くじら浜
 夢使い







ともだち   2003年07月28日(月)

例えば君が僕に笑顔を向けた

例えば花は惜しげもなくただ蜜を差し伸べ
例えば蜂は無造作に蜜を吸い
光はある角度でその花とその葉とその土に降り
雨はいつも天から地に潜る

例えば君が僕に笑顔を向けた時
僕は無条件で暖かくなる






   2003年07月15日(火)

この時期になるといつも「目」を思い出し、
3年前に書いたこの日記を載せている。



● 目 2000 08/14

目とは・・、そう”台風の目”の事で
実は私が台風の時一番好きなのがこの台風の目なのだ。

猛り狂う天の神がほんの一瞬だけ休憩をする神秘の空間。
闇の中におりた一筋の光。
台風の通り路だった私の田舎は
それゆえに”目”に遭遇することも多かった。
それが来る時は決まって正午近くで,
当時台風の時はガラス戸も雨戸もみんな閉めきる為
昼間でも蛍光燈を付けていて 時々停電するとロウソクを灯していた。
家族全員暇をもてあまし
停電なのでもちろんテレビもつかずラジオから流れる台風情報を
ただぼんやりと聞いている。

すると・・・・,
突然,外の騒音がピタッと止む。

私達はお互いに”来たか!”と顔を見合わせる。
私は急いでロウソクの灯を消し縁側のガラス戸を開け
そして雨戸を一枚静かにひらく・・・・。

真っ暗だった家の中が太陽の光線でいっぱいになり,
空を見上げると真っ黒な雲がひとつひとつ消えていく。
裸足のまま外に駆け出し
私はただその大空を唖然として眺めているだけだ。
さっきまでの轟音も,爆風も,天の怒りも,
まるですべてが幻だったかの様に
そこには静寂な空間だけが存在する。
雲が半分くらいなくなった頃太陽の光線はますます強烈になり,
私は辺りを見渡すと南の方に鮮やかな虹が奇麗に半円形を描いている。

しかし その神秘の空間もほんの一瞬で,
天の神は再び怒り猛り狂いだす。
そして私たちはまた闇の中に舞い戻るのだ。

一瞬ゆえに美しいのかもしれない。






Friend   2003年07月09日(水)

ケティは夢をみていた
赤ん坊を背負い裸足で物乞いしながら
その手に100個の哀しみを握り締め
見上げれば灰色の空の
その彼方にある母なる山の

君はこの世界しか知らないから
ここにしかいないから
1000個の夢をみていたケティ

石楠花の夢をみていたケティ
石楠花はここにしか花をつけないから
1000個の花を見ていたケティ

君は僕の友達だから

君はこの世界しか知らないから
君はこの世界しか知らないけれど









夢の交差   2003年07月02日(水)

太陽の瞬く間に人は夢をみる。
昇る煙柱に左前方から射された光の様は
何本にも遮断された蜃気楼のようで
前頭葉とその煙線は明らかに密着し融合し
吸い上げる小動物の管の如く
僕の意識はいっぽんの線になり天へと向かう。
求める者は光で求む者は魂で
意識下の抑揚がそれを夢と呼ぶならば
確かにこの空間は幾層にも重なるビルディングであり
交差するジャンクションであり
平行な反対車線であり
この渇ききったコンクリートの中であろうと
青い海原だろうと
そのいっぽんの線があるならば
いつでも夢をみる。
決して遇うことのない意識はただ無差別にすれ違うだけで
君との交差は既に歴史の遺伝子に組み込まれていた。





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