしてたんや?何をしてたんや?アホやなぁ。。。


カバンの底を触るとかすかな違和感があった。
「ん?」
カミソリで底敷きを切ると、私宛の手紙が出て来た。


そこには、銀行の貸金庫の場所と鍵の場所が書かれて居た。
客からだまし取ったお金を、銀行に預けて居たのだった。
男にだまされた事が解った百合子は、
このお金だけは守らないと。。。そう思ったのだろう。
使えばこんな死に方をせずに済んだだろうに。
私が探し出してくれるのをずっと待ってたようだった。

もっと早く見つけてやれば良かった。後悔だけが残った。



小さな葬式をあげ、遺骨は江ノ島の海にばらまいた。
百合子が昔言ってた。
「ママ、私ね、江ノ島の近くで店したいんだ」
「なんでさ?」
「だって夏はうるさくて、冬は静かでしょ?」
「多分ね。私は行った事が無いから解らないけど」
「何となく江ノ島が良いんだ」
「そうか」


遺骨は、薬のせいで骨の原型をとどめて居なかった。
花束と遺骨を海に流し手を合わせた。





そして、私は日常の生活に戻って行った。


しばらくして、精神病院に入院した。
そして私は、新しい人生を歩き始める事になる「きっかけ」を手に入れた。








この物語は、事実に脚色をくわえた「フィクション」です。
短編小説 日本刀と拳銃 part3
2011年02月07日(月)
「社長!!」
「頼むぞ」

社長が事務所に電話をして、元レーサーの運転手を呼んだ。
「百合子のマンションまで急いでや」
「解りました。姉さんこれ組長からです」油紙に包まれた拳銃だった。
「ありがとう」
「わし姉さんの生き方好きですねん。絶対姉さんの事は守ります」
「すまんなぁ」
組長からのプレゼントを、そっと鞄にしまった。
たばこを吸って携帯から百合子の部屋に電話をした。
呼び出し音は鳴るが誰も出ない。
「もう逃げられたのか?!」


百合子のマンションについた。入り口では管理人と不動産屋が待って居た。
運転手の男は、胸元に拳銃をしのばせて、私の後ろにピタッと引っ付いて居た。
「ママ、引っ越し屋ではありませんでした」
「何?!」
「何でも屋ですは。何でも屋に荷物の処分を依頼したそうですは。すでに本人は飛んだ後です」

部屋に行くと、何でも屋が荷物の整理をして居た。運転手の男が何でも屋の胸元を掴んで聞いた。
「おいっ!!依頼主の連絡先は?」
「それが解らないんです。2週間前に店に来て頼まれたんです。2週間後、此処の荷物を処分してくれと。お金は店の取り分を引いた残りをこの店に持って行ってくれと頼まれたんです」と1枚のメモを差し出した。
私の店の住所と電話番号が書かれて居た。

「処分していくらになるんや」
「店の取り分を引いたら3万ほどです。金目の物はほとんど無かったですし」
怒りに手が震えた。私が絶対に見つけだしてやる!!


「帰ったか。で百合子は?」
「逃げられました」
「そうか。どうするんや?警察はあかんぞ」
「解ってます。私が探します。少し時間下さい」
「解った。頼むぞ」
「銀行は?」
「口座には金が残ってた。700万そのままや。すぐに口座の凍結をしたから大丈夫や」


自宅に戻って「名刺入れ」を取りだした。何時もは封印されて居る名刺入れ。
これを使う時は、最後の最後だと思って居た。
ある事務所に電話をした。
「綾姫です」
「姉さんお久しぶりです。少々お待ち下さい。今、組長に代わります」
「お〜久しぶりやなぁ。元気やったか?」
「組長に頼みがあります」
「何や?取りあえず食事でもしようや。話はその時に」
「はい。では6時間後に何時もの料亭で宜しいでしょうか?」
「解った」


社長に電話をした。
「運転手1人来させてくれる?」
「遠出か?」
「うん。本部行って来るわ」
「さっきの奴に行って貰うわ。まだ外で待機してるから」
「解った。じゃあ1時間後に」

