冒険記録日誌
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2022年06月04日(土) |
バカゲー・オブ・ザ・オレ 第9位 |
たけたろう「ランキング9位の紹介に入ります。そろそろメジャーな作品も紹介したいところですが、今回も少しマイナーかな。」 山口プリン「少しどころか、かなりのゲームブックコレクターでもないと知らないだろう。マニアックだな。」 たけたろう「冒険記録日誌自体がマニアックな存在ですからね。」
バカゲー第9位 【騎士と魔法使い君はどちらを選ぶか? サラリンダ姫を救い出せ!】
ジャンル アーサー王物語のような王道ファンタジー 発売元 近代映画社 執筆者 メーガン・スタイン H・ウィリアム・スタイン 発売日 1985年9月15日 パラグラフ数 96ページ(呪文の解説などのルール部分は含まない。) ゲームの構造 1方向システム。ルールはシンプルだが、武器や魔法の選択を行う他、コイントス等の判定がある。 過去の冒険記録日誌 2014年9月23日に感想あり。
ポイント 毒を以て毒を制す。
物語の概要 結婚式の当日、サラリンダ姫が城内から忽然と姿を消した。一刻も早く姫を見つけだし、結婚式を無事執り行うことができなければ、王国は血なまぐさい戦いに突入することになるだろう。今回は宮廷内を舞台にした冒険となる。シリーズ第3巻。
名言 騎士「あなたは以前、この矢の毒はあらゆるものを殺す力があると言っていた。あなた自身の手で調合した毒だ。その毒があなたの病を消し去ることができれば、と思ったのだ。病いを消してあなたの良き部分には傷をつけぬことを祈ったのだ。」
主な登場人物 騎士:王国の伝説となっている主人公※ 魔法使い:王国の伝説となっている主人公※ ※最初に騎士か魔法使いのどちらかを主人公に選び、選ばなかった方は仲間として冒険を共にするようになっている。 ヘンリー王:騎士と魔法使いが仕えている王様 サラリンダ姫:ヘンリー王の愛娘
バカ要素 ランキングに入る理由となった最大の原因が、魔法使いがネズミに足を噛まれた時の毒がまわって錯乱し、宮廷内で暴れだすシーンである。その窮地を解決すべく、騎士がとった方法が「毒矢を魔法使いの心臓に撃ち込む」という凄まじいものであり、正気に戻った魔法使いに向かって騎士がかけた言葉が、先にあげた名言であった。猛毒なら他の毒を解毒することができると言う理論や、心臓を矢で貫かれているのに平気な事について、特大のつっこみを入れずにはいられない。 さらに言えば、足を噛まれた経緯というのも、人目をくらますためにパンに変身して皿に載っていたらネズミに齧られた、というマヌケなものである。
総評 このシリーズは、ゲームバランスこそ悪いものの、アーサー王伝説と世界観を共有する、真面目なファンタジー小説のような作風である。基本的にバカゲーを狙っている作品ではないのだが、本作「サラリンダ姫を救い出せ!」については、つっこみどころが多く、そのギャップがバカゲー要素を際立たせている作品である。 他にも「暗闇の部屋を開けると、中から重々しく登場した修道士」といういかめしいシーンから、「修道士が長々とボケた演説をする中を、気づかれないように退出していく騎士と魔法使い」のシーンに変わるという、このシリーズでは珍しく、作者が狙ったようなユーモアまである。そのためか、登場人物達はいたって真剣で、文章は格調高く、ストーリーがふざけているわけでもないのに、どことなくコミカルさが漂う雰囲気となっている。 なお、シリーズ8巻「時空の支配者に挑戦!」も、本作に近いありさまである。(こちらは2004年7月7日の冒険記録日誌に感想あり。)
ちょっとリプレイ(ネタバレ注意)
たけたろう「騎士が主人公の方から先にプレイしてみます。騎士は、常に黄金の剣を携えているうえに、さらにサブ武器として8つの武器の内から3つを選ぶのは凄いですね。武蔵坊弁慶みたいな恰好で城内をかっ歩しているのかな。ただ、武器リストの中にある“明けの星”とか“両端を鋭く尖らせた棍棒”ってどんな武器なのでしょうか。」 山口プリン「“明けの星”はモーニングスターだね。棍棒の方はよくわからん。単に長い棒(棍)だと思ったが、説明では“手首の輪に吊り下げることもできる”ともあるしな。なんとなく中国武術に使いそうなイメージはあるな。」 たけたろう「“明けの星”は直訳すぎますが、まあいいや。城内の見取図を見ていますが、呪いの部屋だの暗い部屋だの狂女の部屋だの変な部屋が多くて、あまり住みたくない城だなぁ。それに、王様とお姫様の部屋の隣が埋葬室だなんて、どんなセンスですか。」 山口プリン「それでは冒険開始だな。まずはどこから調べるかな。」 たけたろう「わあ!いきなりでかい怪物に襲われたんですが、なんで城内にこんなのがいるんだ!?」 山口プリン「これは罠だとか説明があったし、敵が魔法の壷に入れて持ち込んだとか、そんなところじゃないかな。」 たけたろう「サラリンダ姫の婚約者が地下牢に、棺を持ち込んでいたのが判明しました。地下牢の看守の証言によると、“敵が城の前に殺せない大蛇を放していたので、棺に入れた”と婚約者は説明していたそうです。これ以上は無理な程、怪しい行動だ。棺を開けますね。」 山口プリン「飛び出た大蛇が、魔法使いをぱっくんちょ。慌てて騎士が大蛇を輪切りにして救出したぞ。実は婚約者は正直者だったのだ。」 たけたろう「文体が重々しいので気づかなかったのですが、冷静に振り返るとギャグですね。一気に最後までクリアしましたが、ここから先はつっこみどころはあまりなかったかな。」 山口プリン「何度も言うように、基本は真面目なシリーズだからね。次は魔法使いの方でやってみてくれ。」 たけたろう「毒矢を撃ち込まれるのは嫌なので、そのルートを回避しましょうか。魔法使いがネズミに噛まれた次は、傷の治療を優先する選択肢を選びます。水辺に苗木を結わえ付けた足を突っ込み、魔法を使うと傷が癒えました。でも今度は水中から怪物が登場して襲われます。」 山口プリン「勝敗は“君の誕生日が偶数か奇数か”で判定される。負けたら即ゲームオーバーだ。」 たけたろう「たまたま勝てましたが、負けた人は何度挑戦しても一生勝てない事になりますよ?恐ろしい敵だ。」 山口プリン「さらに、どちらのルートで進めたにせよ、終盤に、魔法使いの呪文が成功するか“この項を読んでいる今は何曜日か”で判定する箇所があるんだ。ここで失敗すると即ゲームオーバー。つまり、何曜日に遊んだら絶対にクリアできないという事があるから注意だぞ。」 たけたろう「いや、どう注意しろと言うのですか。ついでに金曜日の時の指示が書かれていないですし!」 山口プリン「この手の不条理な判定は、このシリーズ全体でよくある事でな。本書はまだマシな方だ。細かい事は気にせず、骨太シリアスな世界観を楽しむシリーズなのだよ。」 たけたろう「骨太シリアスって、一体なんなのだろう。」
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