あれは確かに恋だった。身も世もないほどに。あなたが何よりも大切で、それが私の微かな誇りであったほどに。恋が恋でなくなったのは、人か、タイミングか、仕事か、生活か、時間か。一体何が原因だったかな。恋とは苦い。想わなければ、出会わなければ、などとは微塵も思わないけれど。苦い飴玉、暗闇の胸の内、一つ。ころり。口に放れるほど甘くなる日は来るのかな。舌の上で溶けて身に染む日は来るのかな。