もうしばらくすると町につく証。

ＦＭラジオから流れる流行の曲。

一曲ごとにラジオのパーソナリティが

曲紹介をしている。

でも英語。なのにその曲だけは

なぜか、日本に帰って出会える気がしてた。

数週間後日本でラジオから流れてきた

その曲は、なんだか違って聴こえた。

湿った空気、激しい雨じゃなくてしょぼしょぼ降る雨。

街にいろんな匂いが染み出してくる。

地面の土の匂い。日本料理屋のだしの匂い。古い家の黴た匂い。

雨に濡れ、急いで帰る彼女の髪の匂い。

湿ったおかげで匂いだす、

どぶ川の臭いも酷くなる。

東の空に黄色い満月。

地球に向いているほうが表ということになっている。

地球にあんな凸凹が顔だなんて思われたくないに違いない。

でも皆がそういうことにしているので

大女優並みの撮影ライトで美しく見せている。

ひょっとすると横顔かもしれないが。

大学に合格した娘を助手席に乗せて

ディーラーに向かう父。

普段殆ど家には居ない。こんな父でも娘と約束は

守ってくれた。

娘の顔が笑ってないのが、気になるが。

親子の車は国道を走る。

通学路、もう十五年も前に通らなくなった道。

歩いてみるとはっきりしない、その経路。

この道通って通っていたはずなのに。

無意識の三年間。

あの下り坂の右には幼稚園、左にはテニスコート。

自転車で走り抜けていた毎日。

雨が降るとアスファルトの匂いがする。

降り続くと今度は海の匂いが風に乗ってくる。

暖かい雨が降ると春が近い。

おかげで芽吹きはもう少し。

今年の桜はものすごい早咲きらしい。

でも卒業式には間に合ってはいないはず。

で、卒業式に桜が散ってたりするのは

イメージだろうか。

やっぱり九州の最南端辺りにある

学校がネタ元なのだろうか？

それともソメイヨシノじゃない桜がモデル？

今年みたいのは狂い咲きとは言わないんだろうな

この後ずっと寒くなっても。

１９９５年３月２０日、宗教団体が東京の
ど真ん中で事件を起こした。
メディアはまだそのことは伝えてなかった。
クーデターが起こったのかと疑った。
でもテロだ、単なる宗教団体の。
皆は、地下鉄にその日乗っていなくて
よかったと思うばかりだった。
今でもそう思っているのだろうか。
いつまた起こるかもしれない
非日常の出来事。

あるところに大きな頂があった。
その下の森に二羽の鳥が生まれた。
一方は大きな翼を持って生まれ、
もう一羽は小さい翼だった。
巣立ちが来て大きな翼は不器用ながら空へ飛び出し
小さな翼は必死に羽ばたいて空を飛んだ。
人が当たり前に歩けるように、毎日飛ぶうち大きな翼は
大きな翼のおかげであまり羽ばたかないでも楽に飛び
小さな翼は一生懸命羽ばたかないと相変わらず飛べなかった。
それでも小さな翼は何とか大きな翼と一緒に飛ぶのだった。
もう十分に大人になった大きな翼は「あの頂を越えてみよう」
と小さな翼を誘うのだった。
小さな翼は自信はなかったけれど、自分も飛んでみたいと思った。
大きな翼と小さな翼は大きな森の切っ先から
朝一番に飛び立った。どんどん高く飛んでもう少しで頂だというところで
「もう駄目だ、僕はもう飛べないよ、大きい翼一人で行ってくれ」
そう言うと小さい翼は羽ばたくのをやめてしまった。
大きな翼は羽ばたかなくても、もうずっと飛びつづけることが出来たので
さらに高く飛んでいく。
でも大きな翼は頂を越えられなかった。羽ばたく練習を
あんまりしていなかったので大きな翼が強い山越えの風に
折れてしまった。
小さな翼はあきらめて、大きな翼は二度と飛ぶことは出来なかった。

どういう訳かネズミの飼い犬。

一匹だけ皆とおしゃべりが出来ない。

それとも話せるのに誤魔化してるのか？

いやむしろあいつ等は皆ヌイグルミなのか。

だから本物はプルートだけなのか・・・。

彼女のかき鳴らすギターは寒空でもみんなの足を引きとめる。

彼女の唄声は小さな人の輪を大きくする。

彼女の容姿は人の眼を惹きつける。

いつも隣にいた僕はちょっとさみしく、妬ましく思う。

常夜灯が消えてフィルムが回りだす。

ざわめいていた客たちも予告が始まる頃には

静かになる、ポップコーンを食べる音以外は。

振り返ると映写室に人の影。

何回あの人はこの映画を観たのだろう。

何回これから観るのだろう。

工事が始まり、ショッピングモールまで

駅からの陸橋がロータリーの真中に造られる。

広い空間に大きな遮蔽物。

中央にあった時計台どこいったんだろ。

行きたい場所にいつでもいける。

一時間見つづけても飽きることの無いもの。

お金は購入代だけ。

でも気になって最終的には行ってみるんだけど。

どこの国から？

オーストラリア。嘘々。

ヨーロッパの何処から？

ホンとはイタリア。冗談、々。

まあどこでもいいか、これは本物？

偽者じゃないよ、本物そっくりだよ。

偽者じゃん、やっぱり。

カセットテープ、レコード。

もうあんまりみたこと無いし。

音楽聴きいてたときにはＣＤだったし

ＭＤプレーヤーだった。

ターンテーブルってクラブでしか見たこと無いし。

って真空管のステレオ見たとき思ったなあ。

マンションの向かいで工事が始まった。

皆、建設には反対らしい。

たいした事じゃないのにと思う。

いずれはお世話になる場所なのに。

そうか、住民はキリスト教徒かイスラム教徒じゃないのか？気になる。

寝ない人はまず居ない。時間は人それぞれだけど。

生きてる限りは起き続けるわけにはいかないらしい。

じゃ、ずっと寝てるってのはどうなんだろう。

やっぱり寝つづけることも無理なんだろうか。

２４時間が短いんじゃなくて睡眠時間が長いだけ

なんだなあ、やっぱり。

捨てられ、置いてきぼりにされた私たち。

いつも感謝してます。

おかげで余生が送れます。

心やさしい食べない人より

助けてくれたのはお世話になってる食肉業者のおじさん。

私たちは感謝してます、感謝してます。

誰も時間の流れに気づかないふりをしている。

都会はどこまでも現在進行形を望み、

田舎はごく自然に時間が流れていく。

同じ流れじゃないのに一緒にしようとする。

合わせる必要ないし、別に。