ぐっどないとみゅうじっく
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午前中はリハ。午後から日比谷シネ・シャンテで『暗い日曜日』(監督ロルフ・シューベル、1999年ドイツ、ハンガリー合作)を観る。水曜は女性は\1000のサービスデイなので、チケット売り場には女性(主に40〜50代)でごった返している。それもそのはず、この映画はおばさま方が好むようなメロドラマが展開されると、予告編を観た矢ちゃんから聞いていた。しかし、そのおばさま方の期待も悉く裏切られてゆくのであった…。 物語の舞台はは1930年代のハンガリーのブダペスト。ラズロ・サボーの経営するレストランに雇われた無名のピアニスト、アンドラーシュ・アラディ。レストランには看板娘でもあり、ラズロの恋人でもあるイロナ・バナルティが働いていて、次第にアラディもイロナに惹かれてゆく。アラディはイロナの誕生日プレゼントに曲を贈る。それがこの『暗い日曜日』。この曲はレストランでも大評判になり、レコード化され、世界中でヒットしていく。しかし、不幸な事にこの曲を聴きながら自殺するものが後を絶たない。まるで、この物悲しい旋律で自分の死を演出するかのように…。
この男2人女1人の3角関係がこの物語の主題であることは確かだが、それだけに留まらない展開を見せてくれた。レストランの常連の1人、ドイツ人のハンス・ヴィーク。普段はまともにイロナと話ができないほど、彼女に恋心を抱いている。仕事でブダペストを去る時に勇気を振り絞り、イロナに求婚したが軽くあしらわれる。しばらくしてレストランに戻ってきた時、ハンスはドイツ軍の隊長となって帰ってきた。(しかも、こいつが以前僕の職場一緒だった人に似ていて、その人を僕はかなり嫌っていたので憎さ倍増であった) そして時代は戦争に突入して行き、ユダヤ人迫害の話が絡んでくる。ドイツ人のハンス、ユダヤ人のラズロ、アラディ、その2人を見守るイロナ。次第に話は戦争色が濃くなってくる。
思っていたのとは違う意外な内容だけでなく、観ていて飽きが来なかった。リハの為、朝が早かったので途中で眠っちゃうかなぁ〜と思っていたけど、まったく眠気がしなかった。人間の表と裏の描き方がとても上手く、そして解りやすいように表現されている。登場人物を闇雲に広げず、レストランの客など身近な人できちんと構成されているのもいい。権力を握った男の典型的なタイプに見事なまでに変貌を遂げていたハンスもベタだけど、人間ってそんなもんだろうなとも思う。特に男としての行動も「なんだ、結局おまえのしたいことはそれか!?」と。
この『暗い日曜日』を今までちゃんと聴いたことがなかった。この映画で改めて聴いてみて、日本人が好むメロディーだなぁと思った。この曲を作曲したセレシュは楽譜が読めず、演奏も右手の指2本しか使わなかったという。なんだか妙に親近感が沸く。僕も楽譜が読めず、ベースを弾く時は殆ど指1本だけなのだ!…全然、演奏力が違うのだろうけど。 TV番の『リング/らせん』で松崎ナオの唄が呪いの唄として使われていたが、まぁそれの元祖って訳だわな。僕も人を心の底から動かせる曲を作ってみたいけど、『暗い日曜日』だって作曲者が望んでこうなった訳じゃないし。曲や唄は出来た途端、作曲者の元を離れる。言うことを聞かない子供のように、親の思惑通りには行く事はない。誰が作ったか、歌っていたか解らなくなるくらいに先に唄だけが残るのはとても素敵なことだ。
早速、矢ちゃんがケータイの着メロで使ってました、この曲。僕の着信音として…。死なないでね(笑)。
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