2002年03月31日(日) |
データ集 2001年度 |
オフィシャルイヤーブックに掲載されていた、クラブユース選手権全国大会・高円宮杯・Jユース杯の記録をまとめたもの。但し、大差のついた鳥栖・甲府・大宮の3クラブとの試合は除外し、全12試合を計上。トップで通用する選手を育成するのがユースの目的である以上、難しい試合での活躍こそ重要であると考えるためである。
具体的には、以下の試合を対象とする。 クラブ選手権:浦和(1−0)、神戸(6−2)、札幌(0−2)、名古屋(3−1)、G大阪(3−0) 高円宮杯:仙台育英(4−0)、京都(0−0:PK3−4) Jユース杯:市原(1−1、2−2)、川崎(0−1、5−0)横浜(0−3)
( )内は90分間あたりの数字。クラブユースは80分間なので、1試合あたりではない。得点率はシュート得点率(得点/シュート)。出場時間の単位は分。
名前 出場時間 シュート数 得点数 得点率 01:浅山郷史 1030 02:田淵将天 -- 03:森安洋文 -- 04:天野数士 580 05:河合真二 29 06:渡邊優希 784 4 (0.46) 07:日高拓磨 984 23 (2.10) 5 (0.46) 21.7% 08:杉山浩太 940 16 (1.53) 3 (0.29) 18.8% 09:長沼 圭 595 18 (2.72) 4 (0.61) 22.2% 10:深澤良輔 998 16 (1.44) 1 (0.09) 6.3%
11:阿部文一朗 502 16 (2.87) 6 (1.08) 37.5% 12:獅子内善雄 34 13:仁科克英 970 22 (2.04) 6 (0.56) 27.3% 14:森山勇希 1026 2 (0.18) 15:杉山拓也 849 8 (0.85) 16:勝又英人 -- 17:高柳亮太 14 18:大瀧義史 375 2 (0.48) 19:高山純一 919 3 (0.29)
20:小林拓矢 -- 21:山本海人 -- 22:篠田大輔 169
23:赤星貴文 19 24:枝村匠馬 380 8 (1.90) 25:鈴木真司 101 1 (0.89)
合計・平均 1027 139(12.18) 25(2.19) 18.0%
通算:7勝3分2敗、得点25/失点12、シュート数139/被シュート数106 シュート得点率18.0%/被シュート失点率11.3%
▼出場時間 出場時間のトップ11をポジション別に並べると、こんな感じ。
−−−−−仁科−−長沼−−−−−
−−−−−−−浩太−−−−−−−
−拓也−−渡邊−−深澤−−日高−
−−−森山−−高山−−天野−−−
−−−−−−−浅山−−−−−−−
浅山(1030)、森山(1026)、深澤( 998)、日高( 984)、仁科( 970)、 浩太( 940)、高山( 919)、拓也( 849)、渡邊( 784)、長沼( 595)、天野( 580)
以下、阿部(502)、枝村(380)、大瀧(375)、篠田(169)、鈴木(101)と続く。
代表や静岡選抜の遠征、怪我などで出場できなかった選手もいたわけだが、やはり3年生が上位を占め、中軸を担っていたことが分かる。浅山はフル出場。深澤も交代はなく、警告による退場処分があっただけである。一方で、1年生は出場時間ベスト11に誰も入らず。これは清水では非常に珍しい現象。出場メンバーも、例年と比べて固定化されている印象がある。行徳監督がS級ライセンス取得で留守が多かったことが、大胆な起用を妨げたか。
▼90分間あたりシュート数 ※( )内は通算本数 1位:阿部文一朗 2.87本(16本) 2位:長沼 圭 2.72本(18本) 3位:日高拓磨 2.10本(23本) 4位:仁科克英 2.04本(22本) 5位:枝村匠馬 1.90本(08本) 以下、浩太(1.53)、深澤(1.44)、鈴木(0.89)、拓也(0.85)、大瀧(0.48)と続く。
「積極性」を課題の一つに挙げられる阿部が、意外にも最多割合を記録。同じく「捌くのは巧いが、得点への怖さがない」と言われる枝村も、トップ5入り。一方、ゴール前の野蛮さに定評のある長沼は、2番手に留まった。 通算では最多のシュートを放っている日高は、右WBとして、突破やセンタリングにも忙しく、正に昨年の攻撃の核であった。仁科や枝村もアウトサイドでの起用も多く、サイド偏重のプレースタイルが伺える。
▼90分間あたり得点数 ※( )内は通算得点、[ ] 内はシュートあたり得点率 1位:阿部文一朗 1.08点(6点)[37.5%] 2位:長沼 圭 0.61点(4点)[22.2%] 3位:仁科克英 0.56点(6点)[27.3%] 4位:日高拓磨 0.46点(5点)[21.7%] 5位:杉山浩太 0.29点(3点)[18.8%] 6位:深澤良輔 0.09点(1点)[06.3%]
喫驚の数字を稼ぎ出したのは、1年生の阿部文一朗。交代も多かったが、90分間動けば必ず得点を稼ぎ出した勘定になる。シュートの4割をゴールに突き刺しているのも、驚愕だが、これにはやや不満な点も。得点を狙える場面には、もっと積極的にシュートへ行って欲しい。
2番目は、エース長沼。期待されながら昇格に届かなかった大型FWは、阿部に己の地歩を譲っている。今回、換算しなかった5試合で、清水は42得点をも奪い去っているが、長沼はそこでは14点をも略取しており(他は、仁科7、阿部5、日高4など)、Jユース杯でも、昨年に続いて得点ランキング2位になっている。ゴール前の猛々しさが魅力の野生派FWが、比較的「格」の落ちる相手を圧倒しながら、良いCBの前では覇気のない「らしくない」姿が、昨年、しばしば見られた。
