えすぱっ子
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2003年06月25日(水) 東海プリンスリーグ 静岡学園高校戦(寄稿)

 寄稿を頂きました。有り難うございます。本文は主として、タナカさんから(筆者が加筆しております。ご本人のレポートは、ぽけっと三保日記で見られます)、写真はマイコさんからご提供頂きました。

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03年06月21日15:04開始 静岡県営草薙陸上競技場
 JFA プリンスリーグ U-18 東海 2003
 対 静岡学園高校 ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−− 鈴木真 −阿部−−−−−−

−−大瀧−−−−−−−−−−柴田−−

−−−−− 山本真 −枝村−−−−−−

−−篠田−−高柳−−村越−−森安−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

控え:前田、石垣、雄也、田淵、岡村、上埜、八木
交代:後半08分:篠田 →岡村 (そのまま左SBに)
   後半25分:鈴木真→杉山雄(真希をFW、森安をボランチ、雄也を右SBへ)
   後半32分:柴田 →上埜 (そのまま右MFに)
   後半44分:山本真→八木 (そのままFWに)

静岡学園高校:

−−−−−−横山−−板倉−−−−−−

−−−−能登−−−−−−狩野−−−−

−−−−−−岩谷−−清水−−−−−−

− 中村樹 −松下−−小林− 中村亮 −

−−−−−−−−飯塚−−−−−−−−

控え:後藤、平島、庄子、木戸、浜田、池田、青木、小野、加門
交代:後半12分:岩谷→木戸、後半34分:小林→庄子


▼試合展開

 降り続いた雨も午後からは止み、客席には静学の生徒や選手の家族、それから清水FC5年生の子たちなど、1000人近い観客が入っていた(清水にとっちゃ、いつもの10倍じゃ)。とはいえ、隣接する静学の応援団で埋め尽くされるかと思われたがそうでもなく、相対的には小勢ながら清水サポも多く見られた。試合前には、東海第一で一時代を築いた望月育成本部長が、井田監督と挨拶を交わす姿も見たれた。

 学年ごとの選手数が少ない清水ユースのメンバー構成が若いのはいつもの事だが(清水:3年7人、2年6人、1年5人)、静学も高校勢にしては若いメンバー構成(静学:3年12人、2年8人)での試合。
 静学は、総体予選の東海大翔洋戦で退場処分を受けた左SBの山梨が出場停止、阿部・海人・大瀧ら旧友との対戦は果たせなかった。また、レギュラー格の攻撃的MF宮本が怪我で欠場した関係もあってか、旧来の4−1−3−2ではなく、ボランチ2枚の4−2−2ー2のボックス型で守備的にしてきた。清水がサイドMFが大きく開くのに対し、中盤の4人は攻守を分担し、代わりに両SBが積極的に上がる。今年の静学は、スピーディーでテクニカルな所謂「静学らしい」攻撃的な選手を揃える一方、1対1に強いCB2人とGKがソリッドにゴール前を固めている。
 一方の清水は、左腕を包帯で吊った獅子内の姿が痛々しいものの、U-16代表イタリア遠征帰りの真希と怪我明けの真司を先発に復帰させ、ベストと言って良い陣容で挑んだ。

[前半]
 立ち上がりから、静学は積極果敢にゴールを狙う。まず3分、左サイドで縦パスに反応した能登が、裏に抜け出すと中に切り込みシュートを放つが、GK海人の正面。更に11分にも裏に抜け出す場面を作るが、これは海人が飛び出してピンチを未然に防ぐ。しかし、次第に単調に裏を狙う攻撃に終始し、高いDFラインと海人の飛び出しに封殺されていく。判断の遅い攻撃は、むしろ速攻の格好のエサになっていった。

(左から順に枝村・柴田、篠田・高柳・真希、村越・森安。高校勢では考えられない攻撃的なラインの高さに、静学は戸惑いを隠せなかった)

 一方の清水は、十分にこれに応戦。12分、ボールキープする大瀧が、篠田のオーバーラップを囮にドリブルからミドルシュートを放つと、18分には左サイド中央からのスローインを、真司が神トラップで相手を交わし、そのまま左サイドを独走からシュートを放つ。20分には、右サイドで粘り強くボールをキープした柴田が、一瞬のスキをついてマーカーを引き離しクロス。ファーでフリーの真司にドンピシャ。だが、いずれも枠を捉えることが出来ない。
 静学も中盤では均衡した状態を保っており、どちらに点が入っても不思議ではなかったが、ゴールが近づくにつれて、プレーの正確性で上回っていたのは清水の個人能力だった。21分、右から左へ枝村がサイドチェンジ。PA左外に走りこんできた大瀧が受けると思いきや、意表をついたダイレクトクロス。静学DFの反応が遅れてGK飯塚に任せる格好となったが、そこに阿部が猛烈とスピードを上げて飛び込む。ファーポスト付近でバウンドを巧く頭で合わせると、コントロールされたボールは飯塚の頭上を越えた。1−0。

 これで流れは清水。26分には、篠田のフィードを阿部が落とすと、中央へ入ってきた柴田がポスト、戻して大瀧がミドルシュート。だが、GK飯塚が抑える。それからも、縦と横の揺さぶりをバランス良く織り交ぜながら、中で繋いでから大きくサイドスペースを使って、両サイドを崩しに掛かる。幾度と無くゴール前までボールを運ぶものの、そこは静学DFが粘りを見せた。
 一方、「縦一辺倒」の静学だが、気持ちよく攻める清水の隙を突く形も見せる。38分、右サイド狩野から対角線上を走らせるミドルパス。左サイドから中村友樹がDFラインの背後に抜け出したかに見えたが、間一髪、森安が体を入れる。43分にも、中盤で枝村から岩谷がボールを奪い、中央突破。前に出てきた高柳を巧みなドリブルで抜き去ると、横山へスルーパス。しかし横山はオフサイド。
 清水もその合間の41分、真希から右の柴田に展開し、柴田がDFラインとGKの間にアーリークロス。遅れて反応した阿部だが、抜け出して何とかボールをコントロール、シュートまで至るが飛び出してきた飯塚が至近距離でセーブ。そのまま、前半を終える。

