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◇◇サイ・セイ◇◇
りえ



 蜘蛛の糸が切れた

わたしと、前の結婚をつなぐもの
それは紛れもなく 都内の家に居るだろう娘達。



彼女達は、この世に生まれるべくして生まれてきた子達なのだ。
わたしの元にいることはなくても
わたしの愛を直接受けることはなくても



前夫と別れることになったとき
わたしが結婚した意味はなんだろうと考えて
たどりついた答えが、これだ。

きっとこの子達をこの世に送り出すため。



わたしに許された、彼女達への
糸のような、それでも確かな たったひとつの道すじは
ある銀行の口座番号だった。
7ケタの番号は前夫名義だけれど
彼女達の誕生日には、いくらかの入金を認められていた。



そのわずかなお金が、彼女達の手に渡っているかどうかは不明だ。
それでもよかった。
自己満足だったのかもしれない。



でも、その糸はいつの間にか切れていた。
今年の下の娘の誕生日の入金は
受理されず口座に返金処理された。



きっとなにかが、都合が悪くなったのだろう。
上の娘はもうすぐ中学生になる。



ゆうさんと再婚してから
今年で、前夫との結婚生活の期間を越えた。
ここにいるのは、ゆうさんと、息子達。
あのころの娘達は、もうどこにもいないのだ。


2007年12月20日(木)
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