独り言


2005年05月28日(土) 『acidrain』 #11/永遠に続く今日

彼等の生活を羨んだところでどうなる訳でも無いのはわかっている
それでも僕はいつだって夢見てしまうのだろう
これからだってきっとそうだ

毎朝必ず思うことがある「また今日が僕という退屈で塗り潰されてしまうんだね」



時刻はAM8:13

コーヒーはすっかり冷えきってしまった


身仕度を整え
防雨服を身にまとい
僕は扉の前に立つ

この扉を開けた時から
僕の退屈な日常は崩壊し
その先で待つ終わりへと向けて急速に加速していく


そんな事等知る由も無い僕は
まだ開かない目を擦りながら
溜息の向こうの扉を開けた


2005年05月19日(木) 『acidrain』 #10/イン&アウト

インゲージとアウトゲージが街中で擦れ違う事は無い
電話でおしゃべりする事も無いし同じ空気を吸う事も無い

柵の中では今でも花が咲くという
巨大な空調設備が整い四季を再現出来るという
人工の太陽が昇り夜空には星を模した無数の電飾

しかしこれらは全て噂話に過ぎない
何故なら僕が知る人間の中に柵の中を知る人間等居ないのだから

柵の中では今でも静かな休日があり
丘の上でサンドイッチを頬張り
若者達は愛を語らい
日差しに目を細めたりするという

僕等には
雨音をBGMに不様なチークダンスを踊る事位しか残されていない


2005年05月10日(火) 『acidrain』 #9/むかしむか〜し

王は言った
「おい誰か!この赤い雨をなんとかしろ!」
大臣の一人が返す
「…しかし王様。この雨を止めてしまっては王様はもとより民衆も大地も全て干上がってしまいます」
王は言った
「う〜む…民衆等知ったことか!とにかくなんとかするのじゃ〜!!」


かつての新宿を中心に半径約8kmを巨大なドーム状の防雨壁で囲い
ある一定の経済水準を満たす者はその中へ
それ以外は外で
それぞれにレイン・ソースの恩恵に苦悩する事となった


アウトゲージ
柵の中の面々は僕らをそう呼ぶ


インゲージ
柵の中の面々を僕らはそう呼ぶ


2005年05月08日(日) 『acidrain』 #8/酸性雨

レイン・ソースにより表面上ではあるが灼熱の大気圏から脱した人類
しかし彼等はさらなる罰と向き合う事になる

レイン・ソースによって産み出された雨は純粋過ぎるがあまり
まるで赤子の様に大気中の有害物質を根こそぎ吸収し
とても良質の酸性雨となって降り注いだのだ

あるアーティストはこの雨を

赤銅の濡れた包囲網

と表現したそうだが…何の事だかさっぱりだ
そもそもこんな時代にあってアート等というものが必要なのだろうか?
少なくとも僕らの様な柵の外の人間が営む生活にアート等が付け入る隙は無い





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