静岡学園      清水エスパルス
2(1) シュート 7(3) 阿部2(2)、大瀧2(1)、真司2(0)、篠田1(0)
2     クロス  4
0    左右CK 4
10    ファール 12 枝村2、村越2、阿部2、篠田、真希、高柳、真司、森安、誰か1
5     犯OS  2 阿部2



[後半]
 立ち上がりは両チーム共、ファール・オフサイドが多く落ち着かない展開だったが、徐々に清水が流れを引き寄せる。8分、カウンターから阿部が一気に右サイドを突破し、中の上がりを確認するとマイナスのクロス。真司がスルーし、後方から枝村がミドルシュート。僅かにゴール左。その直後にも真司が右サイドを抜け出すが、飯塚が前に出て抑える。
 だが、この後、清水が篠田に代えて岡村を左SBという「攻撃的な」交代を行うと、静学もベンチに温存していたスピードスター、FW木戸を投入。ボランチを清水1枚にすると、3トップでそれまで高いラインで封殺してきた4バックを押し込むことに成功。ウイングを軸に、サイドを使う意図も出てくる。それまで必要ではない低い位置で使われていたドリブルも、バイタルエリアでの「勝負」に使用することが多くなり、静学の怒涛の攻めが始まる。

 まず15分、静学は松下からの展開。狩野・板倉のパス交換から最後は左サイド裏のスペースにボールを送ると、中村友樹が完全に抜け出し、ループ気味のシュート。しかし枠外。清水も16分、カウンターから真希が阿部とのワン・ツーで右サイドから60M突破。PA内に進入すると、更に対応にきた松下を交わし、柴田にラストパス。柴田のシュートは、しかし弾かれてゴールならず。すると今度は静学。18分、後方からのロングボール。清水DFがクリアと思われたが、連携ミスから接触し、転倒。そのスキを突いて木戸が完全に抜け出し、海人と1対1だったが決められず。
 清水も懸命に守っており、1対1を止めた海人は確かに「当たって」いた。しかし、ヒートアップする展開は、逃げ切りを図る立場としては好ましくなかったかもしれない。21分、静学は板倉が倒されて、左サイド(清水の右サイド)からのFK、狩野がゴールに向かうボールを蹴ると、PA内中央で海人が相手・味方と重なり合って競り合うもこぼれ、ファーポスト際へ。このボールを収めたのは、冷静な松下の一撃だった。混戦の所を丁寧に流し込まれ。同点。1−1。

 大勢の静学の生徒から起こった歓声に、小勢のエスパユースサポは思わず嘆息。静学の息も上がるが、清水の選手もこれで目を覚ましたのか、反撃を開始。ベンチも、故障明けの真司を退かせると右SBに雄也を入れ、運動量が落ちない脅威の1年生・真希をFWに、より攻撃的な森安をボランチに入れて、攻めにシフト。31分には、大瀧のCKが弾かれたのを枝村が拾い、スルーパス。抜け出た森安は冷静なコントロールからシュートを放つが、GK飯塚がセーブ。
 得点への意欲満々の森安と攻守に淡泊な枝村がボランチを組む清水、そもそもが1ボランチの静学。試合は次第にカウンター合戦へ。攻撃に枚数を掛ける静学の方が攻める頻度に勝るが、主導権を握ったことで逆に手数を掛けすぎる悪癖が復活。決定的の一歩手前まではいくものの、なかなかゴールを奪えない。対して清水は押し込まれる苦しい展開ながら、相手SBやMFが上がったスペースを活かして、効率的に決定機を創り出す。

 33分には、カウンターから真希が60M突破2回目。右サイドからセンタリングを上げるが合わず、しかし、左サイドでボールを受けた大瀧が粘って再度折り返すと、GKが弾きボールがこぼれる。が、既に飛び込んでいた阿部は体勢が悪く反応できず。
 ここで、静学は阿部をマークしていた小林が、空中戦の競り合いで足を痛めて(攣って?)交代。追い込まれたかに見えたが35分、狩野のスルーパスに反応した横山が、オフサイドなく抜ける。海人がPA外に良い飛び出しで防いだ…はずだったが、味方DFと交錯、ボールがこぼれる。完全フリーの板倉が拾うと、GKではなくDFが守るゴールに向けて押し込む、…と思いきや、何故かループシュート。しかも、これを外してしまう。静学は結局、前半から続いたゴール前での正確性の差を、埋めることが出来なかった。

 その後、静学は横山が、清水は上埜のクロスから阿部が、それぞれシュートを打つも枠外。両チーム共間延びしてしまい、ボールがピンポン玉の様に行ったり来たり。時間だけが過ぎていき、もう駄目かと思った終了間際の44分、シュートを松下がブロックしてこぼれたところ、森安が粘って中央を突破して切り返し、右足でミドルシュート。低く抑えられたシュートはGKの手を弾き、そのままゴール左隅に決まる。2−1。決めた森安は左腕を振り上げると、人差し指を立てて観客にアピール。会場には拍手が響く中、清水の選手は欣喜雀躍、ベンチははしゃぎすぎ(笑)。観客席では、ジャンボパルちゃんも宙を舞った。
 その後のロスタイムは、もうはちゃめちゃ。清水は阿部が右からPA内へと単独突破、DFを1人交わしてシュートコースを空ける。形は完璧だったが、シュートは、ゴール左に外れる。その直後にも八木が1対1になりかけるが、ユニを引っ張られた格好で転倒。清水ベンチ陣は激昂し、試合は沸点を迎える。
 
(随所で激しい競り合いが見られた。イエローも両チーム合わせて4枚)

 静学も、最後の最後まで連続攻撃を仕掛ける。最後は右サイドからのセンタリングを、誰かが難しい体勢ながらボレーで合わせるが、海人が抑えて万事休す。清水は静学に初黒星を付けると共に、この時点で単独2位に立った。

静岡学園      清水エスパルス
10(2) シュート 10(3) 森安2(2)、枝村2(1)、阿部2(0)、真希2(0)
               柴田1(0)、誰か2(0)
5     クロス  10
3    左右CK 2
8    ファール 11 森安4、真司2、篠田、村越、阿部、高柳、柴田
4     犯OS  3 阿部2、真司


(手前から主将の大瀧、DFラインのリーダー高柳、やや不完全燃焼気味だった枝村、そして殊勲の森安)


