冒険記録日誌
DiaryINDEX|past|will
2002年07月25日(木) |
パンタクル(鈴木直人/創土社・創元推理文庫) |
現役ゲームブックファンなら、大抵の人がこの本をご存知かもしれません。 かつて創元推理文庫から発売された時にゲームブックファンの話題を集め、今年の5月に創土社によって見事な復刊を果したゲームブックですから。
それでも知らない人の為に説明すると、著者はあのドルアーガの塔のゲームブックを執筆した鈴木直人氏。 あのドルアーガ3部作に登場した東洋の(美形)天才魔術師、メスロンが主人公になったオリジナルゲームブックなのです。 オープニングでメスロンはシャンバラーと言う王国の、追放された第二王子だった事が判明。メスロンは、鬼達に荒らされ変わり果ててしまったシャンバラーを救うために、鬼達を封印できる如意宝珠を求めて、鬼の巣くつ鬼哭谷へ出かけるという話しです。 本書の最大の特徴は魔法システムでしょう。メスロンは最初から15種類の魔法を覚えています。 これだけだとS.ジャクソンのゲームブック「ソーサリー」の魔法の数(48種類)にはかないません。 しかしソーサリーの魔法は一つの使用シーンで、提示された5種類の魔法の中から選ぶのに対して、パンタクルは常に15種類全ての魔法の中から選択できるのです。そのうえ冒険は、自由にマップを移動できる双方向システムが基本。 これらの理由で、本書はプレイヤーの数だけ違った冒険を体験できると言っていいほど、戦略の幅が広いのです。 また鬼哭谷はいくつかのエリアに分かれていて、空中戦からパズルのような迷宮まで様々な舞台で構成されています。文字どおり起伏にとんだ展開にあきることがありません。 敵も鬼と言うだけあって、餓鬼だの緊那羅だの東洋らしい名前の奴が登場。それまで鈴木氏が書いていた原作付きゲームブックとは一転して、独特の味を作り上げていました。
決して初心者向けとは言えません。マッピングとか面倒くさいと思う人にも、オススメできない。 しかしある程度ゲームブックに馴染んだ人なら、一度は挑戦してもらいたい名作です。 絶妙なゲームバランスとシステムに管理された職人芸のような作品を味わえます。
|