冒険記録日誌
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2003年02月14日(金) |
新春!八幡国スペシャル その9 |
(助ける──小判200枚までの金額を要求) 大黒屋から望んだだけの金を受け取ると、君は引き上げた。 「いいか。あの家族に妙なマネをしたら、二晩と生きてはいられないぞ」 大黒屋は目を丸くしたまま、頭を何度も振ってうなずいた。
君は娘の家に帰りつくと、短く事情を話して金を手渡した。(全て自分の金だと思う人は渡さなくても良い。以下は読まないように) 「私たちの為にそんな危険なことを・・・。ありがとうございます。異国の方にも本物の侍はいるのですね」 本物の侍。八幡国では最高の誉め言葉に違いあるまい。そう言われて君は妙に照れくさい気になった。 娘はこの金を吉善屋に渡して、復興資金にしてもらいたいと言う。 兄がいれば彼もこの意見に賛同する。
(助ける──小判200枚を越える金額を要求) 大黒屋は這いつくばって、恐れ入った様子のまま答えた。 「異国の方。そんな大金はすぐには用意できません。明日私の御屋敷に来ていただければなんとかいたします。どうか命ばかりはお助けを」 君は悩んだ。彼は信用出来るだろうか? 今見逃したら明日には金惜しさに、知らぬふりをされてしまうのが相場だろう。 それなら今から一緒に彼の屋敷に金を取りに行った方が得策だ。 君の提案に大黒屋は渋っていたが、最後には承知した。彼の手を縛り上げると屋敷を出る。 そして道に埋め尽くされた衛兵を見て君は愕然とした。 当然だ。あれだけの大立ち回りをした現場に長々と居座って、誰も気づかないはずがない。 大黒屋がかすかに笑った。彼は単に時間稼ぎをしたかったのだ。 君も欲の為に馬鹿な真似をしたものだ。
(助けない) 君は大黒屋にトドメを刺した。 「その金は三途の川の渡し賃にとっておくんだな!」 捨てぜりふを残すと、君は代官屋敷を出た。 ここで兄がいれば彼は、君を追いかけながら尋ねてくる。 「なあ、やけに八幡国の言葉に詳しいじゃねえか。お前さんの国でも三途の川ってあるのかい?おいってば・・・」
君は娘の家に帰りつくと、短く事情を話した。 「まあ、私たち家族の為にそこまで親切にしていただいて。なぜなの?」 「困った人を助ける。これは私の国では騎士道と呼ぶのですよ」 「騎士道。素晴らしい言葉ね。異国のお侍様、あなたのことは一生忘れませんわ」 娘はかすかに頬を赤く染めながらそう言った。
(シーン9) 翌朝、君は八幡国を出る街道の入り口に立った。 見送りに娘、そして杖をついた老人も見送りにきてくれた。 「武者修行の旅は辛く、剣の道は深い。また来ることがあれば、今度は我らを頼るがよい。その時こそ剣術を指南してしんぜようぞ」 兄が死んでいれば、娘は寂しそうに話す。 「この後から兄を弔うことにします。兄の残してくれたお金のお陰で、父の足も治療できそうですし、兄の分までしっかり生きていきますわ」 もし兄が生きてれば、彼は駆け足で君の元へやってくる。 「世話になったな。八幡国名物の米を練って作った食い物を今買ってきたぞ。持っていけよ」
君は愛すべきこの家族達に手を振ると八幡国を後に再び旅立った。 君の旅はまだまだ続くが、それはまたの講釈に。
完
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