▼試合結果
清水エスパルスユース 2−1 静岡学園
 得点:前半21分:清水・阿部文一朗(大瀧義史・左クロス)
    後半21分:静学・松下幸平(なし)
    後半44分:清水・森安洋文(なし)
 警告:前半05分:清水・村越大三
    前半44分:静学・横山拓也
    後半02分:清水・鈴木真司
    後半38分:静学・木戸吾郎



▼選手寸評

[清水エスパルスユース]
山本真希:つい忘れてしまうけど一年生なんだよね。中盤では素早い寄せと精力的なランを見せ、FWではカウンターからチャンスを創造。


阿部文一朗:物足りないが、代表級CBとのマッチアップとの観点で捉えればまずまず。スペースを得た事も大きいがプレーの精度は向上。



[静岡学園高校]
飯塚渉:セービング、飛び出しの判断共に光る。彼がいなければ清水が早くに試合を決めていた可能性も。

狩野健太:運動量が少なく物足りなさもあるが、ボールを受ける時のポジショニングやスルーパスの感覚は独特。



2003年06月21日(土) クラブ選手権 東海予選 ジュビロ磐田戦

03年06月21日15:04開始 磐田スポーツ交流の里ゆめりあ
 日本クラブユース選手権 東海地区大会
 対 ジュビロ磐田ユース ※40分ハーフ

▼布陣
−−−−−−阿部−−上埜−−−−−−

−−岡村−−−−−−−−−−谷野−−

−−−−−−大瀧−−枝村−−−−−−

−−篠田−−高柳−−村越−−森安−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

控え:前田、石垣、雄也、柴田、真司、八木
交代:後半00分:谷野→柴田 (そのまま右MFに)
   後半09分:上埜→八木 (そのままFWに)
   後半31分:篠田→鈴木真(岡村を左SB、鈴木真を左MFへ)

ジュビロ磐田ユース:

−−−−−−藤井−−岡本−−−−−−

−−−−−−−−上田−−−−−−−−

−−石神−−船谷−−徳増−−沼野−−

−−−−萩原−−峰村−−和田−−−−

−−−−−−−−松井−−−−−−−−

交代:後半23分:石神→中村、後半37分:沼野→山本


▼試合展開

 残業疲れで帰宅、風呂に入って泥のように眠る2時。5時。何故か起きる。愛か? これはジーコジャパンへの愛が為せる業なのか!? とりあえず、前半の内容を確認してから寝直そうとネットに繋いでいると、中村の直接FKが決まる。見逃せなくなる。ゴブの絶妙なボレーで区切りをつけようかと思えば、遠藤のFKがバーに。もう寝るのは諦めた。まあ、フランスも完全B軍で強さを維持できるほど、層は厚くないということか。だが、日本は相手にB軍で勝てると舐められた上で、その通りに勝たれたということを忘れてはなるまい。
 そんなわけで寝不足のまま、友人との約束の関係でローカル線の長征250kmを経て、磐田に着いたのだが、この日は30度近い暑さ。選手はもっと辛いだろうが、観る方も辛いのもまた事実。自然に囲まれるゆめりあは、虫も大量発生。前試合の3位決定戦が早く試合が決まってしまう展開だったこともあって、様々なだるさと戦いながらの観戦となる。

 今年の磐田のタレント宝庫ぶりは、県予選の時に言及した通り。しかし、この日はCBの森下を怪我で欠き、また左サイドのレギュラー格の山本を外して、1年生を2人入れてきた。
一方の清水は、怪我明けの真司をベンチに、U-16代表のイタリア遠征帰りの真希をホペイロに(笑)温存。ドイツ相手に2得点を決めた選手が、海外遠征から帰ったその日にチームに合流して働くという真面目で謙虚な姿には、素直に感動。また、ここ数試合活躍している獅子内も外れたが、姿が見えなかったので怪我かもしれない。築館監督は、代わって岡村を左MFに入れて大瀧をボランチに戻すと同時に、上埜のFW起用という大胆な策に出た。
 この2チームは、7月16日の東海プリンスでもぶつかる。3位の清水、4位の磐田、共に予選突破には落とせない一戦になることは間違いない。東海クラセン決勝は所詮、全国大会出場決定後の試合であり、メンバーを相当落としてくることも予想されたが、ほぼ現状ベストメンバーでの対戦となった。

[前半]
 序盤の流れを掴んだのは清水。大瀧がドリブルとFKから、積極的にシュートを放つ。だが、磐田は10分。右サイドでFKを得て、実質的に初めての好機を掴む。PA内に入れたボールは高柳が跳ね返すが、その先、ゴールから30Mの位置に徳増。清水の選手のプレスも遅かったが、徳増もワントラップから即座に、思い切りよくシュート。ボールはPA内の密集地を飛び越えると、柔らかい軌跡を描いて海人の指先を抜け、ゴール左上角のネットを鋭く擦るように吸い込まれた。初シュートで磐田が先制する。0−1。
 この後、勢いは磐田に移り、岡本が裏を狙って突破を仕掛けるが、海人が素早い飛び出しで決定機を未然に防ぐ。すると、次第に両サイドから崩しを仕掛けると、23分には谷野が中に切れ込みながら溜め、森安が谷野のいた位置に攻め上がる。谷野からパスが出ると、浅い位置ながらダイレクトで右クロス。低く綺麗に巻いたボールを、枝村が2列目から飛び出ながらボレーで合わせる。柔らかくファーサイドを狙ったが、曲がりきれずにゴール左へと外れる。
 以後、主導権は完全に清水。やや神経質な主審の笛でプレーが断続的になりがちだが、中盤は積極的に大瀧と枝村が前に出て、制圧に成功する。25分、森安の右クロスの跳ね返しを、大瀧が奪って反転、シュート。28分、大瀧から追い越した枝村へとパスが出て、左の岡村にチェンジサイドするが、クロスはDFがCKに逃げる。29分、森安のクサビを枝村が前に流して、大瀧がシュート。
清水の流れが続くが、阿部は押し込んだ分だけDFに囲まれており、決定的な場面に絡めていない。