1時間後、運転手が来でチャイムを鳴らした。
私の姿を見て一言。
「姉さん、横浜ですか?」
「すまんなぁ、遠いけど頼むわ」
「何処までも姉さんについて行きます。絶対に姉さんを守ると言いました」
「ありがとう」
プレジデントの後部座席に座った。
「此処から3時間はかかります。少し休まれたら良いですよ」
「時間指定やから、4時間で何時もの料亭についてな」
「4時間もあれば十分です」
「頼むで。私は少し寝させて貰うわ」

到着10分前まで、熟睡していた私を運転手が起こした。
「姉さん、後10分で到着します」
「わかった」
化粧を軽く直して、身支度を調えた。


料亭の前についた時には、すでに10人ほどの護衛が来ていた。
「姉さんお久しぶりです。決まりですから失礼します」と言った。
そして若い衆の女が出て来た。
「姉さん初めてお目にかかります。以後お見知り置きを」
「初めまして。私は気質の人間です。こちらこそ宜しくお願いします」と頭を下げた。
そして私のボディチェックをした。


料亭は何時もの如く貸し切りになって居た。
この料亭は大手財界人御用達の店となって居て、セキュリティーも万全だった。
何より従業員は口が堅いので有名。

「姉さんタバコ以外はすべて預からせて頂きます。菓子折は中身をチェックして後でお部屋に届けます」
「解った。ありがとう。長旅で疲れているので運転手に部屋を用意してやって」
「解っております」

運転手が言った。
「姉さん、わしは側に置いてくれへんのですか?」
「気持ちだけ貰って置くわ。そやけど此処から先はあんたも知らない方が良いし。マッサージの女の子が来てるはずやから適当に気分転換でもしとき」
「解りました」

料亭のおかみが出て来た。
「まぁお久しぶりです。綾姉さん」
「おかみさんも元気そうで何よりです」
「綾姉さんも、ますます貫禄がつきまして」
「おかみさんも、ますます良い女になって」
「おおきに」

「姉さんこちらで組長がお待ちです」
そして店の一番奥、VIP専用隠し部屋に通された。

「組長、姉さんが来られました」
「入れ」
「失礼します」

30畳ほどの部屋に、高価なテーブルと椅子があり、
掛け軸だけでも、数千万と言われる部屋。

「組長、お久しぶりです」
「遠い所、良く来たなぁ。まあ入りなさい」
「有り難う御座います」
「みんな出て行け。後はわしと綾ちゃんの2人にしてくれ」
「解りました」

たばこに火をつけたり、灰皿を代えたりする身の回りのお世話は、
料亭の女将さんがしてくれる。
みんなが出て行くと、顔をほころばせて
「綾ちゃん〜元気やったんかぁ」何時もの親父顔になって居た。
「おっちゃん元気やったん?」
「お〜わしは元気やったぞ」

この組長さん。とてつもなく偉い人で、私みたいな子供が話を出来る相手では無いのだが、実は私がクラブに勤めて居た頃の指名客で私の歌のファンだった。
何時も私の歌を聴いて、綾ちゃんの歌には悲しみがいっぱい詰まってると言っては、おいしい物を食べに連れて行ってくれて居た。
「なんか綾ちゃんには何でも話しが出来てしまうなぁ。不思議な人や」と言って。
愚痴も聞いた。涙も見た。そんな間柄だった。

「まぁ食べようや。お腹空いたやろ?」
「うん」
「おかみが、綾ちゃんの好きなお刺身とすしをいっぱい準備してくれてるからな」
「おかあちゃんありがとう」
「綾ちゃん、いっぱい食べてね」
実はこのおかみさん。組長さんの愛人なのだ。
これは本妻さんには内緒。
私は「おかあちゃん」と呼んで居た。

おかあちゃんが言った。
「綾ちゃん、パジャマに着替える?」
「うん」
そういうと、パジャマを出して来てくれた。
「綾ちゃんの好きなブランドのパジャマよ〜新しいのを買って置いたから」
「ありがとう」
と言って、おかあちゃんと組長の前で裸になって着替えた。
「こんな姿、子分達には見せられないよねぇ」
「そうだなぁ」
組長と言う名の「おっちゃん」と「おかあちゃん」笑って言った。


