夢見る汗牛充棟 DiaryINDEX|past|will
岩波文庫ワイド版 相良良峯:訳 2冊 〜おれは神々になど似ておらぬ。それは骨身にしみてわかっている。 おれの似ているのは塵芥の中にもぐりこんでいる虫けらだ。塵芥の中で 身を養って生をつないでいるうちに、道行く人に踏み殺されて埋められる 虫けらだ〜(ファウスト) 〜実際老齢というものは冷たい熱病なんだ。人間三十を越したら、もう 死んでいるも同然だ〜(若い学士) 〜――だがどんな愚かな、或いは利口なことを考えようと、およそ先人 のすでに考えたことならぬはないと〜(若い学士の言葉を受けてメフィストフェレス) ……でも若い学士のままでいられたら、人生幸せだろうな、とか。 〜美人を独占したものは、共有をいとうあまりにかえって殺してしまう ものです〜(フォルキュアス:メフィストフェレス) ……つか、単にサラディン先生の「自分のものにならないいい男だったら いっそホモになってほしいそうです」(だったか?)を思い出して しまった。カドフェルにも、まんまそんなネタあったなぁ、とか。…… 〜人民の数がふえて、皆がそれぞれの流儀で安楽にくらし、そのうえ 教養や学問を身につけると、人はそれを見て結構なことだというが、 それはただ叛逆者をやしなうだけのことだ〜(ファウスト) 〜地上のことはもう知りぬいた。天上へ昇る見込などありはしない。 眼をぱちぱちさせながら空を仰いで、雲の上に自分のような者が いると空想するのは馬鹿だ。 それより地面をしっかり踏んまえて周囲を見まわせ。 有為の人間にはこの世は隠し立てをせぬ。なんで永遠の境へさまよう 必要があろう。ちゃんと認識したものは掴まえることができる。 こうしてこの世の日々を送ればよいのだ。 幽霊が出てきても歩みを変えることはいらぬ。先へ進むには、苦しみも あれば幸いもあろう。どんな瞬間にも満足はしない男なんだ。〜(ファウスト) 羨ましい境地だけど、すべての学問を究めて、じじいになって 悪魔と契約していろいろあがいて後ようやく至った境地だし。 一般の人には望むべくもないだろうな。 〜幸福も不幸も共に悩みの種となり、満ち足りながら餓えに悩む。 歓びであれ苦しみであれ、なんでも翌日へ延ばそうとし、ただ未来を 待ちうけるばかりでいつまでも成就することはないのです〜(憂愁) ……問答無用で、痛かった一節…… で、ファウスト返却して次は、 『醒めた炎』上下 村松剛 (中央公論社)を借り〜。 木戸孝允(桂小五郎)さんの小説です。 ちょろっと見た感じでは、かなり史実、史料重視型の 小説らしい。楽しみです。 閉架だったので、出してきてもらったのですけど、びっくり するほど分厚かった。重たい。 上巻だけで700頁超。下巻も800頁超。がんばろう。 ついでに、マダオこと長谷川泰三さん(銀魂)のもとキャラは あの渋くて素敵な長谷川平蔵さんというのはほんとなの? と思いつつ 幕末維新・明治維新・近世・などの人名辞典をぱら見。 だって、マダオと似たとこ全然ないし。火付盗賊改。 いや、いちばん好きだけど。マダオこと長谷川さんが。 だもんで、それっぽい長谷川さんがいるのかどうか眺めた次第でした。 いなかった。でも長谷川泰って人が幕末維新人名辞典にいたので 一瞬萌えてしまいました。
今年読み終わりたい本を十冊挙げておく。ぼちぼちやるべ。 以下は、欲しい本の一覧。欲深な自分に呆れつつも。 本が欲しいという気持ちは、知識欲じゃなくて物欲。 ・「アイスランドサガ」谷口幸男 新潮社 ・「スールの子 ギースリの物語」三省堂 ・「サガ選集」東海大学出版会 ・「イギリス古事民俗誌」大修館書店 ・「アイルランド地誌」青土社 問題は、どれもこれも新本がないことです。ぬう。 手の出る値段で発見できたら嬉しいなぁと願いを込めて。 何故、本なんて読むのかなぁと思う。 勉強になるとか、興味深いとかいってもそれが一体何になると思う。 ぶっちゃけ私は頭が良くないから、本を読んでも賢くならない。 つかむしろだんだん馬鹿になってると思う。それでも本が欲しい。 現実から逃避してるだけだとしても、それの何が悪いのかと思う。 人が自分で紡ぐ物語の九割は駄作で陳腐だから、常に愛せる訳じゃない。 でも、だから本を手放せないのかというとそれだけでもないしなぁ。 ……はぁ。 例えば最後の一冊のために読んでいるのかなと思ったりする。 最後の一冊はきっと究極の一冊で、それを読んだらそれだけで空ろな 自分の内側をいっぱいに満たせるに違いない。――という幻想。 さてさて、明日が仕事始めです。 ああああああ。怠惰は罪です。わかってます。 でも怠けすぎて、明日が不安です。
全3巻 ハヤカワ文庫
東京創元社 ◇書物に対する偏愛と過度の所有欲とは、やがて病に高じて、人をも殺しかねない。 ◇書物は書物について語る場合の珍しくないことが、それどころか 書物同士で語り合っているみたいなことが、私にもわかった。〜中略〜 文書館はいっそう巨きな不安の塊りのように見えた。どうやらそこは 何百年もの長きにわたって、ひそかな囁きの場であり、羊皮紙と羊皮紙 が交わしてきたかすかな対話の場であり、文書館は一種の生き物であり 人間の精神では律しきれない力の巣窟であって、多数の精神によって 編み出されてきた秘密の宝庫であり、それらを生み出した者たちや媒介 した者たちの死を乗り越えて、生き延びてきた ◇書物というのは信じるためにでなく、検討されるべき対象として、 つねに書かれるのだ。 あの文書館に入ってみたいです。読めないけど。
恵
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