 折からの暑さ、袖を捲って日向君スタイルにしてた峰村が、審判に注意されたりした後の33分。清水は左センタリングゾーン、やや浅い位置からFKの好機を掴む。壁は2枚。大瀧が蹴った速いボールはゴール前で鋭く曲がり、ファーポスト前で頭一つ高く飛び上がる阿部へと導かれる。的確にたたき落としたボールは、松井の脇の下を抜け、ファーサイドに吸い込まれた。1−1。
 前半の内に追い付いた清水は、俄然攻勢。反撃する磐田も、久々(20分振り)に藤井が左からクロスを入れるが、篠田が跳ね返して速攻。35分、阿部が受けると軽く溜めて自分を追い越した枝村にクサビ、枝村は反転からDFの前で二、三、フェイントを入れてから、ボールを左サイドへ。そこに岡村が走り込んで左クロスを入れると、起点の阿部が飛び込んでいったが、一歩早くDFがクリアする。
 さらに36分、左サイドで開いて受けた岡村は、後ろから回り込む大瀧を囮に中に切れ込む。ドリブルで中盤から持ち込むと、阿部へクサビ。これを簡単に逆側に捌くと枝村が駆け込み、素早い切り返しでマークを外して、ミドル。しかし、ゴール右に外れる。
その後も、阿部のシュート、沼野の突破から船谷のCKなどもあったが、試合に動きなく、ハーフタイムを迎える。

磐田        清水エスパルス
1(1) シュート 9(3) ×大瀧、○大瀧、×枝村、×大瀧、×阿部、×大瀧、◎阿部
               ×枝村、○阿部
2(1) 右クロス 4(1) ×谷野、○森安、×森安、×森安
2(0) 左クロス 4(0) ×篠田、×大瀧、×岡村、×岡村
1(0) 右側CK 2(0) ×大瀧、×大瀧
0(0) 左側CK 2(0) ×枝村、×枝村


[後半]
 後半、先に仕掛けたのは清水。0分、中盤で奪い速攻、阿部が下がってクサビを受けると反転、ドリブルしながら右のサイドスペースへスルーパス。そこに交代投入の柴田が加速して受けるが、更に大外から森安が追い抜き、柴田のスルーパスを受ける。森安は加速しながら縦に突破、PA内に入って中を見ると、角度のないところからシュート。球足の重い良いシュートだったが、GK松井、ガッチリとキャッチ。
 以後も献身的な動きを見せる柴田に支えられ、森安が積極的に絡んで右サイドから仕掛ける。だが磐田も次第に落ち着いてくると、沼野を中心に同じくサイドを崩しに掛かる。一進一退の展開が続いていたが10分、磐田は左サイドから石神がスローイン。森安は石神の近くでコースを塞ぎ、枝村がポジションを下げて上田をケアしていた。しかし、その枝村の後ろにススッと抜け目無く、船谷がポジションを移動。ベンチから枝村に喚起の声が発せられた時には既に遅し、船谷がフリーで裏で受けた後。その後の枝村のカバーも淡泊で、余裕を持って船谷がクロスを入れると、高柳の裏に岡本がマークを外してヘッド。海人に出来たのは、遅れて飛びつくことだけだった。1−2。

 後半も早い時間で点を奪われると、やはり勢いは磐田に移る。しかも、今度は清水の運動量が落ちており、なかなか主導権を取り戻せない。前線と最終ラインの距離が空きながら、前半同様に大瀧・枝村が共に前目のポジションを取るため、中盤の広いスペースを埋め切れていなかった。一方の磐田は、低い位置から正確なフィードで、スピードのある2トップに合わせてくる。
 失点直後の11分、ロングフィードに対し体を入れ合っていた岡本が、村越が押したタイミングでPA内に倒れるが、判定はノーファウル。14分、右の藤井からハイボールでクロス。海人の守備範囲に思われたが、岡本と競り合いで体勢を崩し、ボールをこぼすと、拾った上田?がダイレクトで無人のゴールへシュート。だが、カバーに入っていた篠田が奇跡的にこれを受け止める。18分、ペナルティエリアの右角から5Mほど離れた位置から磐田のFK。壁は3枚。船谷が蹴ると低く速いボールは壁の横をすり抜け、壁の裏で藤井がファーサイドへとボールの軌跡を変える。だがGK海人、瞬間的な反応で片手一本を差し出し、どうにかCKに逃れる。そのCKはファーサイドで折り返されるが、シュートはDFブロック。
 押し込まれる展開になると、頼りになるのは阿部。逆に前線にスペースが生まれるからだ。前半の峰村への注意を参考に、微妙に袖を折り残した日向君スタイルで暑さを凌ぐ阿部。21分、速攻で中盤の底から右サイドにボールが出ると、柴田は加速しながらルックアップ、前線逆サイドに走る阿部に合わせる40Mサイドチェンジ。阿部の巧みな浮き球トラップはマークする和田の頭上を越え、PA内へと侵入する。慌てた和田は追い抜かれた阿部の背中にのしかかり、阿部は転倒。PK(和田に警告)。
 Jリーガー相手のTV企画で小学生PK王者にもなったことのある阿部が自ら、このPKに挑む。短い助走から放ったシュートは、しかし余りにも素直だった。読んだ松井が弾き返し、PKストップ。松井は当時のJリーガーより実力が上だと証明した(笑)。

 PK失敗はGKのミスによる失点と同様に、チーム全体に与える影響が大きい。このPK失敗も、試合における大きな分水嶺となり、イニシアティブは磐田へ。25分、ロングフィードから藤井がバイタルゾーンでフリー。そのまま高柳に対して中央突破を仕掛けると、サイドステップ。村越が急ぎフォローに入るが、そのスペースに中村が駆け込むと、走るスピードは落とさずにボールタッチで勢いを殺して、藤井のパスをループシュート。海人の長い手足を越えてゴールに吸い寄せられたが、無情にもバーに嫌われた。
 対する清水も26分、篠田のPA内に放り込んだFKが誰にも合わずに逆サイドへと流れるが、これを柴田がフォロー。後ろに戻し、森安がまたもダイレクトで右クロス。これを再び枝村が走り込みながら今度は巧くコントロールするが、威力なく、松井が余裕でキャッチする。
 磐田の攻勢は衰えず、26分には上田がドリブルシュート。27分には上田の左CKを海人がパンチで弾くと、これを拾って再び上田に渡り、左クロスから中村がヘッド。篠田がクリアして右CK。船谷のキックは海人がこぼすが、村越がクリア、これを受けた阿部が速攻からドリブルシュートを放つが、松井の正面。
 30分、中盤でスペースを得た枝村、スピードを上げて中央突破を仕掛けると、進路を塞ぐ相手に対し、得意の素早いインサイドフックのフェイントを繰り返し、抜きに掛かる。と、その体勢のまま、右サイドへとダイアゴナルフィード。これに柴田が受けて、そのままドリブルでマークを外し、角度のない位置からシュート。だが、松井も片手一本で、これに反応。こぼれ球をPA内に侵入していた枝村がボレーで狙ったが、和田と交錯したボールは威力無く、松井がキャッチ。