お腹いっぱいになって、一息ついた頃おっちゃんが言った。
「で、何を頼みに来たんや」
「うん。人捜し」
「で、生きて捕まえるんか?死んでても良いんか?」
「生きて捕まえて」
「解った。後は組の者と話してくれ」
「うん」
「わしはおかあちゃんの部屋に行って来るから、若い衆の女がおったろ?そいつとパチンコでも行って来たら良いわ」
と言って、お財布から100万円の束を出した。
「要らないってば」
「もって行け。服も買って来い」
「服はいっぱいあるってば。おっちゃんたら何時までも私は子供じゃ無いねんで」
「あはは、じゃあな」
そう言うと2人は別室に消えて行った。


入れ違いに、さっきの若い衆の女が入って来た。
「姉さん、遊びに行きましょう。お供します」
「その姉さんと言うの、やめてくれないかなぁ。私は綾ちゃんだってば」
「しかし。。。」
「良いねんって。綾ちゃんで。それで何処に連れてってくれる?」
「ブティックが10件、宝石屋が5件、パチンコ屋が1件、店の裏口を開けて待ってますが、何処が良いでしょう?」
「そやなぁ。散歩に行こうか?」
「散歩ですか?」
「うん。久しぶりにネオンの横浜を歩いて見たいもん」
「解りました。では護衛を1人だけつけましょうか?」
「護衛はいらんわ」
「しかし。。。」
「1人になりたい時もあるやん。肩書き捨てたい時もあるやん」
「そうですね」


裏口からそっとでて、護衛無しで夜の横浜を歩いた。
もっとも護衛が居ないと思って居たのは私だけで、
実際は、3人が後ろからついて来て居たのを全く気がつかなかったのだが。



深夜の横浜は、相変わらずの街だった。
若い衆の女の子は、私の斜め後ろを黙ってついて来ていた。
突然、
「姉さん、お聞きしても良いですか?」女の子が私に聞いて来た。
「なに?」
「旦那を出世させて組を持たせるのが私の夢です。どうしたら良いんでしょうか。私に何が出来るのでしょうか。教えて下さい」
「仕事は何をしてるん?」
「組が持っているクラブに勤めてます」
「給料は?」
「月200万です。一応NO1やってます」
「そうか。。。組には毎月、いくら★★してるねん?」
「50万です」
「わたしが現役の頃には、月200は★★してたなぁ」
「。。。」
「あんたの旦那には、若い衆が何人ついてるのや?」
「5人です」
「その5人に何かがあった時、あんたはその家族を支えて行くだけの収入を稼がないとあかんのやで。でないと若い衆も安心して命預けられないよなぁ。それだけの覚悟があるんかいな?」
「・・・有り難う御座いました。踏ん切りがつきました」
「そうか。。。私に言える事はこれくらいの事しか無いんだけど頑張るんやで。何時か報われる時が来ると思うから」
「はい」

1時間ほど繁華街を散歩をして料亭に戻った。
「姉さん、頭が姉さんの部屋でお待ちです」
「解りました。ありがとう」

おかみさんが用意してくれて居た寝室へ行くと、寝室前の待合室に頭と若い衆3人が座って待って居た。
「姉さんお帰りなさい。何飲まれますか?」
「日本酒のロック。おつまみは何時ものと厨房に頼んでくれる?」
「解りました」
「ちょっと着替えて来るから待っててなぁ」
「はい」
私はスーツを脱いで、パジャマに着替えた。ラフな服の方が緊張感が無くて良い。
「おまたせ」一瞬みんなの顔が固まった。
「なんちゅー顔してるの?」
「いや。。。わしら此処に居ても良いんですか?」
「良いんやで〜ちょっと疲れたから着替えただけやし。あんたらも上着脱いでネクタイ外してのんびりしたら良いわ」
「はぁ。。。」
「良いねんてば」
「解りました」
頭が「おいっおまえらもお言葉に甘えて服を脱ぐんや」「はい」
と言って自分も上着を脱ぎネクタイを外して、正座して居た足を崩した。


「生きたまま捕まえるのは女ですか?」
「そや」
「で、写真ありますか?」
私は一枚の写真を出した。
「ちょっと預からせて頂きます」
若い衆の1人が写真を持って部屋を出て行った。
「何したのか聞いて良いですか?」
「客から金をだまし取って、姿を消したんや」
「損害は?」
「ざっと4000万」
「見つけたらどないしましょう?」
私は黙って首をはねる仕草をした。
「では、わしらがします」
「いや、あかんねん。わたしが自分でするから、生きたまま捕まえて」
「しかし姉さん」
「いや、これは私と私がやってる店のけじめやから」
「はい。解りました」
「資金は私が出すから。菓子折箱の中に1本(1000万)入れてあるからそれで頼むわ」
「いや、組長から受け取るなと言われてますから」
「ほな、あんたの小遣いにしたら良いわ」
「それやったら、わしがおやっさんにしかられますから、持って帰って下さい」
「解った。別の形でお礼させて貰うわ」
「有り難う御座います」

