鶴は千年、生活下手

2016年11月09日(水) 方言を耳にすると

ジョアのコマーシャルで、「ほいずぁ、オレンジだべよ。」と、
山形出身の女優さんが言っているのを聞いて、無性にその女優さ
んと話したくなってしまう。
見事な山形弁である。
ドラマ用にとか、他県の人がわかりやすいように気を使った方言
ではない所が、ずきゅんと胸に届くのである。
「ほいずぁ」も「だべよ」も、なかなか出てこない言い回しだ。
他県の人からすれば、ああなまってるなあですむのかもしれない
が、出身者にとっては、これだよこれ、である。
彼女は60代、わたしは50代だが、生まれ育った頃の方言は、
おそらく同じだったと思われる。
年代とともに方言も変化してくるものだから、自分の年代に近し
い人の方言はとても懐かしい。

そういった、本物の方言に出会うと本当にそのまま話をしたくな
ってしまう。
相手が本物でないと、自分も本物の方言が出てこないのである。
だから、同郷の人と方言で話ができるのはうれしいものなのだ。

わたしは、小さい頃からテレビっ子だったからなのか、頭の中で
考えるのはずっと標準語だった。
だから、上京してなまらずに話すことも簡単にできた。
それでも、方言は忘れられない懐かしい宝物である。

生まれ育った家は何十年も前に無くなってしまったが、生まれ育
った言葉はいつまでも残っている。
そのスイッチが入るのが、同郷の人の言葉を耳にした瞬間なので
ある。
ああ、なまってしゃべりたい。


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市屋千鶴 [MAIL]