 ここで築館監督、篠田に代えて遂に真司投入。岡村を左SBに下げ、思い切って攻めに出る。しかし磐田の勢いは止まらず、33分には船谷の突破を森安がスライディングで倒し、FK。磐田コーチ陣は主審にイエローを催促して逆に注意を受け、勝利への意気込みを感じさせる。船谷のシュートは大きく上に外れる。
 清水も枝村→大瀧→真司と渡って、真司がドリブルシュート。交代の効果を示すが、一方で岡村のクサビのパスをカットした徳増から、岡村の裏のスペースに藤井が抜け出てシュートを放ち(ニアサイドネット)、守備面への逆効果も露呈する。
攻撃では38分、岡村のロングフィードから左サイドに阿部が抜け出ると、ファーストタッチで山本(磐)の頭上を越して突破、たまらずファールで止められ(警告)、左サイド深くでFKの好機を掴む。蹴るのは当然、大瀧。しかし、低く速いボールで壁をすり抜けようという狙いは読まれ、簡単に跳ね返された。
 今度は守備面で38分、山本(磐)の突破に対応した岡村、素直に正面から弾き返したボールをリバウンドで拾われて強引な突破を許す。深く抉った山本(磐)は、45度のマイナスの折り返し。ボールの先ではバイタルゾーンに走り込んだ船谷が、満を持してミドル。だが、海人も反応して弾き返す。そこにゴール前に詰めた藤井、超至近距離からガラ空きのゴールへと押し込もうとするが、シュートは見事な宇宙開発。

 その後、八木とのPA内細かいワンツーで侵入した枝村が、体を入れ合う萩原に押されて倒れるが、11分の岡本と同様、これもノーファウルの判定。最後、柴田の突破からCKを奪い、大瀧が蹴り入れるが跳ね返され、岡村が拾ったところでホイッスル。1ヶ月前の静岡予選に比べるとだいぶ差は縮まったが、まだ磐田が1枚上手であった。

磐田        清水エスパルス
11(7) シュート 8(7) ○森安、○枝村、○阿部、○枝村、○阿部、○柴田、○枝村
               ×真司
7(0) 右クロス 5(2) ×柴田、○森安、×森安、○森安、×森安
2(2) 左クロス 1(0) ×大瀧
2(0) 右側CK 2(0) ×大瀧、×大瀧
1(0) 左側CK 0(0)



▼試合結果
清水エスパルスユース 1−2 ジュビロ磐田ユース
 得点:前半10分:磐田・徳増欣也 (なし)
    前半33分:清水・阿部文一朗(大瀧義史・FK)
    後半10分:磐田・岡本達也 (船谷圭祐・左クロス)
 警告:後半21分:磐田・和田新吾 (ラフプレー)
    後半38分:磐田・山本将吾 (ラフプレー)


▼選手寸評

山本海人−−決定的なシュート・飛び出しを何度か防いだが、簡単にこぼす場面が目に付く。

森安洋文−−失点場面以外ではほぼ完璧。巧みなキックと、逆からのクロスへの守備が光る。
村越大三−−読みと速さで奪っては正確なフィードで貢献したが、藤井相手に何度か遅れも。
高柳亮太−−前半のライン統率は完成の域。裏も広範にカバーしたが、やはり1対1に弱い。
篠田大輔−−攻撃は物足りないが、対面の沼野にスペースを与えず、CB裏も的確にカバー。

谷野由紘−−高いキープ力で森安の攻撃参加を導く。バランスに苦慮し、自分の色は見せず。
枝村匠馬−−双方含めて常に鍵を握る存在であったが、局面での淡泊さが2失点目に繋がる。
大瀧義史−−枝村が前掛かりになるにつれ、役割が重なり消える。低い位置での仕事が課題。
岡村総一郎−巧みな連携と個人突破で攻守に貢献。SBでは力不足。局面の弱さを露呈した。

上埜健太−−独特の間合いでの細かいパスはあるが、存在感はそのぐらい。ほぼ消えていた。
阿部文一朗−制空権を握り、素早い叩きも突破もあり、非常に良かった。PK失敗以外は…。

柴田和秀−−谷野に比べ突破に劣るが、動き出しは早い。利他と勝負を使い分け、良い内容。
八木和秀−−常にライン駆引することで阿部を自由にさせたが、八木自身は全く消えていた。
鈴木真司−−守備に負担を掛けた割に、攻撃で脅威になれず。使われる機会も少なかったが。


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03年06月21日13:04開始 磐田スポーツ交流の里ゆめりあ
 日本クラブユース選手権 東海地区大会
 名古屋グランパスエイトユース 対 愛知FCユース ※40分ハーフ

▼布陣
名古屋グランパスエイトユース:

−−−−−津田−−上村−−−−−

−−−−−−−高橋−−−−−−−

−根津−−深谷−−稲垣−−上原−

−−−小寺−−諸江−−小出−−−

−−−−−−− 森 −−−−−−−

交代:後半16分:根津→杉原、上村→B・プラーツ、後半31分:上原→中田

愛知FCユース:

−−−−−09−−14−−−−−

−11−−−−−−−−−−10−

−−−−−07−−06−−−−−

−05−−03−−04−−02−

−−−−−−−01−−−−−−−

交代:後半00分:01→20、10→12、後半06分:02→17、後半12分:14→15


▼試合展開

[前半]
09分:名古屋、深谷のスルーパスに津田が抜け出す。ゴール右ポスト付近で追い付いて振り返ると、45度に折り返し。そこに上原が走り込み、綺麗にファーサイドに流し込んだ。1−0。

10分:名古屋、深谷からのロングフィード。左サイドからウェーブの動きで走り込んだ津田がDFラインの裏で受けると、冷静にファーサイドに流し込む。2−0。

31分:名古屋、稲垣がドリブルで仕掛けると、中央の高橋に戻す。高橋は逆サイドにスルーパス。またもPA内裏に津田がウェーブから抜け出し、ファーサイドに流し込む。3−0。