失礼しますと若い衆が入って来た。
頭に耳打ちして出て行った。
「姉さんカメラマンが来ましたけどどうしましょうか?」
「入れてやって」
「はい。入れ」
「失礼します」
風俗雑誌専門のフリーカメラマンが入って来た。
「お久しぶりです。綾さん」
頭が言った。
「われ、誰に物言うとるんじゃ。場所をわきまえろやっ!!」
「頭ええねん。ありがとう」
「はい」
フリーカメラマンに言った。
「この子を捜して欲しいねん」写真を渡した。
「これは、ママの所で働く百合子ですね」
「そや」
「頭に話しをしてあるから、後は頭の指示に従って動いてくれるかな?」
「解りました。では失礼します」
フリーカメラマンは部屋を出て行った。

「では姉さんわしらも失礼させて頂きます。朝は何時に出発されますか?」
「起きたら適当に帰るから、頭達も帰ったら良いよ。組長は?」
「今日はお泊まりだそうです。わしらは別室で寝かせて頂きます」
「そうか。。。ご苦労様でした。お休みなさい」
「失礼します」
みんなが出て行った。


「はぁ。。。疲れた」
深い溜め息をつき、日本酒を飲み干した。
ふと時計を見ると深夜の2時を過ぎて居た。

疲れた。。。お風呂に入ろう。。。お風呂場に向かった。
ふと見ると、運転手が仲居さんの休憩室でテレビを見て居た。
「あんたっ何してるのよ?部屋は別に取ってあったでしょう?」
「あっ姉さん。わし。。。」
「どないしたん?」
「わし。。。」
「どうしたん?」
「部屋に通されたら、女の子が3人おりまして」
「うん」
「1人選べって言われたんです」
「うん、で?」
「誰も選ばないので帰ってくれと言うたんですけど」
「なんや〜気に入らなかったんかいな?遠慮せんで好きなだけ変えたら良かったのに」
「いや違うんです」
「ん?」
「わし。。。」
「うん」
「わし。。。姉さんの事が好きですねん」
そう言って正座をした。
「すんません。今の言葉忘れて下さい。組長にしかられます。でも言って良かったです。これで気持ちの整理が出来ました。わし組長のすすめてくれた人と一緒になります。その前に一言言いたかったんです。すんません」
解って居た。気がついて居た。。。そして。。。
「お酒でも飲もうか、飲めるでしょ?」
「はい」
「何が良い?」
「姉さんと同じ物で」
「解った」
厨房に電話をして酒の支度をさせた。

「私なぁ誰も好きにならないねん。好きになれないねん。此処だけの話にしてや」
過去のことを話し始めた。
独り言をつぶやくように、お酒を飲みながらぽつりぽつりと。
運転手の男は黙ってお酒を飲みながら聞いて居た。
そして一言。
「わしではあかんのですか?わしが姉さんの事を一生守りますから」
「気持ちだけは貰って置くね。ありがとう。また頑張れそうな気がして来た。明日は私が起きたら電話するから、部屋に帰って寝たら良いわ。女の子には私から帰るように言うとくから。ゆっくり寝てね、お休みなさい。」
「お休みなさい」
そのままお風呂場に向かった。
お風呂場から頭の部屋に電話をして、女の子達を帰らせるように言った。
そして露天風呂に入りながら1人で泣いた。。。
短編小説 日本刀と拳銃 part2
2011年02月06日(日)
3日後、何も無かったように百合子は出勤して来た。
「百合子もう落ち着いたのか?」
「はい。社長、ママ、ご迷惑をおかけしました」
営業電話の大嫌いな百合子が、待ち時間を利用して指名客に電話をして居た。
「お友達も連れて来てね〜待ってるわねっ」
社長と私は「どうしたんや?」と2人で笑って居た。大好きだったお酒もやめて店貯金を始めた。