3番手は万能型の仁科。得点数なら阿部と同数を稼いでいる。アウトサイドやボランチでの起用も多く、FWとしても下がって受けてビルドアップに参加する役割を要求されていた。ストライカーである前述の2名に比べて、中距離のシュートも多く、確度は落ちるのが普通だが、決めるべき場面を確実に生かす沈着な態度が、数字にも表れている。難しいボールを合わせる技術の高さも、実証した。
4位の日高は、前述の通り、攻撃の核。浩太と深澤の場合、二人の得点力の違いが、最終的にトップ下を浩太に固定する一因となったか。
一方、被シュート失点率は11.3%。浅山の素晴らしさが数字にも示されている。同時に清水のシュート得点率18.0%という高い数字は、むしろシュートに対する消極性を、意味しているのではないか。内容で完敗した京都戦は、京都のシュート15に対し、清水は僅かに5。深澤退場で崩れた横浜戦は、横浜の15に対し、4本しかシュートを打てていない。
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2002年03月26日(火) |
JY:U14ナショナルトレセン |
U-14ナショナルトレセンが発表、新3年生からは、昨年から引き続き、前田・山本・久保田の3名を選出。新2年生は、一昨年U-12NTで選ばれた長沢(清水FC)、西村(静岡FC)、村松(焼津FC)は選ばれず、さなるカップ(ナイキ杯静岡県予選)6連覇を達成した際の主将である池田、この大会でDFにコンバートされた佐野が選ばれた。 ポジションは、ナショナルトレセン上のもの。チームオフィシャルイヤーブック上では、久保田はFW、山本はDF、池田はMF。
GK:前田陽平(3年)、DF:久保田英壮(3年)、FW:山本真希(3年) 新3年生の簡単な紹介は、こちらをどうぞ。
FW:池田康彦(2年) 1988.09.15生 [162cm/49kg] 初倉FSS(島田市立初倉小)→清水Jrユース 静岡県小学校選抜(01年)
DF:佐野克彦(2年) 1988.04.30生 [165cm/60kg] 焼津西SSS(焼津市西小)→清水Jrユース
------ 良い機会なので、トレセンについて思うところを書いてみる。
▼「トレセン」とは? 正しくは「トレーニングセンター制度」と言う。この制度の大きな目的は、世界で戦える優秀な選手「個々」の発掘・育成と、指導の地域格差の解消。第一義は育成だが、指導できる人数には当然限りがあるために選手の選抜が行っている。また育成の対象は選手のみならず指導者にも向けられ、研修会を通して育成ビジョンの共有化を図っている。 従来のトレセンは、国体に向けた選抜チームという名目を利用したこともあって、各選抜「チーム」を年1回の地域対抗戦で対戦させていたに過ぎず、その下につながる都道府県、市町村単位のトレセンは選手選考だけの役割にとどまっていた。これの改革に尽力したのが、94年に強化委員長に就任した加藤久氏である。
▼具体的体系 全画を9つの地域に分けてトレーニングセンターを設置し、その下に47都道府県、さらに市町村レベルにも地区トレセンを置くという、ナショナルトレセンを頂点としたビラミッド型の育成システムとなる。選手はまず、市町村などの地区レベルで発掘(推薦)され、指導を受ける。この指導の中で特に優秀と認められる選手は、47都道府県ごとのトレセンに進むことになる。この2つのトレセンは、月1〜2回ほどの間隔で恒常的に活動しており、選手が双方に重複することはない。さらに、都道府県レベルで優秀と認められた選手は、全国9地域(北海道・東北・関東・北信越・東海・関西・中国・四国・九州)ごとのトレセンに進み、この中で更に優秀な選手が地域ごとに16名ずつ(※1)、ナショナルトレセンに呼ばれる。この2つのトレセンは、年に1回、スポット的に行われている。 また、トレセンにはU-17(※2)、U-14、U-12の3つのカテゴリがある。トレセンで重視されるのは、選抜の母体のバランス。学年・所属地域・ポジションなどで偏りが出ないよう心掛けられ、U-17であれば高2・高1・中学生、U-14であれば中2・中1以下が、ほぼ均等に配分されている。東海トレセンならば、静岡・愛知・岐阜・三重から同数が選抜され、さらにナショナルトレセンにも同程度が選抜されるよう配慮がなされている。ポジションも、GK2名・DF4名・MF6名・FW4名程度が基本になる。 これは、名門チームで活躍した選手ばかりが注目されていた過去を反省し、地域格差・世代格差・ポジションごとの人材の格差解消を指向するためである。所属チームの枠を超えた草の根活動を通し、潜在的な人材を埋もれないように見出し、良い環境・指導を与えるのが狙い。中田英寿(山梨)、柳沢敦(富山)、小笠原満男(岩手)といった選手の発掘・育成に、現行トレセンの果たした役割は、実に大きいものがあるだろう。