36分:名古屋、愛知FCボランチの軽率なプレーから稲垣がカット、ボールがこぼれた先には深谷がバイタルゾーンでフリー。DFに寄せられるも、狙い澄ましたループミドルはGKの腕を越え、綺麗に巻いてゴールに突き刺さった。4−0。

37分:愛知FC、左SB?からのロングフィードから11番が小出の裏を取り、サイド突破。クロスを入れると、中央で囲まれる14番を越えて9番がフリー。ヘッドがゴールへと突き刺さった。4−1。

愛知        名古屋
3(2) シュート 11(6)
2(0) 右クロス 4(1)
6(0) 左クロス 6(2)
0(0) 右側CK 3(0)
0(0) 左側CK 0(0)

[後半]
23分:名古屋、自陣からのロングフィードからワンバウドして大きく弾んだボールに、飛び出したGKの前へと津田がスッと入り込んでバックヘッド。GKの腕を越えたこのシュートが、何とゴールへと吸い込まれてしまう。5−1。

ロスタイム(42分):名古屋、愛知FC右SBのバックパスが弱すぎたのを見逃さず、高橋がカット。そのままループで無人のゴールへと放り込んだ。6−1。

愛知        名古屋
3(0) シュート 7(4)
8(2) 右クロス 6(5)
2(0) 左クロス 4(0)
1(0) 右側CK 2(0)
0(0) 左側CK 0(0)


▼試合結果
名古屋グランパスエイトユース 6−1 愛知FCユース
 得点:前半09分:名古屋・上原剛大(津田知宏・右クロス)
    前半10分:名古屋・津田知宏(深谷朋宏・ロングフィード)
    前半31分:名古屋・津田知宏(高橋良太・スルーパス)
    前半36分:名古屋・深谷知宏(稲垣順 ・ショートパス)
    前半37分:愛知 ・09番 (11番 ・左クロス)
    後半23分:名古屋・津田知宏(????・ロングフィード)
    後半39分:名古屋・高橋良太(なし)
 警告:後半35分:名古屋・小寺勝也(ラフプレー)



2003年06月07日(土) クラブ選手権 東海予選 名古屋グランパス戦

03年06月07日14:00開始 安久路グラウンド
 日本クラブユース選手権 東海地区大会
 対 名古屋グランパスユース ※40分ハーフ

▼布陣
−−−−獅子内−−阿部−−−−−

−大瀧−−−−−−−−−−谷野−

−−−−−真希−−枝村−−−−−

−篠田−−高柳−−村越−−森安−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:後半10分:谷野 →柴田(そのまま右MFに)
   後半36分:獅子内→八木(そのままFWに)

名古屋グランパスエイトユース:

−永芳−−−−津田−−−−上原−

−−−−−−−稲垣−−−−−−−

−−−深谷−−青山−−高橋−−−

−−小寺−−−諸江−−−JB−− JB:ジョシュア・ブラーツ

−−−−−−− 森 −−−−−−−

交代:後半26分:永芳→小出、後半31分:高橋→上村
 
※基本的に3−4−3。


▼試合展開
どのバスに乗っていいか分からなかったものだから、暫く迷った後、時間もなく仕方なくタクシーへ。そこで安久路が「アクジ」と読むことを教えてもらう。ううむ、安久路は「悪事」の異名だろうか? 民俗学的好奇心に駆られるところである。もっとも、学者ではない私には駆れただけだが。
会場の安久路グラウンドには観客席などはないが、裏側が土手になっており、意外と見やすい。昨年同様、総体県予選決勝と重なったが、会場には50名以上が集まっただろうか、昨年よりも増えた印象。名古屋の熱心なサポがゴール裏に陣取り、試合前にはエールを送っていた。初夏ながら曇りの天気で風も涼しく、なかなかのコンディション。

さて、昨年も東海準決勝でぶつかった名古屋グランパス。Jrユース時代に高円宮杯(U-15)を制した昨年の3年生が抜ける影響は大きいかに思われたが、現在東海プリンスは暫定で2位。しかも、上位の静学・ジュビロ・エスパとは対戦済みの上、これから静岡県勢同士での潰し合いが予想されるため、圧倒的に優位な立場にいる。清水とは、中日本も含めて現在3戦3勝。プリンスでも阿部が退場になる荒れた試合をモノにしている。名古屋の監督も、そのことを意識してか、試合前に今までの戦績は関係ない、全力を尽くすようにと強調していた。
3年生僅か3名(小出・諸江・深谷)というチームだが、下級生、特に2年生が充実。この学年は、世代別代表選手を各所から集めたジュビロに隠れた感もあるが、グランパスも良い補強をしている。岐阜(小寺・津田・遠藤・立道・水崎)、和歌山(稲垣)、徳島(高橋)、岡山(永芳)、オランダ(ジョシュア、監督の息子さん)と各所から集まった精鋭が、森・上原の下部昇格の選手と組み合わされたチーム。1年生も、先発したFCみやぎバルセロナ出身の青山を軸に、和歌山・鳥取・徳島・岐阜(・オランダ)と各所から人材を募っており、小学生の時から将来を嘱望されている今年のJrユース3年生が昇格する翌年以降は、飛躍が期待される。
一方の清水エスパルス。私の予想など大きく外れ、思い切った布陣を組んできた。前の試合の三好FC戦で活躍した獅子内・谷野をそのまま先発。一方で、森安を右SBに回し、まだチームに慣れていない谷野をフォローする気遣いを見せた。真司は顔を見せていたものの今日は練習着姿のままで、試合復帰はお預け。

[前半]
開始1分、相手ボランチのパスが弱すぎたのを枝村が拾い、距離25Mから早くもオープニングショット。春先の清水は両サイドMFがウィングに近い位置を採ることで、4−2−4になってしまい、中盤が消える場面も多かったが、この日は谷野・大瀧がバランスを意識し、中盤の4人が一定以上の運動量を保つ。更に球際に激しく体をぶつけることで、出だしから支配率で優位に立つことに成功した。