毎日、日銭で稼ぐ仕事。
全額持って帰ると、財布からお金を抜き取る「ひも」がついている女も多かった。
店に来ている銀行で隠れて貯金をしている女も居た。
私は何時も店の女の子に言って居た。
「何時まで稼げるか、誰にも解らないんやから貯金しとかなあかんで」と。
しかし百合子は、全く聞く耳を持たず湯水の如くお金を使って居た。
その百合子が、1日の稼ぎの半分を貯金するようになった。
「どうしたん?何かあったん?」と聞くと「彼と店を始めたいから」と微笑んだ。



店貯金をし出すと持って帰るお金が減る訳だが、「アリバイ工作」みたいな「口合わせ」を頼まれた。
「ひも」と呼ばれる男達から「ママたまには一緒に飲んで下さいよ」と誘われる。
たまには付き合いで一緒に飲む事もあった。ご機嫌取りゴマすり作戦だと解って居ても。
「最近、持って帰って来る金が減ったんですは。最近は店の方は暇なんでしょうか?」と「ひも」が言った。
でた〜女の子を横目で見ると合図してるし。
「そやなぁ、この時期は暇やなぁ。毎年の事やからしゃあないなぁ。しかも上得意の指名客が最近店に来なくなったし、こいつも大変やと思うわ」
「そうですか。また宜しくお願いしますは。それはそうとこの間良い物を見つけましてん。ママこの日本酒好きでしたやろ?良かったら飲んで下さい」
プレゼント攻撃とご機嫌取りが始まるのだった。こんな事は日常茶飯事繰り返される事。
その場では「この子も頑張ってるんだけど、今の季節はあかんねん」とか言っておくのだが、稼ぎは全く変わって無い。店貯金をしてて持って帰る金が減っているだけだ。
こうして、あっちを立てればこっちが立たず、狐の化かし合いをする日々だった。


百合子は3ヶ月間、指名・売り上げ共トップに立ち、その地域では押しも押されぬソープ嬢となって行った。
ある日の事、
「ママ、お話があるんです」
「解った。飲みながら話す?それとも素面か?」
「仕事が終わったら、店で話しをさせて下さい」
「解った」


仕事が終わり、百合子が社長室に来た。
「ママ、実はピル抜きしたいんです」
「別に良いよ。だけど前もってお客様に言うとかないと迷惑かけるから、3ヶ月先くらいにしたらどう?」
「良いんですか?」
「良いんですか?って。身体が資本のこの仕事やから、ピル抜きはした方が良いよ。2ヶ月くらい遊んでも生活出来るお金は貯金したやろうて」
「はい」
「じゃあ、夏のボーナスシーズンが終わったら、ピル抜きで2ヶ月休みって事で社長には言うとくから、それまでに頑張って貯金しなさいよ」
「ママに怒られるかと思った」
「どうして?」
「ママに迷惑かけたのに、2ヶ月もピル抜きで休みが貰えるとは思わなかった」
「そんなアホな。身体壊してまで仕事せーとは言わないし。私のように子供が産めない身体になったら終わりやで。この仕事は身体が資本やから、ゆっくりしたら良いで。その変わりピル抜きが終わったらまた頑張って貰うからな」
「有り難う御座います。後3ヶ月頑張ります」


それから、ますます百合子は仕事をした。公休も出勤して指名客を呼んだ。
その頃から、百合子の悪い噂を聞くようになった。
「客から金をだまし取っている」と。


そして、とんでもない事が起きて、百合子は命を狙われる事になった。
命を狙ったのは・・・そう私なのだ。



好きなお酒を一切やめて、タクシーで通勤して居たのを「ひも」に送迎させ、
「ひも」が居ない時は、電車で店の近くの駅まで来て、ボーイに送り迎えをさせ始めた百合子。
プライドの高い百合子が、陰で「貧ボー」と言われるようになって言った。
何時も百合子の所へ来て居た、洋服屋と下着屋が私に言った。
「今までだったら、百合子さんに持って来た服は、全部買ってくれたんですわ〜それが最近全然服を買ってくれなくなりましてん。他に服屋が店に来てるんでしょうか?」
「服屋はあんたの所だけや。どんな店でも入れられる場所と違うでな」
「それを聞いてほっとしましたわ。ママに新しいスーツ持って来ましたで。お金は結構で御座います。何時も世話になってるから」
どうせ店の子から余分に取ったお金で仕入れたんでしょ。
腹の中で笑って、そして笑顔で「何時もすまんなぁ。社長に良く言うとくから」
「はい。有り難う御座います。また来週来ます」


