麻之助は町名主高橋家の跡取息子。あることをきっかけに太平楽なぼんになってしまった。父親の名代に小さな事件の裁きを繰り返すうちに麻之助は成長していく・・・ うー、相変わらずいいですねー。畠中さんの時代人情もの。ほのぼのと優しい目線で生きる人たちを見ている。麻之助と幼馴染たちの友情もいい。ああ、沁みるなぁ。言葉は要らない。ただ読んで欲しい。そんな一冊。 突っ立ったまま、それを無言で見送る。抱えていた淡すぎる思いは、己への嫌悪とあいまって、しゃぼんのように弾け、稲荷神社の空に消えることになった。ひたすらに惨めであった。『まんまこと』 2007.4.10. 畠中恵 文藝春秋