一方、クラブと高校・中学とのバランスや、誕生日(早熟選手と晩成選手)のバランスは、十分に考慮されていないという指摘も多い。何も意識しなければ、トレセンで教える最新の戦術論には、普段からそれに接する機会の多いクラブ出身選手の方が理解しやすく、選考されやすくなる。また、選考基準に「選手の成長過程を充分に把握」するとあるが、前述の通り学年ごとの配分は行っているが、学年内の成長過程の違い、例えば中学生の4月生まれと3月生まれでは心身の発達に大きな違いがあるが、殆ど無視されている。過当競争の起きている関東(茨城・群馬・栃木・千葉・埼玉・東京・神奈川・山梨)の配分も他と同数と相対的に少ないのも、重大な問題だろう(※1)。ピラミッド構造故に必要となる選抜機能が、特にU-12では子供の間で差別意識に繋がっている、という親御さんの声もよく聞かれている(※3)。一方、それまでは恒常的に都道府県トレセンに参加していた選手しか次のステップに選ばれることがなかったのだが、現在は怪我や代表遠征などで参加できなかった選手を対象に「フォローアップ」と呼ばれる特別枠が設けられている。
注)従来より議論のあったことだが「ポスト2002」のトレセンとして、以下の改革方針が示されている。 ※1:地域格差を考慮し、レベルが高い認められた地域からはより多く(32名程度)の選手を選出する。 ※2:U-17世界大会の予選となるアジア大会(対象年齢はU-16)での敗退が続いている点、また中学→高校でチームが変わる際に受験などの理由でブランクが起こりがちな点を憂慮し、U-17のカテゴリをU-16に変更、特にこの年代の強化を図ることになった。 ※3:U-12トレセンはナショナルトレセンを取りやめ、頂点を低くすると同時に、地域ごとに幅広く選手を集めることで、競争原理の緩和を図る。
▼指導方針 トレセンは、自分の所属チームでの活動をメインとした上で、それに上積みする形で世界を視野に入れた戦術・技術の習得させることを目的としている。特に従来の日本では、高校選手権が最も注目されていた事情から、ユース年代で勝利至上主義に基づく指導が横行してた。その反省として、将来を考えた選手育成の必要性が求められたのである。 指導は、日本協会公認の指導資格を持った者が行う。まず、W杯や五輪、U-20・U-17などの世界大会で結果を残したチームの勝因、また日本が参加した場合はその勝因と敗因を分析・評価した上で、日本の課題を抽出。その克服のためのシナリオ(=強化の方向性)が策定される。その戦略を具体的に示すのがナショナルトレセンの場で、その研修会で指導者間で共有化すると以下、地域トレセン→都道府県トレセン→地区トレセンへと、ピラミッド構造を下る形で全国に広めていく。こうして年代ごとの明確な目標設定、即ち「将来、世界で通用する選手にするためには、この世代では何を身につけなければならないか」という課題を日本全体で取り組んだ上で、次の世界大会に挑むことになる。その世界大会の成果は次のナショナルトレセンに反映され、このサイクルは更なる日本の勝利のために続いていく。 ただし、現在は、このシステマティックな育成プログラムのために、詰め込み教育になっているという批判もあることも指摘しておく。
2002年03月25日(月) |
クラブ選手権 静岡県予選 日程 |
第26回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)静岡県予選日程
清水の公式HPに、情報がUP。
4月20日(土)11:00 対 掛川JFC [磐田市安久路グラウンド] 4月28日(日)14:00 対 ジュビロ磐田 [ジュビロ豊田町グラウンド] 5月12日(日)14:00 対 ホンダFC [磐田市安久路グラウンド]
磐田市安久路グラウンド: JR磐田駅前2番乗場よりバス乗車「西貝塚北」下車 ジュビロ豊田町グラウンド:JR磐田駅前30番乗場よりバス乗車「気賀坂」下車
例年通りであれば、県予選からの東海大会出場枠は2。毎年、無風で清水エスパルスとジュビロ磐田が駒を進めているわけだが、問題は名古屋グランパスの存在。今年は東海大会の全国枠も2のため(後に誤報だったと判明)、静岡の2チームに対する最大の対抗馬と想定される名古屋グランパスとの対戦は、両チームとも避けたいところ。
例年通りであれば、静岡1位−(愛知2位+愛知3位)、愛知1位−静岡2位といった変則的なトーナメントが行われていますが…。静岡県予選の順位は、とても重要です。名古屋にとっても(笑)。
2002年03月24日(日) |
中日本スーパーリーグ ジュビロ磐田戦 |
02年03月24日10:04開始 清水市営グラウンド 中日本ユーススーパーリーグ ジュビロ磐田ユース戦
▼布陣 −−−−−獅子−−仁科−−−−−
−岡村−−枝村−−渡邊−−拓也−
−森安−−高山−−高柳−−天野−
−−−−−−−風間−−−−−−−
交代:後半06分:風間 →海人(そのままGKに) 後半26分:獅子内→鈴木(そのままFWに) 後半36分:岡村 →上埜(そのまま左MFに)
静岡選抜の欧州遠征で、主将の杉山浩太が不在。ゲームキャプテンは渡邊。司令塔不在時のビルドアップが注目かと事前予想していたが、さらに2年生の主力である阿部・大瀧・篠田が、ベンチにもいない。GKの山本海人はいたので、選抜関係ではなく、育成を狙った意図的なものと思われる。そして、ついに鈴木真司が発見された(笑)。
ジュビロ磐田ユース:
−−−−−神谷−−沼野−−−−−
−−−船谷−−−−−−大杉−−−
−−−−−森下−−渥美−−−−−
−橋本−−榎本−−峰村−−岩本−
−−−−−−−松井−−−−−−−
交代:後半00分:大杉→中村/岩本→山本、後半28分:神谷→中林
