冒険記録日誌
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2021年07月31日(土) |
サキの忘れ物(津村 記久子/新潮社) |
この本は津村記久子さんという方の小説の短編集です。 本といえば、ゲームブックくらいしか知らない私なので、この方の本を買うのは初めてですが、津村さんは次のような受賞歴があるそうです。
2005年「君は永遠にそいつらより若い」で太宰治賞受賞 2008年「ミュージック・プレス・ユー!!」で野間文芸新人賞受賞 2009年「ポトスライムの船」で芥川賞受賞 2011年「ワーカーズ・ダイジェスト」で織田作之助賞受賞 2013年「給水塔と亀」で川端康成文学賞受賞 2016年「この世にたやすい仕事はない」で芸術選奨新人賞受賞 2017年「浮遊霊ブラジル」で紫式部文学賞受賞 2019年「ディス・イズ・ザ・ディ」でサッカー本大賞受賞
うーむ、こんなに賞の種類があったこと自体が知らなかったですが、なかなかの実力を持つ作家のようです。 ところで無理やりにでもゲームブックネタで書く、この冒険記録日誌で、この本の紹介をなぜするのかというと、短編の中の一編「真夜中をさまようゲームブック」がタイトル通りにゲームブック仕立てだからです。 元は2015年10月号の美術手帖という雑誌に掲載されていたもので、感想は雑誌掲載時に読んで、既に2016年5月22日の日記に書いているので詳しくはそちらをどうぞ。他のサイトの情報によると、「変わった小説を書いてください」という依頼があったのでゲームブックを書いたとか。 家の鍵をなくした主人公が、ただ自宅の周辺をウロウロするだけの話しで、面白いゲームブックとして成立させている作者の腕が凄いですね。 大人向けかなと思いつつも、みーちゃんにも読み聞かせで挑戦させてみましたが、挿絵がないにもかかわらず興味津々で聞いてくれ、一度ゲームオーバーになっただけで、あっさり最終エンドの一つにたどり着きました。ゲルググのフィギュア絡みの展開にならなかったのが残念といえば残念。 他の小説の方も、ひと通り読ませてもらいましたが、こちらは明快なオチや結末のある話しは少なく、物語の世界の雰囲気を楽しむのかなという感想でした。人によって好き嫌いが分かれそうな作風ですが、基本的な文章が旨いというか美しいというか、その点だけでも良い評価をされる気がします。 ゲームブックファンとしては、2020年発売と新しい本で、短編のうえ、ゲームブックを知らない人にも読めるように書かれているので、人にゲームブックはどんなのか紹介をするときに勧めるといい本かもです。 どこかの編集者が津村さんに、またゲームブックの執筆を依頼される日を願いつつ、皆さんも一冊いかがですか。
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