冒険記録日誌
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2013年10月11日(金) ゲームブックが好きなら仕方ない。全て許す。

 TRPGソードワールド2.0関連の小説である堕女神ユリスシリーズ(北沢慶/富士見書房)を読み始めました。
 ちょっと前の作品なので既に完結しているのですが、全三巻は構想通りなのか打ち切りなのか。読み始める前からちょっとドキドキします。
 小説では最近はマクリーンの「ナヴァロンの要塞」のような戦争系冒険ものがマイブームだったので、ライトノベルを読むのは本当に久しぶりです。

 内容は異世界ファンタジーもので、主人公の少年ザウエルのもとに少女の姿をした女神ユリスカロアがやってきて、世界を救う冒険に引きずり込むというもの。
 ソードワールド2.0の世界観の特徴に、力の小さい神様は肉体を持って地上に現れることができるというものがあります。この設定を生かしたストーリーは、エディングスのファンタジー小説みたいでこれは嫌いじゃないかなぁ。

 最初のイラスト入り人物紹介を見ると、ヒロインの女神ユリスカロアに翻弄される主人公のまわりには、女エルフの神官騎士やら気弱な下町の女の子やらも登場するようです。いやぁ、もういっそ清々しいほどの典型的な萌えライトノベルですね。
 序盤を読み始めたところですが、ザウエルは呪われた剣を3本も抱えている冒険者の剣士というエルリックも真っ青の設定のクセに、なぜか地味。妙に達観している性格のせいでしょうか。
 ラノベの主人公として、つっこみスキルが高いタイプと即座に予想できます。おそらくユリスカロアはツンデレタイプで鉄板でしょう。

 女神の登場シーンは冒険から帰って酒場でくつろぎ始めたザウエルの元に、少女がやってきて「我こそはユリスカロア。おまえの主だ」と言い放つというもの。信者が減って神通力が減っているとの話しですが、普通に酒場に歩いて入ってくるほど庶民的な女神様は初めてみました。
 冷静につっこむ主人公に「ちっさいゆうなー」とさけぶ女神とか漫才みたいな会話をしつつ飲み明かして翌朝気が付くと、主人公の部屋で2人とも目が覚める。何にもしてないのに動揺する主人公。って、これは青春小説だったですかね。
 主人公の部屋にある大量の錬金術やら魔術書に興味を示すユリスカロアに、主人公がなにやら解説をしています。

「中でもオレのお気に入りは、こっちのゲームブックでな」

 えっ。

 セリフの中になにかファンタジー世界にあるまじき違和感ある単語が出てきたような。現代小説でも普通聞くことはない単語だけど。

「本なのに、自由な冒険を疑似体験できるって優れものだ。特にこのステファン・ヤクソンの“ツァオベラー”四部作が最高なんだよ。これの三巻目だけが見つからなくて───」

 おおおっ、同志よ。

 ゲームブックに無謀にも人生をかけた「仮想儀礼」(篠田節子/新潮文庫)の主人公以来の感動です。
 作者はソードワールド2.0のデザイナーさんですが、ラクシアの世界にゲームブックが存在することが公式認定されたってことでいいですかね。
 ユリスカロアにはスルーされていましたけど、これは壮大な冒険の末に彼らが手にするものが「七匹の大蛇の書」という伏線かもしれませんな!
 私はザウエル応援のため最後まで彼らの冒険を見守ることを誓います。


山口プリン |HomePage

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