登録上は、橋本を左SB、船谷を左MFに置く4−4−2だが、清水は2トップのため、基本的にSBは交互に最終ラインに入る形。また船谷は、頻繁にトップ下の位置に入り、多くのスルーパスを供給した。 浩太と同様に県選抜欧州遠征で、笹垣が不在。だが影響は清水ほど大きくないだろう。むしろ超積極的補強した新1年生のうち、U16代表(八田・岡本・上田)がフランス遠征を控えて不在の模様。先発は、ベストとさほど実力差はないと思われるが、交代要員に不足したか。 U17代表もオーストリア遠征を控えるが、沼野・船谷・松井はフル出場。
▼試合展開 何故、静岡→新静岡→新清水は、こんなに時間が掛かるのだろうか。帰りは素直に東海道線を使ったよ…、こっちの方が安いし。
試合は清水優勢で始まる。 前半2分、獅子内のポストから脇を抜けていった岡村、そのままドリブルで刻んで、低い弾道のセンタリング。仁科がボレーで飛び込むも空振り、しかし拓也が拾ってミドルはゴールの上空を宇宙開発。 11分、再び獅子内のポストから左脇を岡村が抜けて、センタリングを飛び込んだ仁科が左足インサイドで技巧的ボレーシュート、右サイドネットに流し込む。しかし、これは微妙にオフサイドの判定。
一方の磐田、17分、清水DFのクリアを再三に渡って拾い、中央連続攻撃を仕掛けてSBが中央に寄るのを見て、船谷から清水の左サイドを上がった渥美にスルーパス。森安の反応が遅れ、フリーでセンタリング。受けた神谷、シュートに行けず、胸で落としたところを、風間に浚われる。 このプレーを境に、試合の流れは磐田へ。それまで普段と変わらない明確かつ単純な意図で素早く繋いでいたが、徐々に共通理解の欠如が露呈してミスが増えると、足下への安全なパスが増えてしまう。そうして受け手の動きが少なくなったところを、磐田に狙われ、キープできなくなる。
22分、森安が頭で跳ね返したのを受けた枝村が、ドリブルで前方突破、センタリングに仁科が右足アウトをボレー合わせるも、右に僅かに外れたのが、清水の前半最後の見せ場。 24分、先程と同じような展開で右に開いた渥美から沼野、フリーでヘッドも上に。 27分、高山がスリップ。天野がカバーに行くも浚われてシュートは、風間が体で弾く。続けざまのCKからシュートは枠内に飛んだが、ゴールライン上の渡邊が倒れ込んでクリア。 36分、船谷のスルーパスに沼野が抜け出てシュートは、風間が弾く。こぼれを交錯しながら大杉がシュートに行くが、これは右に外れ、事無きを得た。どうにかスコアレスで前半を終了する。
ベンチ裏でハーフタイムの指示を盗み聞き(笑)。 行徳監督曰く「ボールを受ける際に立ち止まらずに、動いてフリーの時間を作ること」「プレスを掛ける順序。前線はコースを切るのが第一目的。奪いに行く場面を選べ」。
後半立ち上がり、監督から前半の動きを指摘されていた風間が、オープンプレーのボールをPA内に足で戻してキャッチしようとしたが、FWに寄せられ慌てて掴んでしまい、ハンド。これは監督の逆鱗に触れたらしく、即座にGK交代に。 交代直後の後半8分、磐田にPA内中央で粘られたところ、森安が後方から勢い余って押し倒してしまう。PKを沼野に決められ、0−1。磐田先制。
しかし、GKの声は神の声とは良く言ったもので、山本の自信に満ちたコーチングにより連携面の拙い選手の動きが、劇的に改善されていく。最終ライン、特に高山の動きには特筆するものがあり、空中戦も、地上戦も、自分の裏を狙ったスルーパスをも、全て撃退。己のゾーンを磐田から封殺する。 そして14分、下がってこぼれ球を拾った仁科がキープ、倒れながらも左の岡村へパス。スピードに乗った岡村はDFをすり抜け、センタリングを獅子内がヘッド。GKに弾いたボールはバーに嫌われるが、混戦の中、跳ね返りを獅子内が粘って押し込み、ゴール。同点。1−1。
その後は、清水が勢いを取り戻す。 23分、枝村の縦フィードを受けた獅子内、ステップでDFを外しミドル。枠外右上。 25分、こぼれ球を仁科がキープ、次の瞬間に体勢を直し、突破。PA内右にDFを引き連れて侵入すると、DFに潰されながらも右足一閃。GKが弾いたボールは獅子内がDFと交錯、そのこぼれ球を拓也。これは大きく左へ。 35分、拓也の中央突破で得たFK。枝村のボールは跳ね返されるが、拾った鈴木がPA角左45度から左足。GK、逆を突かれて届かずも、ファーサイドに逸れた。 最後は、高山のミドルをゴール前の拓也が頭で逸らすも、GKが的確に掴んだ時点で笛。若いメンバー中心ながら、後半持ち直してのドローは健闘と評価したい。
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−1 ジュビロ磐田ユース 得点:48分:磐田・沼野 成吉(PK) 54分:清水・獅子内善雄(なし)
▼選手寸評 16風間翔太 4.5 DFと呼吸が合わず。特長のはずの判断力・足下の技術で課題。
17天野数士 5.0 巧い選手。巧いのだが…無駄が多い。身体能力を生かすべき。 04高柳亮太 6.0 上がる周囲の裏を破綻無くカバーリング。高柳の積極性も見たい。 20高山純一 7.5 別次元。 18森安洋文 6.0 守備や周囲との判断に課題を残すも、局地戦では強さを発揮。
07杉山拓也 6.5 ドリブルは鋭い。守備も改善。あとはロングキックの安定度だ。 06渡邊優希 6.0 飛び出しやドリブルを多用する新境地に挑戦。パスはズレた。 24枝村匠馬 5.5 司令塔。巧みにキープし大きく展開するも、受け手と呼吸が合わず。 15岡村総一郎 5.5 ドリブルは十分に通用した。だが、それ以外の選択も必要だ。