しかし、名古屋の3トップの完成度も高く、時には中盤の組み立てに加わりながら、速攻の場面では前線に3人を残すことで容易に数的同数を作っていた。正直、清水のトップに見習わせたいほど(苦笑)。特に両ウィングの上原・永芳が、不安定の清水両サイドを崩しに掛かる。
清水が押し気味に進めながら、最初の際どい場面は名古屋。10分、名古屋は右(篠田サイド)からの展開でボランチを押し込むと、3列目の高橋がスルスルと上がって、フリーでパスを受ける。慌ててチェックに行くボランチを軽く左にスライドして交わすと、正面から15Mミドル。球足の重い良いシュートだったが、海人が正面で捉えてCKに逃れる。結局、これが名古屋の前半唯一のシュートとなった。永芳の右CKは、海人が高さを活かしてキャッチ。
その後、枝村がCKゴールを狙ったボールを、GKが際どく掻き出す場面もあったが、名古屋は15分。大きく左に開いた永芳から戻したボールを受けて、稲垣が突破を図る。谷野が戻って追い掛け、待ち受ける村越と挟撃するが、PA手前でチェックに来た村越の逆に切り返し、PA内に侵入。そこで追走する谷野の手に押し出されるような格好で稲垣が激しく倒れたが、判定はノーファウル。PKもらうには、倒れ方が不自然に派手過ぎたか。
清水は中盤で優位に立ちながら、180cm級が3枚並ぶ名古屋最終ラインを崩せずにいたが、20分。深谷へのパスを読んだ村越が一瞬早く体を入れ、交錯しながら奪取。深谷が倒れたことで余裕の得た村越は前線の動き出しを待つと、狙い澄ました50Mアーリークロス。PA内に走り込んだ阿部は、一瞬マークを外して頭から突っ込むも当たり損ね。しかし、左大外からフリーで回り込んだ大瀧が、こぼれ球に左足から投げ出すように飛び込むと、ダイレクトボレーで、しかし丁寧にコントロールショット。ゴールに押し込んだ。1−0。先日の磐田戦に続く、素晴らしい村越のキックが、先制点を呼び込む。

その後、高橋や永芳にPA内まで切り込まれる場面もあったが、全体としては清水が余裕を持って攻勢。谷野の突破で深谷のイエローを誘い、大瀧のアーリークロスはマークを外した阿部に僅かに合わず、さらに谷野とのワンツーで右サイドに流れた阿部がタッチライン沿いにドリブル突破を仕掛ける場面もあった。谷野は後ろの永芳へのマークが遅れる場面も目立ったが、対面の相手キープレーヤー、深谷を攻守に巧く抑えていた。
33分、サイドスペースを狙った相手ロングフィードを、村越がスピードを活かして先に反応。名古屋FWは諦めて守備ポジションに戻ったため、村越はフリーになった。様子を見て、今度は縦に低くロングフィード。待ち構える阿部はDFと同体の状態から力で押し退け、速さでPA内で前に出ると、やや斜めに後ろから走るボールを強引にボレー。GK、僅かに触れて軌道を逸らせ、CKに逃れる。
大瀧のCKはGKに防がれるが、続けて36分にも大瀧のクロスをDFがブロックし、左CK。枝村のキックはファーでDFがタッチに逃げ、大瀧の右CK。際どいボールだったが、GKがいち早くパンチングでPA外まで叩き出す。しかし、枝村がこれを拾い、左スペースに流れてボールの入れる先を探しながら、軽いインサイドフックから一気に加速。大きく回り込んで左サイドを10M余り突破、クロスを入れたがDFがクリアする。

更に39分、名古屋のロングフィードを海人が足で止めると、残り時間を考え、溜めながらラインを上がらせる。十分に時間を稼いだ後、60M余りは飛んだボールに阿部が競り合うが、クリアしたのは名古屋DF。しかし、落としたボールは森安が拾い、右肩で相手をスクリーンしながら内側へとドリブル。待ち構えるDFの直前で左横に急加速し、右45度から左足で20Mミドル。丁寧な低いシュートは横っ飛びするGKの手すら通り抜けたが、ファーポストに嫌われた。
この後、真希が奪ったボールを交錯しながら入れ替わった獅子内がドリブルシュートを放ったが、GKが正面で受け止めて、1点のリードのまま前半を終える。

名古屋       清水エスパルス
1(1) シュート 8(4) ×枝村、×高柳、○枝村、◎大瀧、×谷野、○阿部、×森安
               ○獅子
3(0) 右クロス 3(1) ×森安、◎村越、×森安
2(0) 左クロス 6(0) ×阿部、×真希、×大瀧、×真希、×大瀧、×枝村
1(0) 右側CK 3(0) ×大瀧、×大瀧、×大瀧
0(0) 左側CK 3(0) ×枝村、×枝村、×枝村


[後半]
後半は前半とは逆に、速攻から名古屋の稲垣がオープニングショットを放って始まる。清水もサイドを使って攻めるが、攻勢の名古屋は6分、左からの崩しを防いでカウンター。中央やや右寄りで高橋が受けると、チェックに来た高柳とのリョウタ対決は、素早く切れ込んで体を入れた高橋の勝利。置き去りにして篠田が戻りきらない右サイドのフリースペースに抜け出し、速く低く鋭いセンタリング。これをニアに走り込んだ稲垣が、加速する勢いのまま豪快にボレー。至近距離から海人のニアを撃ち割った。1−1。
早い時間帯に同点に追い付かれ、清水も枝村が獅子内とワンツーから、もう一度獅子内にスルーパスを通すなど、試合のスピードを上げる。しかし、勢いは俄然、名古屋。清水が前に入れるパスに対し、各ラインが積極的な動き出しで先を取り、次々と一つ前に出てアンティシペーションに成功していく。9分には、スペースに転がしたスルーパスに対し、篠田が完全にボールウォッチャー。恐らく何人かはオフサイドだったかと思うが、自分の裏を警戒してボールを見送る篠田の背後から、青山が30M以上走って猛然と追い掛けると、タイミングを見計らってラインギリギリからダイレクトで右クロス。だが、逆サイドから詰め寄せた森安が高い打点で何とかクリアする。
名古屋の勢いに押された清水は、とにかくクサビのパスを読まれてしまうため、長いボールに頼らざるを得ない。一方の名古屋も、3トップの特性を活かし、縦に速い攻撃で攻める。繋がないサッカーは、やはり精度が低い。名古屋は上原のアーリークロス、清水は途中投入の柴田がスペースで受けて早いタイミングでクロスを入れるが、共にDFが跳ね返し、シュートのない状態が続く。やがて、同点から10分が過ぎたあたりから、名古屋の足が止まり始める。

