冒険記録日誌
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2013年12月29日(日) 恐怖島の呪い(R・L・スタイン/近代映画社)

 この夏に国会図書館に行った時に、インディ・ジョーンズ・シリーズのゲームブックを借りて遊んだのですが、本書はその1巻です。
 近代映画社のゲームブックは翻訳ものばかりでして、他にも騎士と魔法使いシリーズと007のシリーズもありますが、どれもパラグラフ番号が100ちょいで本が薄っぺらい感じです。
 そのくせ、販売価格はパラグラフ400前後のものと同じですから、コストパフォーマンスが良いとはお世辞にも思えません。このインディ・ジョーンズ・シリーズにせよ、原作ゲームブックは17巻まであるようですが、翻訳は3巻で打ち切られていますから、当時はさほど売れなかったのではないでしょうか?
 しかし、近代映画社のゲームブックは、今となってはコレクター向けには人気があるようで、amazonでも高額で扱われています。10年くらい前のヤフオク相場は1500円〜2500円あたりだったはずですが、この年末にヤフオクに何冊か出品された時は、平均1冊1万円を軽く超える価格で落札されていました。
 騎士と魔法使いシリーズで私が唯一持っていない「サラリンダ姫を救い出せ」なんて18,000円越えでしたからね。欲しかったのですが、さすがに手が届きませんでした。まさかこんなに高騰するとはパオト神だってビックリでしょう。

 さて、本書の感想ですが、世界観についてはインディ・ジョーンズという有名な映画を原作にしてるので説明は不要でしょう。どの巻もゲームブックオリジナルのストーリーで、主人公はインディ・ジョーンズ本人ではなく、彼と一緒に冒険をする少年という設定です。
 ゲームバランス的には、遊ぶ前は作者が騎士と魔法使いシリーズと同じことから、あれと同じように、理不尽な即死バットエンドの選択肢が続くものかと思っていましたが、意外にもいろんな幅広い展開が用意されていて何度も楽しめる内容でした。基本的に単純な分岐小説といっていいですが、騎士と魔法使いシリーズで採用されていた、読者が今何曜日に読んでいるか?等で分岐する判定もまれにあります。
 始めは薄っぺらいゆえ国会図書館では、クリアするだけならすぐに読み終わると思っていたのですが、一度クリアしても再プレイで全ての展開を体験したくなり、結局読み終わるのに1冊あたり45分くらいかかりました。
 「恐怖島の呪い」では、インディと少年の2人が「黒檀の鳩」という財宝を求めて南海の孤島に向かうのですが、ゲーム冒頭の港のシーンからいきなり銃撃されてアクションシーンです。終盤までこの敵との追いかけっこは続きますが、なんで襲われているのか最後まで遊んでもよくわからなかったなぁ。同じ財宝を巡るライバルの盗掘者というところだろうか。
 冒険自体は船で島に渡って、原住民と交渉をし、ジャングルや洞窟を探索するという、映画でもおなじみの展開が続きます。
 いろんな展開が用意されていますが、展開次第で最終目的である「黒檀の鳩」の価値も変化しており、評判通りの財宝から、金銭的にはガラクタ同然なものなどバラバラです。原住民が島のいたるところに「黒檀の鳩」の複製品を無数に飾り付けていて、本物がわからなくなっている結末が私は好きでしたね。「どれが本物か一つ一つ探してみるか?俺はごめんだ」と、インディが肩をすくめたりして。皮肉っぽいオチはいかにもインディ・ジョーンズです。
 さすがに、本書を高額で入手する必要はコレクター目的以外ではないと思いますが、作品自体は面白いです。“アドベンチャーゲームブック”という言葉がまさにぴったりくるゲームブックと思います。


山口プリン |HomePage

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