13仁科克英 6.5 副司令塔。遺漏無く技術は高い。ゴール前で合わせる技術は絶品。 09獅子内善雄 5.5 身体能力では全く負けていない。周囲と意図が噛み合わず。
21山本海人 7.0 低くて澄んだ、よく通る声。 26鈴木真司 6.5 周囲と連携不足も、単独突破・キープ・シュートと切れ味鋭利。 03上埜健太 ---
2002年03月21日(木) |
Jユース杯 大会概要 |
○第10回Jユースカップ2002 Jリーグユース選手権大会 概要
▼名称:第10回Jユースカップ2002 Jリーグユース選手権大会 ▼主催:財団法人日本サッカー協会・社団法人日本プロサッカーリーグ ▼共催:日本クラブユースサッカー連盟 ▼期間:【予選リーグ戦】9月8日(日)〜12月1日(日) 【決勝トーナメント】12月 ▼参加:J1・J2の計27クラブ(*横浜FCは不参加) +日本クラブユースサッカー連盟代表4クラブ(別途、代表決定戦を実施) ▼方式:1.各グループ毎にホーム&アウェイ方式による2回戦総当たりリーグ戦。 2.各グループの上位2チーム(計12チーム)が決勝トーナメントに進出。 これに日本クラブユースサッカー連盟代表の4チームを加え、合計16チームにて 決勝トーナメントを実施する。 ▼グループ分け Aグループ:札幌、鹿島、湘南、甲府 Bグループ:仙台、山形、横浜、東京 Cグループ:水戸、浦和、市原、川崎、新潟 Dグループ:清水、大宮、磐田、ヴェルディ、柏 Eグループ:京都、大阪、大阪、神戸、名古屋 Fグループ:広島、福岡、鳥栖、大分
▼試合方式 【予選リーグ戦】 ・90分間(前後半各45分)の試合を行い、勝敗が決しない場合は引き分けとする。 【決勝トーナメント】 1回戦〜準決勝: 90分間(前後半各45分)の試合を行い、勝敗が決しない場合はPK方式により決定する。 決勝: 90分間(前後半各45分)の試合を行い、勝敗が決しない場合は以下の順序による。 1)Vゴール方式の延長戦(前後半各10分) 2)PK方式
Jユース杯は、夏のクラブユース選手権と高円宮杯の後に行われる秋から初冬の大会。Dグループの展望を手前勝手に予想すれば…、◎清水、○ヴェルディ、△柏・磐田、×大宮といったところでしょうか。但し、各クラブの努力により近年の底上げは著しく、実力差は非常に小さくなっています。
柏とヴェルディは、昨年Jユース杯最終節で決勝トーナメント勝ち抜けの最後の一枠を争い、激戦の末、2−2で柏が2位を死守、逃げ切りました。 ヴェルディは、技術の小野と潰しの根占の組む中盤に、常に阿部を蹴散らしてきたCB一柳と安定した戦力を揃え、昨年の「都並ショック」の払拭を図ります。 柏は夏の後に一部の3年生が引退する傾向がありますが、それでも昨年は予選の余勢を駆って、2年生中心ながらJユース杯ベスト4と結果を残しました。よくまとまった好チームながら、特に目立つ選手はいないだけに、今年の3年生が引退せずに残るかが、大きなポイントとなるでしょう。
柏・ヴェルディの組に同居しながら4位(1位は浦和)で上位に絡めなかった磐田も、例年は夏を経ると、世代交代に入る方針があるチーム。ただ、柏とは逆に、地域の枠を超えた積極的補強により、前線の船谷・沼野を中心に1・2年生は相当の戦力を誇っており、むしろ早くから切り替えているかもしれません。 大宮は苦しい。一期生が昨年卒業し、一つの区切りがついた直後だからです。昨年は清水と同居し、6−0、7−0と完膚無きまでに粉砕されましたが、トップ同様組織だった4−4−2を形成するチームです。
まあ、試合はあと半年後。その頃には上記の予想は、予想になってないことでしょう(笑)。
関連記事「Jユース杯 予選リーグ日程」
2002年03月17日(日) |
中日本スーパーリーグ 藤枝東高校戦 |
02年03月17日10:00開始 清水市営グラウンド 第5回中日本ユースサッカースーパーリーグ 藤枝東高校戦
▼布陣 −−−−−仁科−−阿部−−−−−
−大瀧−−浩太−−枝村−−真希−
−篠田−−高山−−渡邊−−拓也−
−−−−−−−風間−−−−−−−
交代:後半12分:大瀧→天野(右SB、山本を左MF、拓也を右MF) 後半21分:枝村→森安(そのままボランチに) 後半21分:真希→岡村(そのまま左MFに) 後半33分:風間→勝又(そのままGKに) 後半37分:阿部→高柳(4−2−3−1に移行、下記布陣に)
−−−−−−−仁科−−−−−−−
−−−岡村−−浩太−−拓也−−−
−−−−−渡邊−−森安−−−−−
※背番号2は山本真希。なんと新中3(現中2)で小林と渡り合った。 後半には切れ味の鋭いドリブル突破も見せ、末恐ろしい存在。
静岡県立藤枝東高校:
−−−−−森下−−海野−−−−−
−−−小林−−滝口−−石橋−−−
−−−−−−−岡田−−−−−−−
−北川−−山村−−佐塚−−河井−
−−−−−−−清野−−−−−−−
交代:前半37分:23山村→14加茂、後半07分:24滝口→11枝村
枝村兄弟対決実現!だったそうだ。私は、全く気づかなかったが。兄貴が入ってからエディーの動きが重くなった気がするが、気のせいだろう(笑)。清野・河合・佐塚・海野・岡田・森下が、欧州遠征に選ばれた県選抜である。清水は、杉山浩太だけ。
▼試合展開 なんだ。清水駅から十分に歩ける距離じゃないか。