私はこういうプレゼントを一切貰わないようにして居た。
自分の欲しい物は自分で稼いで買えば良いと思って居た。
社長が「ママ、権力も買ってるのと同じなんやからな」
相手は私を利用し利用したお礼で持ってくる。だから貰って置けと言う。
それがあの頃の現実だった。誰を信じて良いの?どれが本音なの?
自問自答を繰り返す日々。
それでも私はそこでしか生きれなかった。



百合子の指名客から私に電話がかかって来た。
「ママ、ちょっとお話があるんですが」
「店ではまずいでしょ?食事でもいかが?」
何時も息抜きで行って居た、ホテルのレストランで待ち合わせをした。
「此処は私の定宿ですわ。ストレスが貯まったら此処で息抜きしますねん」

にこやかに話をして居たのだが、意を決したように客が言った。
「実は、百合子に200万貸してるんです」
やっぱりか。
「何時貸しました?」
「先月です。もうすぐ百合子がピル抜きで長期休暇でしょう。ちゃんと返して貰えますかね」
「借用書は取りました?」
「いや、店貯金が600万ほどあるから大丈夫よと言ってたので取って無いんです」
「そうですか」
「嫁に内緒で貸してるんで、返して貰わないと困るのですが。ママ、百合子の店貯金を抑える事は出来ませんか?」
「通帳も印鑑も店の金庫にあるので、百合子は店を通してしかお金はおろせません。だけどキャッシュカードを作って居たらおろせるでしょう。作ったのか作って無いのかは、私にはそれは解りません。銀行もプライバシーがあるので多分言わないでしょう。聞いてはみますけど」
「宜しくお願いします」
「何でお金なんか貸したんですか。ただのソープ嬢と客の間柄で。店をやめたらしまいですやん」
「そうなんですが。。。」
「解りました。私の方も調べてみます」


店に戻り社長に客との会話を話しした。
社長は、
「ちょっと待った。そんな事に店が関与してたら、身体がいくつあっても足らないぞ。だけど店の恥になるかも知れないな」
「私もそう思って。百合子は構わないんだけど、この店の看板に泥塗られたら嫌やし」

新人が入ったら、百合子には内緒で電話をしてくれと言われ、
店付きの上得意客からは、私が名刺を受け取って居た。
百合子の指名客に手当たり次第に電話をかけた。
「もしもし有限会社★と申します」
そして、だいたいの事が解って来た。


プライベートな事を語らなかった百合子が、
客に対して自分の家族の事を話し出したと言うのだ。
親が病気でこの仕事を始めた。心臓手術では有名な先生に手術を頼んだのだが順番待ちで2年かかる。
裏金を積めば早く手術して貰える。その為には2000万必要。
NO1なのでお金を返すのは簡単。店貯金を600万してるので払えなかった場合も店から貰える。

私が把握しただけで、総額4000万くらいになって居た。
百合子は何を考えてるんや?!
親とは音信不通だと私も社長も聞いて居た。
百合子は客に嘘をついて金をだまし取って居た。

高額な借金をした相手には、身分証明書としてパスポートを見せて居た。
この仕事は、免許書・保健証を持たない女がいっぱい居た。
家族から逃げて本名を隠して働く女達。当たり前の事だった。

このパスポートは後に偽造と解ったのだが。。。

そして、ピル抜き長期休暇の日となった。
「ママ、少し彼の田舎に行ってのんびりして来ます。家の鍵をママに預けて行きますので、暇があったら風入れて貰えると嬉しいです」
そう言って家の鍵を私に手渡した。
「百合子あのな。。。」
問いつめようとしたのだが社長に止められた。
「百合子、ちゃんと帰って来るな?!」
「私はママに育てて貰ったんだし、この店でしか稼げ無いから戻って来ますよ」
私は言った。
「その言葉信じてるからな」


