鶴は千年、生活下手

2012年11月28日(水) 11月の短歌会

11月のぷらむ短歌会が25日にあった。
25日は、短歌会の予定が決まったあとに午前中に別の用事が入
り、朝から出かけた母なのであった。

今回のお題は「耳」。
久しぶりに投稿した歌をのせてみる。
題詠で五首。

耳までが赤く凍える通学路目だけを出してマントの君行く(市屋千鶴)
寝床から耳そばだてて玄関の靴音を待つ母の靴音(市屋千鶴)
唐突に耳の中からわき上がるように金属音の攻撃(市屋千鶴)
情報は水のごとくに溢れ出す目から耳から胸の奥から(市屋千鶴)
着メロが耳に残ってくるくると君の言葉を伝え続ける(市屋千鶴)

作り手が思うところと読み手が感じるところは、違って当たり前
だと思っているが、いい方向に違っていくことはうれしいものだ。
四首目がまさにそうで、息子のことを考えながら作った歌だった
が、試行錯誤していくうちに社会詠のような形に変わっていった
もので、読み手からは社会詠としての感想をいただいた。
一番評判が良かったのが五首目だった。

一首目。
わたしが小学生の頃、フード付きのマントを持っていて、それで
学校に通っていた。
フードは吹雪の中では役に立たないので、フードは外してマント
部分だけをすっぽりとかぶり、目だけを出して歩いたものだった。

二首目。
父が失踪して、雪の中の大きな百姓家でたった1人で母の帰りを
待っていた頃の歌。

三首目。
耳鳴りのことである。

四首目。
もぐちゃんは、いろんなことが通り抜けていくらしい。
聞いたことや見たことや。
中には以外にも覚えていたんだと思うこともあるが、特に説教は
素通りしてしまうことが多い。
残らないということを言いたかったのだが、情報過多で溢れ出す
という感じに変わっていった歌。

五首目。
なんとなく、「着メロ」「くるくる」が浮んでできた歌。

前回の短歌会での評価が今ひとつで、以前の歌が良かったと言わ
れたので、仕切り直しての五首だったが、まだまだだった。

次の短歌会は来年一月。
お題は「春の七草を詠む」ということで。
めちゃくちゃ、無理な気がしてきた。



2012年11月19日(月) 悔しくてパニック?

土曜日、三人で格闘ゲームをやっていた。
もぐちゃんの必殺下段回し蹴り連続攻撃に、なかなか勝てないで
いた父だが、次第に対抗策を見つけて父が勝つようになった。
勝てなくなってきて、悔しくなったもぐちゃんは、リアルで格闘
ゲームをしようと父に声をかけ、相撲ごっこのようになった。
が、そこは大人と子どもの違いがもろに出るわけで、全く勝てな
いうえに、あちこち痛い思いをして悔しさは最高レベルに。
半泣きになりながら電話をかけようとしているので、どこにかけ
ようとしているのかと問いただしたら、悔しくてハアハアするの
が止まらないから救急車を呼ぶのだと言った。
確かに、泣きながらの呼吸は速いままで、まるで過呼吸のような
状態になっていたようだった。
まずいなあと思って、もぐちゃんを抱きしめて背中をトントンし
ながら、「ゆっくりゆっくり」と声をかけ落ち着かせていった。
ついでに過呼吸についても少し説明した。

格闘ゲームの前に、今はまだ持っていないカードゲームのスター
ターキットが欲しいと父に訴え、ダメ出しされたところだった。
欲しいを物を買ってもらえない悔しさを、格闘ゲームで晴らそう
としたのに勝てなくなってしまい、それではとリアルで戦おうと
したのだろう。
もぐちゃんの特性として、イメージはとても具体的にはっきりと
持てるのに、実際に具現化する段階でつまづいてしまって癇癪を
起こすことが多い。
今回も、おそらくリアル格闘で父に勝とうというイメージは強く
持っていたのだろうが、実際には全く歯が立たないという、われ
われからすればごく当たり前のことに癇癪を起こし、自分の中の
悔しさや苛立を処理しきれなくなった結果のパニックだったろう。