怪我で代表合宿を辞退していた高山が復帰。受験戦争から枝村も復帰。代表級選手を揃えながら、誰も選出されなかった(涙)清水は、先発は、ほぼ現在のベストメンバーと言って良いだろう。 Jrユースの頃とほぼ変わらないメンバー(吉川→風間、高山真→篠田、菊地→枝村)を組めたのは、清水ユース史上、初めてのことである(爆)。高校に進んだ選手の代役となる下級生も、3年を経た今では体格的にも成長し、戦力的にも落ちていない。配置にも驚きの要素はなく、育成よりも結果を狙った布陣。 一方の藤枝東は、成岡・大井を代表に取られ、やや苦しい戦い。とはいえ、一応、先日のヤングサッカーフェスティバルにおける静岡選抜を多数抱える、強力な布陣ということになるはずだ。監督も静岡選抜遠征の代表だし(笑)。
試合は、いきなり動く。前半4分、中に絞ってカットした拓也が、右サイド真希に流す。真希は相手SBに押されながら粘って後ろに戻すと、右SBの位置から拓也が真希の背後のスペースへ浮き球でのスルーパス。そこを狙っていた阿部、右サイドから力と速さでマークを振り解きながらPA内に侵入、そのまま決めて、先制する。1−0。
清水は枝村が復帰したことで、浩太以外に預ける位置が生まれた。さらに後方の高山・渡邊が、読み切ったパスカットで中盤の守備に次々と参画、圧倒的な中盤優位を保つ。裏を狙うボールには、渡邊の伝家の宝刀、オフサイドトラップで対処。アウトサイドを突かれても、戦術眼の高い篠田・高山・渡邊が読み切ったカバーリングで動きを限定しては数的有利を作り、挟み込んでしまう。藤枝東は、シュートも満足に打てない状況が続いた。
失点後、前方から複数で激しいプレスを掛け、技術の差を補おうとする藤枝東だが、20分過ぎたあたりから、それも息切れするようになった。 25分、奪った枝村がキープ、フォローに来た浩太に細かく繋ぎ、さらにサイドに開く拓也へ。そこからのロングフィードは前に走る阿部に合い、ドリブル開始。これを囲まれると、戻して真希がアーリークロス。大瀧に合うも空中戦で潰される。 27分、再び枝村が奪い、前方から戻った仁科が受けると、自分のいた位置へスルーパス。ここに枝村が走り込むダイナミックなワンツープレーは、オンラインに戻ろうとしていた阿部がプレーに関与ありと見られ、惜しいオフサイドの判定。
攻めながら点が取れない中、嫌な雰囲気が漂う前に30分。中盤左に開いていた大瀧から大きなサイドチェンジクロス。これに猛進した阿部が速さでDFを抜き去ると、力で前の位置を譲らず、右足シュート。追加点が決まり、2−0。 さらに35分、枝村のボールを受けた拓也がアーリークロスを上げるが、ふかしてしまう。しかし、これがゴール左隅に流れていくと、競りに行った阿部が目に入ったのか、GKにも誰にも触れることなく、ゴールネットに収まり、3−0。 なおも清水はロスタイム、大瀧のキープから裏に攻め上がった篠田がセンタリング、ファーサイドの枝村が受け、ラストパスに阿部・仁科が殺到するが、一歩早くGK。前半を終えた。
後半も勢いは清水。 後半12分、右サイドに流れた浩太が送った低く速い横パスは、阿部・仁科を囮にして彼らの前を通過し、ファーの大瀧に合わせる華麗なパス。これでフリーになった大瀧、ドリブルで前方PA内に僅かに刻むと、余裕をもって左足。大瀧得意の展開だけに決まると思われたが、ミドルは右上の角に当たる。器用すぎるのも、考えものだ(笑)。 16分には、浩太が奪取すると、流麗なステップを踏んでドリブル突破、GKの1M前ほどにいた阿部に超決定機を賦与するも、流し込もうとしたボールは弱すぎ、GKが精一杯伸ばした手に触れ、さらに勢いが弱まったボールをゴールラインで守っていたDFにクリアされる。
このあたりから、余裕が出来た清水が一服入れ、藤枝東のペースに。21分には左45度のFKから頭一つ抜けてヘッド、確実にコースを突いたボールを風間が173cmの体を目一杯倒し、腕を伸ばしてはじくと、最後はポストに助けられる。 これに対し、清水は奪取からの簡素な速攻で対抗。28分、拓也が奪って右サイドを抉り、細かく浩太に渡して最後は阿部も、僅かに上。 30分、後方から狙い澄ましてカットに入った高山が、そのまま中盤で数歩前進すると、素早くスルーパス。仁科が反応し、ドリブルシュートは惜しくも左。
残り時間は、裏を狙った攻撃、中盤の速いパス回し、そしてオフサイドトラップという清水の戦術を前に、藤枝東は疲労困憊。攻守で倒れる場面が多くなり、試合はしばしば断絶する。清水も多くの交代を経て、個人技に頼る形が多くなり、また風が強くなってきたこともあって、両者集中力を欠いたまま、試合終了の笛。
▼試合結果 清水エスパルスユース 3−0 藤枝東 得点:04分:清水・阿部文一朗(杉山拓也:ロングフィード) 30分:清水・阿部文一朗(大瀧義史:ロングフィード) 35分:清水・杉山拓也 (枝村匠馬:ショートパス) ※( )内はアシスト
▼選手寸評 風間 翔太 5.5 オープンプレー後にPA内に戻してボールを掴むのは、消極的だ。
杉山 拓也 7.0 ロングフィード・クロスの狙い・精度が格段に良くなった。 渡邊 優希 7.0 ライン統率・カバーリングに知性溢れる。14cm身長差を苦にせず。 高山 純一 6.5 渡邊との組み合わせで、さらに前方に積極的に。 篠田 大輔 6.5 機微を捉えた攻撃参加、カバーリング。ミスが非常に少ない選手。
