独り言
i p f


2006年03月29日(水) 付随文:『ある例外を除いて』

また悲しみと出会い
海は更に深みを増す
沈み行く感情とは裏腹に冷静な思考は
ある定義付けを試みる


『何かが創造により生まれ破壊によって終わる
しかしその破壊によって生まれる何かは確かにあって
それはかつての創造により生まれた何かと同等に尊い

すなわち
時として破壊は創造でありそれは創造が持つ本質的要素を充分に満たした創造そのものである』


想像してごらん

粉々に砕け散ったガラスが
12月のカーテンに揺れた日溜まりで
ワルツを踊っている


それをどう捉えるかは

お前の可愛い脳みそに聞いてみるといい


2006年03月27日(月) acidrain #2-3/ある事実

一歩坂を登る毎に防雨服はその重みを露にし
薄れる体力と比例する様に吹き出す汗の量は増していく


何故レインソースがこんな高台に設置されているのか?


そんな事を考えた時もあったし
その理由らしき物を耳にした過去もあったかもしれないが
今となってはどうでもいい事

ある一つの事実として
レインソースは高台に位置し
そこへ通じるこの急な坂を登らなければ
僕は職を失い
二度と飯が食えなくなる

それだけの事


いつだって現実だけが確かで
それ以外は無だ


この世界にあって
考えるという行為は

罪に等しい


2006年03月26日(日) word/夕暮れに罪は無い

ここにあったはずの
時間は全部過ぎ去った様だ
二度とは戻らない
取り戻せない
取り戻せない
取り戻せない
ただ過ぎていく



そしてまた傾いた陽が
僕等の影を伸ばしていく

そしてまた軋む体で
僕等は歩いていく
あてどなく
今も




誰かの為に流した涙
枯れた花びら
過ぎ去った時も
取り戻せない
取り戻せない
ただ過ぎていく


2006年03月23日(木) acidrain #2-2/道程

ゴーグルにまとわりつく水滴が世界を歪め
歩道は何処迄もぐらついている

前方には同じ様に管理区へと歩を進める人影が二つ
それぞれに肩を落としうごめくその姿は
まるで首をもがれた泥人形で
僕はそれが『自分自身を映す鏡』であるという事も忘れ
お門違いも甚だしい哀れみの感情を抱き
そして彼等と同じ様に肩を落として歩き続けるのだった


もう一つ角を曲がり
その先の長く急な坂をのぼればそこはもう管理区の入口である



角を曲がり
坂の手前まで来て僕は呟く

「眼を閉じて
世界を闇で覆っても
この坂は消えやしない」


2006年03月22日(水) acidrain #2-1/風景

扉の向こうにあるのは当たり前の濡れた世界
防雨服越し伝わる雨の仕打ちに僕はまた深く溜息を落とす

見慣れたはずの風景
もう諦めたはずの風景に
未だに馴染めずにいるのは
単に僕がまだ幼すぎるせいだろうか

太陽は
今日も
あまりに
遠過ぎる

第49セクターはレインソースの置かれた管理区と僕等が住む居住区とに二分されており
その距離は徒歩約10分

僕はいつもの角を曲がり
かつての公園で虚しく沈むブランコを横目で見ながら
酸性雨によって醜くも表皮を削がれた
痛々しい街並を抜くて行く



すれ違う者は
誰もいない


2006年03月14日(火) N.Y.タイムズスクエアで星条旗を燃やすのと同等に愚かしい

人としてありたいと望むなら最も大切な物は優しさではないかと考えます
またその為には痛みを知る必要があるのではないかとも

痛みを知らない人は平気で人を傷付けたり罵ったり
そんな光景は嫌という程見てきましたし斯く言う私も未だにご多分に漏れずという有様なのですが私の経験上そういった行為により最も苦しんだのは他でもない私自身だったのではないだろうかと思います

「今日はとても寒く、痺れる手足を慰める方法も見当たりませんが、痺れる手足があるだけ私は幸せで、それ以上望むもの等無いのです」
と言える人になりたいものです


2006年03月12日(日) word/discuss 49

人々は前だけ見て
我先にと急ぎ足
閉じた扉こじ開け
閉ざした瞳で何捜し回る

人々は求めるだけ求めては切り捨てていく
その身に積まされたモノ
閉ざした瞳で見ぬ振りしてる




ただ笑い
ただ泣いて
ただ眠り
「それだけでいい」なんて言えず
奪い
傷付けあっていた

もし明日も目覚めたら
ただ生きて
「それだけでいいんだ」って言える位の方がいいと
気付かず



僕のせいで
君のせいで
時代のせいで
世界のせいで
こうなったと
吐き捨て


2006年03月07日(火) そして少女は今夜も『音』に身を寄せ揺れる

明日朝目覚める理由がないの

少女は純粋過ぎて口にした言葉がとても悲しい結論だという事にも気付かずそのまま唯一温かい『音』に身を寄せ揺れていた
しかし『音』は時として整然とした混乱状態を生みその中で少女は

声が届かないのなら私が消えればいい

とまた悲しい結論を導きだす
しかしその目は真っすぐ前を見つめ
その声は誠実な線を以て真実を示し
それが持つ力強さと美しさを教えてくれる

尊い想いを連れて

歌詞:miimi『ロープ』『深海』より

P.S.
言葉とは皆が思うほど生易しいものじゃない
少なくとも私にとっては


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