夢に見ちゃうかなと少し心配したが、わたしの説明で納得したの
か、ひどくパニクったわりに、その後は落ち着いていた。
母の説明。
「お父さんがゲームで絶対手を抜かないのは、君をゲーム好きの
 少年として認めているから何だよ。手加減しないのは君の力を
 認めているからなんだよ。
 だから、ゲームで手加減しないお父さんに勝てたときは特別に
 うれしいよね。
 でも、実際に相撲ごっことかをするときには、あれでも手加減
 してくれてるんだけど、大人と子どもだから全然勝てないのは
 当たり前なんだよ。」
格闘ゲームで、初めのうちは勝てたのは勝たせてくれていたのか
ともぐちゃんに訊ねられ、いやいやほんとに勝てなかったので、
父は研究して勝てるやり方を見つけたんだよと答えた。

いや、まったくいろいろと教えられることばかりである。
立ちくらみのときに抱きしめてあげられなかったから、土曜日の
パニックはしっかりと抱きしめて落ち着かせることができて本当
に良かったと思う。

欲しいと言っているカードゲームより、今持っているカードゲー
ムで父を倒せる方が楽しいよと、土日かけて父と母はわからせる
ことに成功した、と思いたい。
勝てないのはデッキの組み方なのだとわからせるために、試しに
父にデッキ構築させてみたら、ドロー次第で楽勝することもある
という結果になり、もぐちゃん大喜びである。

母の指摘が正しいとわかっていても、素直に言うことをきくのは
なんだかちょっとくやしいという感情を少しずつ持ち始めた年頃
でもあり、悔しさを自分の中で処理する方法を覚えていかなくて
はならないのだなと、もぐちゃんの心の成長についていきたい母
である。

 木枯らしに紛れ込ませてくやしさを飛ばしていける少年となる(市屋千鶴)



2012年11月12日(月) 初めての怖さ

うっかりと風邪なんかひいている間に、11月も中旬に。

土曜日は学校の土曜参観で、お父さんたちがたくさん参観に来て
いた。
我が家でもめずらしく夫も参観に行き、4時間目には親子で掃除
する「ふれあいクリーンタイム」というやつに参加してくれた。
参観は2時間目と3時間目だったので、肩が凝って頭痛がしてき
たわたしは、掃除には参加しないで先に帰宅した。
午後からわたしは透析、父と子は町田に出かけたようだった。
日曜は、病院の患者の会主催で避難訓練を行った。
午前中に避難訓練やらスタッフとの懇談やらがあって、お弁当を
もらって帰宅した。
イベントがあったせいか、夫は今回の週末は長く感じたなあとい
う感想を述べて出勤していった。
そうでしょうとも。
いつもは土曜も日曜も、昼まで寝ているので実質1日分しか起き
ていないようなものだからね。(苦笑)

先々週は週初めからわたしが風邪をひいてぐずぐずな感じになり、
先週は火曜、水曜ともぐちゃんが風邪で学校を休んだ。

大して熱も出なかったのに、ちょっとばかししんどい風邪だった。
もぐちゃんは水曜の朝、目覚ましより早く起きて急いでトイレに
行ったのだが、その後洗面台のところで立ちくらんだようだった。
初めての立ちくらみである。
目の前が真っ暗になったので、「何も見えないよーーー!!」と
大パニックだった。
じっとしていれば見えるようになるなんてわからないもんね。
立ちくらみだということを、そのときはわたしも気がつかなくて、
起きたばかりで目がかすんでいるだけだろうと思っていた。
その前のトイレでおしっこが引っかかってしまったパンツを履き
替えさせるのに気を取られていて、わりと邪険にしていた。

あとで思い出した「見えないよ」と叫んだもぐちゃんの顔は、今
までにわたしが見たことの無い、恐怖におびえた顔だった。
怖かったんだよと時間が経っても思い出して言うもぐちゃん。
その度にあの顔を思い出し、何度も謝る母なのだった。

もぐちゃんの説明力が未熟であるという部分もあるのだが、気が
つかなくてごめんねと謝ることは、結構多い。

抱きしめてあげれば良かった。
そう思うことは何度もあるけれど、今回はほんとに気づかなくて
すまなかったと思い、抱きしめてあげれば良かったと強く思う。


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