冒険記録日誌
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2013年11月10日(日) 不自由な話しとドンキーコマンド

 前回の日記の続きのようなものだけど、山本弘さんのその後のブログで、出版されるゲームブック「超時間の闇」について、創土社の編集部と悶着があったという記事がありました。
 登場人物が「インディアンの塚を調べてる」というセリフをインディアンは差別用語だから先住民に差し替えてくれという編集からの要請があって、時代考証を無視した編集の方針に不満をもったそうです。
 山本弘さんによると、地の文はもともと先住民の表現で統一しているそうですが、1940年にアメリカ人が「先住民」なんて言葉を使うのはおかしいので、セリフ中だけ「インディアン」という言葉を使ったらしい。
 山本弘さんは以前にも、「きちがい」という言葉が差別用語とされたことにも反発しており、いかにもこの方らしいエピソードです。

 私も去年、「トムソーヤの冒険」の新訳版を読んだところ、トムが変装したインジャン・ジョーをハックに説明するシーンで旧訳が「おしでつんぼのスペイン人」だったところが「耳も口も不自由なスペイン人」との表現になっていておかしいとmixiの日記に書いた人なので、気持ちがよくわかりました。
 悪態をたれまくり、古き良き時代に生きる少年トムが、「耳も口も不自由な」なんて優等生的表現を使うとは到底思えず違和感がありあり。トムなら大人が眉をひそめるくらいの言葉遣いを当然していると思います。
 ただ出版社がこの手の問題を嫌うのも、いろいろ事情があるのだろうとは考えます。差別だと訴える一部の人間がいれば応対も大変だし、そいつらがヘタに勝って、本の回収さわぎになると経営問題にも影響しかねない。

 今回のケースは共著なので他の著者に迷惑がかかると、しぶしぶ編集部にしたがうことで決着がついたそうです。
 なので本書の山本弘さんのゲームブックを遊ぶときには、セリフでは脳内変換か本に書き込みをして、先住民の表記をインディアンにしましょう。
 ちびくろサンボの話しから、最近でも宮崎アニメ「風立ちぬ」が喫煙風景が多いと批判をうけたことまで、この手の話題は平成になって時々出るけど、本当におかしな時代になったと思います。
 以前、盲目の落語家がこれを逆手にとって、「ブサイクは差別用語だから“顔の不自由な人”と呼ぶのが作法ですよ」という創作落語をしていて、ニヤリとしたことのある山口プリンでした。


 もう一つの話題は、日本最初のTRPGの紹介記事が載っているといわれるウォーシュミレーションゲーム雑誌「タクティクス」3号をヤフオクで入手しました。
 TRPGに興味のない山口プリンがなぜ、そんなものを入手したのかというと、この記事には参考として紹介されている「ドンキーコマンド」という国産初のTRPGがあるのですが、このゲームというのがソロ用でTRPGというよりはゲームブックに近いと言われていたからなんですね。
 「ドンキーコマンド」は日本初のゲームブックかもしれない、入手せねばという我ながらマニアックな発想です。「ドンキーコング」を連想するようなノルタルジックなタイトルもいいですね。“まぬけな兵士”といった意味でしょうか。

 そうして届いた雑誌は経年劣化の割になかなかの美品でしたが、残念ながら肝心の「ドンキーコマンド」の記事だけタイトルページを除いて切り取られていました。なんてこったい!
 出品者に連絡したら、返金のうえ届いた雑誌も進呈するとの事で、損はしなかったのですが、残念でした。※
 こうなるとタイトルページの文章とネット検索の情報から想像するしかないのですが、「ドンキーコマンド」はゲームブックよりはソロ用ボードゲームに近いような気がします。
 迷宮のような敵軍の軍事基地へ潜入して、破壊と機密情報を盗み出すという内容でして、世界観がファンタジーじゃないのは、さすがウォーシュミレーションゲーム雑誌です。
 「ローグ」や「風来のシレン」のようにランダムでダンションが変わるので、何度も遊べるようです。試してみたかったなぁ。
 ゲームブックでも地形変化までは難しいでしょうが、道中で入手できるアイテムがランダムで変わって、それによってその後の正しい攻略ルートが変わってくるなんて作品があってもいいと思うのですが、意外にないですね。



※ 同誌にはTRPGの実例として、日本最初のリプレイ小説とされる「放浪の騎士エルツリグナーの冒険」も載っています。わずか1ページしかない短編ですが、ドラゴンにウィスキーを飲ませて酔わせて倒すとか、財宝を取りに戻ろうとしたら「今度は酒に強い竜王が待っているよ」とGMに釘をさされるオチとか、「クロちゃんのRPG千夜一夜」に出てきそうな変なノリで意外と面白かったり。


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