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2002年10月18日(金) 近くて遠い半音の関係〜林矢子『弾き語る秋涼 其の二』@赤坂L@N〜

 昨日は夕方からフレットレスのベースを探しに御茶ノ水へ。楽器屋を覗くのも久し振り。3日のライブで他のバンドの人がウッドベースを弾いているのを観て、それから欲しくてたまらない。でも、何件か廻ってみたけどお気に入りのは無かった…。ウッドベースにするかボディのないアップライト型にするか、エレキにするかもまだ検討中。

 そして夜からは林矢子赤坂L@N。赤坂に来るなんてライブ以外に用事がないものだから、会場に着くまで迷う。そうじゃなくとも僕は地理にめっぽう弱いのに。まだ、出来立てのライブハウスだからきれいだけど、入り口がかなり狭い。人とすれ違うにも一苦労。ステージ上の照明は最新型のものらしく、レーザービームのような光線を放ちサイバーな感じ。
 VJのスクリーンが幕のように上がり、『花のゆれ』で唄が始まる。CDとは違い、ゆっくりとした歌い出し。途中からのテンポアップにはっとさせられる。
 続いて『さゝやき』。この世のありとあらゆる切なさや哀しみを集めたようなこの唄。しかし、彼女は自分の溢れんばかりの想いだけで作ったのだろう。間奏のアルペジオでのギターソロで一層切なさが増す。
 間髪いれずに『栞』。前回のDOORS以上に声もよく透き通っていて、本人も歌っていて気持ちよさそうだ。ただ、ギターの低音がよく聴こえないのが残念。

 今回のライブ前、後にDJをやっていた荒牧英治さんを紹介して、『海あかり』へ。いつもなら他の曲に隠れながらひっそりと歌われるこの唄が今回はとても大きく感じられた。誰も居ない海の底で、やさしくそっと包み込まれるような。只、やはりそこはひとりきりでは寒く寂しい。
 中勘助の『銀の匙』に影響されて作った唄『さめぎわ』。心地よいスリーフィンガーに乗せて歌われるのだが、実はこのスリーフィンガーがかなり難しい。僕は歌いながらなんてまず弾けないし、歌ってなくとも躓きさえするような難しさ。でも、そんなことを全く感じさせない心地よさがあった。
 ラストに『宵の君』。夕暮れの坂道であるひとを待つのだが、そこでもやはり闇を内包している。待っていても誰も来ないような、はたまた去りゆく人を見守るような寂しさが必ず後をついてくる。これだけ色々と転調するのに終わってみると、2分弱。目まぐるしい時間を走馬灯のように見せられた時だった。前回、最後に演奏された『楽園ワルツ』同様、それまで聴いた曲の印象を消し去ってしまうような力をこの曲は持っている。
 選曲、唄とも良かったのだが、欲を言えばここではなく他の場所で聴きたかったというのが、内容以外の感想。

 このライブを観て思い出したのは林矢子と僕の音楽の関係。それは近くて遠い半音のような存在。ユニゾン(同じ音程)の比率が1:1、1オクターブ上の音は2:1に対し、半音の比率は16:15。半音どうし気が合う最小公倍数は240とこんなに近くにいるのに、240倍の時間を過ごさないとかみ合わない。ほろ酔い加減の帰り道、そんなことを思った。

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 今日は意外な人から電話。1日中複雑な気持ち。


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