山本 真希 6,0 上がりたがる拓也に対し、適切な位置取りで守備を破綻させず。 枝村 匠馬 7.0 浩太がマークを外すまで保持し、外した瞬間に渡す。有能な補佐役。 杉山 浩太 6.5 大きな展開、体を張るキープを覚え、トップ下以外でも十分機能。 大瀧 義史 5.5 豊富な球種を配給するも、特に長いボールが微妙にずれた。
仁科 克英 6.0 豊富な動きと適切な位置で組織を結びつけるも、決定機に絡めず。 阿部文一朗 7.0 大井のいない藤枝東では、最終兵器ブンに対抗できなかった。
後半、特に60分過ぎは試合が間延びしてしまったので、交代選手は評価しません。
2002年03月10日(日) |
中日本スーパーリーグ 名古屋グランパス戦 |
公式HPを参照方。
▼試合結果 3月10日(日) 14:00キックオフ(トヨタスポーツセンター第2G)
清水エスパルス 0−1 名古屋グランパスエイト 警告:渡邉優希(ラフプレー)、杉山雄也(遅延行為)、森安洋文(ラフプレー)
----- とのこと。杉山浩太は、累積警告で出場停止。何故に負けていながら、雄也が遅延行為で警告されているのだ? 渡邊が復帰したようですが、まだまだベストメンバーではないようです。
今年の夏のクラブユース選手権は、東海枠が僅かに2!(後日訂正、例年通り3でした。申し訳ない) 名古屋の3年生は、Jrユースの時に高円宮を制した史上最強世代で、ここ数年、出場権を確保し続けてきた清水・磐田も、安心できる筈もない。特に清水は新チームの始動は遅いため、春の試合は不安定さが否めません。 ところが、東海予選はトーナメントのため、静岡の2チームが別の山に行くのは確定的。つまり、一方は名古屋と当たり、他方はほぼ無風の組み合わせを享受できる…。そして、名古屋は必ず静岡のどちらかに勝利しなければ、全国大会出場が望めないのです。
関東すらリーグ戦なのだから、試合の少ない東海予選でトーナメントを行う必要性は感じられないのですけど。
機関誌にユース紹介が掲載されていましたが、以前HPでは紹介されていた鈴木真司の 名前が見当たらず。 早速、クラブに問い合わせのメールを出し、現時点では回答がありませんが、HPは改訂 されていました。
鈴木は部活動とクラブとでかなり迷っていたという噂話は、聞いたことがありましので、 つまり、そういうことなのでしょう(涙)。 組織より感性優先の選手なので、エスパルス向きだと思っていたのですが…。 残念ですが、彼の「壊れた」部分を伸ばして、良い選手になってほしいと期待しています。 「駒」として小さくまとまるのは、彼らしくないと思いますので。
----- その後、鈴木真司は中日本スーパーリーグ磐田戦に途中出場。 HPも再び改まり、清水エスパルスユースに合流したようです。 将来に直接関わる選択ですので、迷うところもあったでしょうが、何はともあれ頑張れ!
2002年03月01日(金) |
今年度的清水エスパルスユース 2002年度版 |
−−−−−−−−−−−阿部2−−−−−−−−−−−
−−−−−大瀧2−− 杉山浩3 −−仁科3−−−−− (杉山拓3) −−−−−−−−枝村1−−−渡邊3−−−−−−−− (森安2) −−篠田2−−−高山3−−−天野3−− 杉山拓3 − (高柳2) (天野3) −−−−−−−−−−−山本2−−−−−−−−−−−
名前の横は学年。 中日本ユーススーパーリーグのパンフレットに、行徳監督によるものと思われる「予想布陣」が掲載されており、それによるとレアルなど今年のスペインで多く採用され、杉山茂樹氏大絶賛の4−2−3−1に取り組む模様。監督の予想なのだから、ほぼ、それに沿う形になるだろう(笑)。ただ、枝村と大瀧の位置を上のように入れ替えた方が、より機能すると思われる。 これと、ゼムノビッチ氏が総監督に就任以来導入された、フラット3ラインの4−4−2の伝統芸と、併用していくようだ。今年の3年・2年生は、Jrユースから流出せず多く残っており、Jrユースでも4−4−2(但し中盤は菱形)を採用していたため、違和感なく対応できるだろう。
▼前線 特徴的なのは前方の布陣。4−2−3−1は、4−4−2の亜流ではなく、4−3−3の亜流と評される。即ち、2列目は両サイドがやや前目で、中央は下がり目でゲームを作ることになる。 清水の場合、阿部(2年:01年U16選抜、02年二種登録)の1トップの下に、杉山浩太(3年:主将、02年二種登録、02年U19代表候補)を置く形だが、これを西澤−森島のような縦に並んだ2トップ(4−4−1−1)のように捉えると、失敗するだろう。阿部はマークを外す動きは下手で、幅広く左右に動いてスペースでフリーで受けるより、中央で強靱なフィジカルでマークに競り勝つのを得手にしている。一方、浩太は総じて能力は高いが、得点への最短距離を瞬時に見極める、独特の戦術眼こそが最大の魅力であり、あくまで「司令塔」。浩太に阿部のボールを拾う役割を負わせ、また浩太の視点に対して受け手が阿部だけでは彼の特性を制限してしまう。
