夢見る汗牛充棟
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2005年02月28日(月) 死刑囚042 小手川ゆあ

集英社YJ 全5巻 衝動買い

全10巻なら買わなかっただろう。1巻だけ試し読みどぞ〜
…という書店の策略にうっかりはまった。どう終わるのかが
気になってしまったのだ。

犬は三日飼ったら情が移る…いや、そうじゃなくて。

作者がファンタジーだと言っておられたが、むしろメルヘンでは
ないかと思う。ファンタジーは思うにもっとリアルなものじゃ
ないか。

死刑制度が云々という舞台で社会的なことを述べたいのではなく
ささやかな幸せって難しいよね、誰もが幸せになりたいのにね、
生きてて良かったね、喜びを感じられてよかったね、がんばれ
…みたいなごくありきたりな生への賛歌と思う。

社会じゃなくて、暮らし。根本的にとても軽やかで善良。
はあとふるな夢物語。ある男の生き様、というほどの濃さはなく。

…夢だから醒めることが前提。その辺、もの哀しい。


闘技場で戦うことを強要された男が、自らの命も危うい
状態で相手の命を絶つことが死刑にあたるのか?とかは置いて
おかなくちゃいけないとわかっていても、…気になるなぁ。

教育矯正という目的。みせしめという目的。
昔はおそらく【みせしめ】が主だったから、むごたらしい刑罰が
多いし、衆目の中で行われるし。
我々の社会でこういう振る舞いをした者はこういう目にあうのだ
という宣言ってものは、それなりに他者への抑止になっただろう。
人間の命がそれだけ軽かったってことでもあるので、そりゃ現在
には似つかわしくないでしょうが。

生命は尊く、誰にも等しく生きる権利がある社会では、教育や更生
が主だろうし、だから死刑廃止とか言われるんだろうが、
個人的には人間の命は尊いというならば、その尊いものを(故なく
だったり、利己だったり、快楽だったりするだろうが)奪った者は
一体何をもって償うか、という思いも正直なところある。

(でも自分がもしも殺人者になったら、それでも利己的な私は、
死にたくねえと願うだろう。反対に身近な誰かが人のせいで死ぬ
ようなことがあったら、なんでその人は生きているんだと思って
しまうかもしれん。結局、自分がどの位置に立つかによって感じ方
は変わるだろうが)

人間という要素を除いて【死刑制度】だけをいうなら私は
反対でない。というかむしろ必要だと思っている。


…話が反れたが、042号こと田嶋くんは、大型犬っぽくて
可愛かった。ちょびっと萌え。でかくて、健気で寡黙な
男はそれだけで可愛いです。
てゆーか、なんで死刑囚なんだ(泣)くそう!!


2005年02月27日(日) 弁護士はぶらりと推理する マルチェロ・フォイス

ハヤカワ文庫 なんとなく購入

読了。

推理小説なんだが、あまりそんな感じがない。

【いかなるときでも心地よきもの】
語り手「ぼく」視点→三人称→主人公「わたし」視点とくるくる
入れ替わって展開していくのがややこしかった。
するっと読んでいると視点が変化していて、「あれ?」と。
混乱して数頁戻るの繰り返し。散漫な人間には辛い構成だが、
それが面白さでもあるんだろう。

【空から降る血】
事件と「わたし」の内面が重なって展開していく。
やはりミステリーを読んでいる、という気分とはちと異なる。
こちらの方が好きだ。

どちらもサルデニア島の人々の暮らしぶりがいい。
「わたし」が語る景色の美しさがいい。あと魅力的な女性の表現も。
詩的だ。ゆえに「わたし」視点で描かれる部分が一番好ましい。

【まえがき】は飛ばすんでなければ先に読むわけで。
今回は、たまたま読んだ訳だ。そこには「作品を読んだあとに読んで
いただきたい云々」とあった。じゃあどうして【あとがき】にしない
のだ!?納得いかん。

■■   ■■   ■■
図書館へ行く。
しかし、借りたい本がまだ貸し出し中だった。
もう待てるか!!と鼻息荒く予約する。ついでに返却予定日を
教えてくださいとカウンターの人に問い合わせたところ、2月5日が
返却予定日とは何事だー。たちどころに返せぇぇぇぇぇぇ(念)


2005年02月26日(土) アイザック・アシモフ コンプリート・ロボット

ソニーマガジンズ 図書館 作家が好き

読了。

既読作品も多いので、懐かしい。
読んだことのないRダニールものが読めて嬉しかったが、イライジャの
やり方は結果オーライだよな、とも思う。
間違ってると、二時間ドラマで無実の人間を逮捕しちゃう刑事さんと
大差なくなるような気も。

ドノヴァンとパウエルと、スーザンあたりの話は好き。

【ロビィ】は何回読んでも萌える。
魅力的なロボットやアンドロイドがたくさん生み出されているけど、
私的一番はロビィなのだ。なんとなく。

憧れるアンドロイドやロボット。

ロビィ。人間型じゃないし、美形でもないのに好ましい。
少女への振る舞いが、人間の目から見ると(本来ありえないのであろう)
愛情に裏打ちされた行為のように見えるからいいんだろうな。

R.ダニール。人間に酷似したロボット。
現に目の前に存在したら、つきあっていくのはすごく大変だろうと思い
ながらも非常に憧れる存在。

TNGのデータ少佐。セールスポイントは、宇宙に唯一のユニークな
アンドロイドだということ。琥珀色の目と美声(吹替え不可)が萌え!!
だが、ON/OFFが背中のスイッチでできちゃうというのはどうにも
無防備すぎやしませんか?
ユニークといえども、ロアとB4がいる。世の中には似た人が3人はいる
って本当だったが、価値観が同じでなかったので共に歩めなかったのが
不幸だ。最初にデータさん見た時には、Rダニールを視覚化するとこんな
感じかと思ったが、外観はともかく両者の価値観や生き様はまるで対極
にありそうな気がする。

R.田中一郎くん。ご飯が燃料っていうのがすごすぎるアンドロイド。
世界征服のために生み出された割には、身近でかわいい。
内蔵の電源でご飯を炊いている姿を見たとき、こんな友達いたらいいなぁ
と強く思ったものだった。(まるで、どこでもご飯が炊けるから好きだ
と言っているようだな…)

そのうち、こんなアンドロイドやロボットとお目にかかれる日が
来るんだろうか。彼らを恐れないですむといいなと思う。


2005年02月22日(火) 鳥類学者のファンタジア  奥泉光

集英社 図書館 友人の薦め+タイトルに惹かれ

読了。
序章にあたるんであろうイントロダクションが少々辛かった。
序章過ぎれば、あとは文体にも慣れて楽しく読めた。

ジャズが好きという訳ではないので、心のままにあっちこっちへ彷徨われると
【いいから、本題に入れ!!】と語り手に説教かましたくなるので、
せっかちさんには向かない語り口かもしれん。
その表現おもしれえなぁと思いつつ、また関係ない話かよ!!と笑い、
かつ苛々した複雑な次第なんだった。

多分、ジャズが好きだときっともっと楽しめるのだろう。
理解力が足りず、何故に【鳥類学者のファンタジア】なのかはわからなかった。

何故だ?

次は【「我輩は猫である」殺人事件】を借りて読んでみようかと目論む。


恵 |MAIL