20分、真希がマークをスクリーンして、枝村がチェンジサイド。篠田のパスから大瀧が縦に抜け出し、流れの中では両チーム含めて久々にサイドを深く抉る(ボールはCKに)。22分には、森安が中盤で奪うと、中央阿部とのワンツーから中に切れ込む。混戦のままPA内に侵入したところで小さく右に叩き、そこで真希が右30度からダイレクトシュート。威力はあったが、枠の上に外れた。同点シュート後、実に16分過ぎて両チーム初めてのシュートである。
24分、中盤で真希が奪うと、右に軽く開く柴田へ。これを見た枝村、中央から加速すると奪い取るかの勢いで柴田とスイッチし、そのまま右サイドに流れる。スピードに乗ったままの鋭い切り返しでDFを交わすと、最終ライン裏のスペースを斜めに走らせる、スルーパスとセンタリングを組み合わせた完璧なボールを送る。ファーに抜け出した阿部は、GKのいないサイドに詰めるだけであった。2−1。

その後も清水のペース。直後の25分には、真希がドリブルで20M中央突破してシュート、GK正面。29分、枝村が阿部とのワンツーで中央突破、獅子内がクサビに入って左に流すと大瀧がスペースを突いてクロスも、DFがカット。
対する名古屋は、3人目の3年生小出を右CBに入れ、ジョシュアを右MFに上げる特攻体制。30分にはカウンターから、慌てた大瀧と篠田が中央に寄ったアンバランスを見逃さず、右スペースに展開。ジョシュアが抜け出してサイドを抉ると、意表を突いて殆ど角度のない位置から痛烈な10Mシュート。しかし、コースのないところから海人の牙城を崩すことは能わず、正面でキャッチ。
更に32分にも、清水最終ラインを柔らかく越えるロビングパスで、ここまで完全に消えていたエース津田が、ついに裏を取る。PA内右20度で構えると、これをダイレクトボレー。しかし、余りに難度の高かったシュートは大きくファーに外れる。

一方の清水は35分、大瀧が縦に入れたボールを、引いてきた阿部が簡単に横に叩き、枝村がそれを受けてドリブル。阿部の空けたスペースに突入すると25Mミドルを放ったが、右に外れる。続いての相手の攻撃を素早くカットした獅子内が、そのままドリブルで勝負して強引に相手最終ラインに割り込むと、20Mミドル。GK、一度こぼしたが、何とか再キャッチ。獅子内はこの突破で足を攣り、八木と交代する。
この交代後、清水は長いボールでサイドスペースを狙い、リスクレスな攻撃で試合をクローズに掛かる。ロスタイム、自陣から森安?が大きくサイドへ蹴り込む。前掛かりの名古屋最終ラインだが、十分に守備範囲。…が、左CBの小出、これをかぶる。競り合うのを諦めた八木は、抜け目無く裏のスペースで待ち受けており、じっくりと味方を待つと、丁寧にラストパス。ゴール中央に駆け上がった枝村が豪快に叩き込み、勝負を決める。3−1。枝村はそのまま名古屋ゴール裏でアップを続ける味方に走り寄り、ハイタッチで歓喜を共有化。危うく遅延行為で警告を受けそうになる(笑)。
その後は、更に時間稼ぎの傾向を強め、大瀧が巧くコーナーフラッグ付近でキープし、そのままタイムアップ。無事に一発で全国大会出場を決めた。

名古屋       清水エスパルス
4(2) シュート 7(4) ×村越、×真希、◎阿部、○真希、×枝村、○獅子、◎枝村
7(2) 右クロス 6(1) ×谷野、×柴田、×柴田、×柴田、×真希、◎枝村
2(0) 左クロス 6(1) ×大瀧、×獅子、×大瀧、×大瀧、×大瀧、◎八木
2(1) 右側CK 0(0)
0(0) 左側CK 4(1) ×枝村、×枝村、○枝村、×枝村



▼試合結果
清水エスパルスユース 3−1 名古屋グランパスユース
 得点:前半20分:清水 ・大瀧義史 (村越大三・右クロス、阿部文一朗:ポストプレー)
    後半06分:名古屋・稲垣 順 (高橋良太・右クロス)
    後半24分:清水 ・阿部文一朗(枝村匠馬・右クロス)
    後半39分:清水 ・枝村匠馬 (八木和秀・左クロス)
 警告:前半05分:清水 ・阿部文一朗(ラフプレー)
    前半22分:名古屋・深谷朋宏 (ラフプレー)



▼選手寸評
山本海人  6.5 セットプレー・クロスでの高さは、頼りになる。この日はフィードも安定。

森安洋文  6.5 序盤は戸惑いがあったが、徐々に安定。特に逆サイドのクロスの対応が○。
村越大三  7.0 そのスピードで敵ドリブラーに対処。大胆な奪取と繊細なフィードで貢献。
高柳亮太  5.5 毎度スピード系には弱い。安定してるが、自分の限界を悟るにはまだ早い、
篠田大輔  5.0 突破に対する脆さは変わらず。失点後、攻撃参加に消極的だったのも残念。

谷野由紘  5.5 動きは上々も、組織に有効なプレーに繋がらず。守備の位置取りに当惑も。
枝村匠馬  7.0 まだできるはず。攻守の切替時に一瞬、立ち止まって考える癖が直れば…。
山本真希  6.0 受験前の躍動感が戻ってきている。体を張った動きで枝村に余裕を与えた。
大瀧義史  6.5 従来の巧さに加え、運動量だけでなく強引な突破まで。波が少ない選手に。

獅子内善雄 6.0 動いてる割には消えてる時間も長いが、その泥臭さが貴重なアクセントに。
阿部文一朗 6.5 体格に頼らず、ポストもシュートもダイレクト意識が高い。吹っ切れたか。

柴田和也  5.0 クロスは入れたが、突破して抉れたはず。今日は冷静というよりも消極的。
八木和秀  5.5 柴田以上に消極的な姿勢が目立つも、得点場面の裏の狙い方は唸らされた。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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