従来の清水のアウトサイダーは、太田や日高など単独突破力が期待されていた。だが今年は、阿部の落としたボールを拾い、浩太のパスに反応すべく、周囲のスペースと呼吸を把握する判断力が、第一に求められる。この点から言えば、一人は仁科(3年:02年二種登録)で確定。敵味方に対して適正な距離を保つ判断力と、出足の速い反応速度には定評がある。一方、4−4−2にして仁科が2トップに入った場合、ライトサイダーは意外に駒が少なく、山本真希(中3:01年U14日本選抜)は、早くも有力な選択肢として、起用されそうだ。 だが、もう一人は難しい。走力自慢のドリブラーである杉山拓也(3年)は、左足の精度に不安は残すが、切れ込む鋭さとドリブルシュートには、シャドーストライカーとしての期待が大きい。しかし、将来有望な攻撃的レフティとして大瀧(2年:01年NT)の育成も考えたい。元来、司令塔型の大瀧だが、使われる立場として思考速度を高めることが、課題となる。この位置には、鈴木(1年:01年NT)や岡村(1年)といった期待の選手も昇格した。2人とも、ドリブル以外の武器は未完成で視野も狭いが、積極性が全面に出る有望株。突破力と積極性が短所とされる枝村(1年:01年U15代表候補、02年二種登録)は、その克服という目的以外の面では、ここで起用する利点はない。他に攻撃的MFは、上埜(1年:静岡選抜)や、途中交代では獅子内(2年:00年NT)・杉崎(1年)が、強引な突破による単独打開能力が期待できる。 阿部と浩太の代役は厳しい。司令塔としては大瀧・枝村が考えられるが、潰されて速攻の起点とされる危険が高い。阿部の代役となる大型FWは見受けられず、仁科・拓也や、小柄ながら強さと速さを持つ獅子内などを2トップで組み、動き回って前線を刺激させる戦術変更が必要だろう。
▼中盤 前線で1列目と2列目を説明したので、ドイスボランチについて。実際には、浩太はかなり深い位置まで下がってビルドアップに参加し、左右MFはアウトサイドに開いてSBと挟み込む守備をすることになる。トップ下に中心選手を固定する場合、積極的に狙われ、カウンターを仕掛けられやすい。DFラインの前で第一波を防ぐ「後見役」は、Jrユースで菊地が担当していたが、ユースで引き継ぐのは渡邊(3年:00年U16代表)か。相手の次の一手を見切る「読み」には卓越したものがあり、数的不利を凌ぐのは得意。 相方には、枝村が適切であろう。守備技術に長けた渡邊に対し、身体能力の高さを持ち、また得意とする大きな展開は、浩太による速く細かく激しい仕掛けに対するアクセントとなる。体の使い方が上手く、1対1でのキープと奪取に水準以上のものを見せる森安(2年)は、動きの質に不満は残るものの、逆にそれに長けた渡邊とは良い組み合わせといえる。ボランチ経験の浅い高柳(2年)も、守備面では読み・技術・高さともに不安はない。昨年からこの位置で起用されている大瀧は、高さ不足や当たりの弱さは仕方ないにしろ、攻撃面で機能できるように、判断速度を高めるなど工夫していきたい。
▼最終ライン 中心となる選手は、高山(3年:02年U19代表候補、02年二種登録)で疑いないが、彼はリーダーシップを発揮することが不得手にしている。一方、1年から高山と組んだ渡邊は、知性と勇気に満ちた統率力が光る選手。ただ、身長171cmの彼がCBとして昇格、そしてプロで活躍するの厳しい。 そうなると、高山と組むのは、天野(3年:99年U15代表候補)か高柳か。早くから実績を残してきた天野は、自信を持って積極的にコーチングをするタイプ。しかし、従来は攻撃的SBだった彼は、慌てて飛び込むなど判断力に問題を抱える。逆に高柳は、高山・渡邊に通ずる危機察知能力に優長し、高山の積極的なパスカットにも冷静沈着に彼のスペースを埋めることが期待できる。一方、しばしば消極性が見られる点は、DFライン統率の観点で頼りない。他には、小林(2年)・田淵(2年)・村越(1年)あたりが、起用されそう。
攻撃的MFが中に絞る傾向があるので、両SBは攻め上がりが求められる。右SBの最右翼は杉山拓也。瞬発力と持久力を兼ねたアスリート能力が魅力。90分間通し縦に長い距離を加速するが、守備面は改善されたとはいえ、問題を抱える。守備を固める必要が出た場合、天野や小林が、代役の有力候補か。他にも田淵(2年)・望月(1年)の他、長い加速距離を考えれば杉崎も面白そうだ。 他方、左SBは篠田(2年:静岡選抜)で固定的。今年、唯一の守備的レフティである。単独での打開能力に劣るものの、周囲との状況から上手くスペースを埋めるのが上手く、攻撃でも、機微を捉えたオーバーラップに熟達している。控えは杉山雄也になるだろう。高さと速さを兼ねた未完の素材ではあるが、現時点では致命的に当たりに弱く、また左足のレパートリーも乏しい。場合によっては、仁科・拓也を右からコンバート、或いは山本真希の抜擢も考えられるか。
▼GK GKは、昨年のサブ争い以来、山本海人(2年:01年U16選抜)が、勝又(3年:99年U15代表候補)を一歩先んじている格好。山本は身長190cmを超える、清水育ちで待望の大型GK。ハイボールの競り合いには当たりへの強さも見せ、際立って高いDFのいない今年のユースでは、セットプレー対策などから必須の選手。一方の勝又だが、ハイボールに対して伸び上がるようなセービングが武器。オープンプレーは苦手にするなど、山本と特徴が重なる分、現状は実力差以上に厳しい。むしろ、小柄ながら読みが鋭い風間(1年:静岡選抜)にチャンスがあるかもしれない。
◆代案 −−−−−−−−仁科3−−−阿部2−−−−−−−−
−−大瀧2−−−−−−−−−−−−−−−天野3−−
−−−−−−−−枝村1−− 杉山浩3 −−−−−−−
−−篠田2−−−高山3−−−渡邊3−− 杉山拓3 −
−−−−−−−−−−−山本2−−−−−−−−−−−
→2003年度版
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