「信じる」
こんな言葉はこの世界には通用しない。
すぐに、百合子の住むマンションの不動産屋と管理人に手を回した。
「動きがあったら知らせてくれ」と。


一週間後、不動産屋から電話がかかって来た。
「ママ、例の部屋ですが、引っ越しの荷造りをしているようです。管理人から連絡がありました」
「解った。すぐ行くわ。ありがとう」

私から逃げられると思ってるのか。。。百合子。。。
短編小説 日本刀と拳銃 part1
2011年02月05日(土)
早朝、売り上げ集計をし終わってほっと一息ついた時、
プライベートな電話が鳴った。
この電話は、ごく限られた人しか番号を教えて居ない。
ほとんど使われる事が無い電話だった。

「はい、私」と出ると、
「ギャーッ」すごい叫び声と号泣している声。
一瞬誰だか解らなかった。
「だれ?!」
「百合子、ママ助けて〜」そこで電話が切れた。

百合子は何時もNO1争いに居る子。
背丈は170近くあり、腰まで伸ばした黒髪が綺麗で、
目鼻立ちも整いスタイル抜群。
唯一の欠点が男運が悪い事だった。

百合子は指名客の間を渡り歩く癖があって、
疑似恋愛か本当の恋愛か解らなくなる。
3ヶ月毎に男を変えて、失恋するとやけ酒を飲む。
やけ酒に一晩中付き合った事も数知れず、私は何時も言って居た。
「いい加減、男を見る目を養った方が良いよ」


百合子は私と似ていた。
親に愛される事も無く、1人で寂しい夜を過ごして、
寂しさから夜の仕事に入って、20歳になってソープ嬢になった。
私が直々に仕事を教えた子。
心の中に凍りを持ち、寂しさ故に男を変える。
満たされないと解ると、失恋したと言ってはまた男を変える。
男を変える度に家財道具一式捨ててしまう。
男を変える度に引っ越しをする。
稼いでも稼いでも、飲み代と引っ越し代で消えてしまう。
そんな生活をしていた。


パジャマを脱ぎながら社長に言った。
「社長、百合子が泣きながら電話して来たわ。行ってくる」
「車の手配は?」
「今から」
「すぐ手配しよう」
社長は事務所に電話をして運転手を来させた。
「俺も行こうか?」
「良いわ。女同士の方が都合が良いし」
「何かあったら電話してくれ」

迎えの車がついて、
携帯電話と鞄を持って、着替えもそこそこに私は家を出た。

家から百合子の住むマンションまでは、片道1時間の距離だった。
店から離れた繁華街のど真ん中、
超高級マンションの最上階に百合子の部屋はあった。
店に通勤するのが不便だからと何度も言ったのだが、
飲み歩くのが好きな百合子は、繁華街が好きだと笑った。


運転手が後部座席のドアを開けながら、
「行き先はどちらでしょうか?」
「市内の繁華街に。急いでるから」
「わかりました」
そう言うとドアを閉めて、猛スピードで車を走らせた。
後部座席で、たばこを吸いながら心の中で祈った。
「どうか無事で居て」
携帯から百合子の所に何度も電話したが、
呼び出し音は鳴るが、電話に出る事は無かった。

百合子のマンションの前についた私は、
「15分たって私が電話しなかったら社長に連絡して百合子の部屋に来て!」
そう言い残して、マンションへ飛び込んだ。
オートロックの暗証番号は聞いて居たのだが、
慌てて居たので、暗証番号を忘れてしまった。
鞄をひっくり返して、メモを探して暗証番号を打った。
エレベーターに乗った。
超高層マンションのエレベーター、
時間がすごく長く感じた。最上階に止まった。
百合子の部屋に走って行った。

マンションのチャイムを鳴らした。
中から男の怒鳴り声と女の号泣が聞こえた。
やばい!!
深呼吸しながら飛び込むタイミングを待った。
一瞬怒鳴り声がやんだ。
今だ!ドアを開けて家に入った。


家に飛び込んだ私が見たものは・・・


百合子が日本刀をかまえ、男が拳銃をかまえ向き合って居た。
「ちょっと待ちーや、2人共その物騒な物下ろしなはれ!!」
百合子は泣きながら日本刀を下ろした。
百合子の顔は腫れ、口からは血を流して居た。
男は「おどれは誰じゃ?」とドスの利いた声で怒鳴った。
「やかましー誰に物言うとるんじゃい、下ろせと言うたら下ろさんかい!!」

男と一瞬目が合った。
「姉さん、綾姉さんじゃ無いですか!」
男が言った。急いで拳銃を床に置いて正座をし手をついた。
「お久しぶりです。大阪でお世話になっておりました」

私が大阪時代、世話になって居た親分の運転手をしていた男だった。
「そのチャカこっちに貸し!百合子はシャワー浴びて来な!」
「ママ〜ありがとう」
百合子は風呂場へと入って行った。

男は百合子が居なくなると、土下座をして床に頭を着けた。
「姉さんお久しぶりです」
「元気やったんか?」
「はい」


部屋の中は荒れ放題となって居た。
「取りあえず、この散らかった部屋の掃除して貰おうか。これじゃ座る所も無いからな」
「解りました」

外に居る運転手に電話をしてた。
「ちょっと百合子の部屋まで来てくれへんか」
「はい」
部屋に来た運転手に、日本刀と拳銃を渡した。
「事務所で預かっててくれるように言うといてな」
「解りました。ママのお帰りを下でお待ちしていましょうか?」
「深夜にご苦労やったなぁ。そやけど、何時までかかるかわからへんから先に帰ってて。迎えが必要だったら電話するから」
「解りました」
社長に電話をして大事に至らなかった事を話した。


掃除が終わった時、百合子がシャワーから出て来た。
「飲み物出してくれるか」
「はい」
男が水割りを作って来た。
「酒はあかん。まじな話は素面でするもんや」
「解りました」
冷たい麦茶を一口飲んで・・・


「百合子、あんたは私の横に座り!」
百合子の目の回りと頬に痣が出来ていた。
舌を少し切って居たが大事には至らなかった。
縫うほどの傷じゃ無かったのが救いだった。
「あんたなぁ、私の商売道具に傷をつけてくれてどないしてくれるねん」
男に言った。
「えろう、すんません」
「すんませんですまんのは解ってるんやろうなぁ」
「はい」
「今、あんたは何をしてるんや」
「足を洗わせて貰いました。今は気質の仕事やってます」
「そうか。そやけど1度はあの世界に居た人間やし、けじめの付け方解ってるわなぁ」
「はい」
そう言うと、男は台所に行って包丁とまな板を持って来た。
タオルを包丁の柄に巻きながら、
「これで始末つけさせて貰います」



「ママ、待って」
百合子が口を出した。
「おまえは黙っとれ、今はこの男と話しをしてるねん。おまえとの話はその後や!」
「ママ勘弁したって〜私が悪いねん」
「おまえが悪かろうと、商売道具に傷つけてるんやからけじめが居るやろうて」
「解ってる。解ってるけどかんにんしたって」
「ちょっとまち!!」
「ママありがとう」
百合子は泣きながら言った。
男は包丁を床に置き、
「姉さん、知らぬ事とは言えどうもすいませんでした」
「社長には私から話ししとくから。今度こんな事があった時は南港に沈んで貰うで。ええな!!」
「解りました」


「お腹が空いたなぁ。焼き肉でも行くか」
「はい」
何時も行っている焼き肉屋が百合子のマンションから徒歩3分ほどの所にある。
電話をして席と料理を準備させた。
焼き肉を食べながら話をした。
「この仕事、身体が資本だからな。全身が商売道具だと言う事を自覚して日々仕事せなあかんぞ。売れる間に稼いで貯金して置かないと、何時までも今の収入は維持出来ないと自覚しとけ」
「はい。肝に銘じて仕事をさせて、1日も早く足を洗わせます」
「おいおい。此処まで稼げるようになるまで、私がどれだけ根回しして教育したと思ってるんや?後10年頑張って貰わないとなぁ」
「あっすんません」
3人で顔を見合わせて笑った。


同時にふと、やりてばばあの顔を思い出した。あの人はこれが言いたかったんだろうな。今頃どうしているのだろう。そんな気持ちになった。


「顔の痣がメイクで隠せるようになったら仕事に出て来るんやぞ。それか完全に治るまで休むか?」
「メイクで隠せるようになったら出勤します。これ以上、店に迷惑をおかけ出来ないし貯金しなきゃ」
「そうか頑張れ。出勤してくる前日には店に電話を入れるんやぞ。指名予約取るから」
「はい」