酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年04月18日(水) 『回転木馬』 柴田よしき

 失踪した夫の探偵事務所を守りながら、夫を探し続けた唯がついについに真実へたどり着きました!・・・ジーン(感涙) この失踪劇の背景やからくりや真実はケッコウ早いうちに読みきれます。それでも丁寧に丁寧に織り成すように描かれる唯の追跡や、その時々に出会う事件や人間たちの物語は心に深く訴えかけます。うまいなぁ、柴田さん。この物語は『観覧車』の続編ですが、これだけでもキチンと楽しめます。『観覧車』を読んでから唯のその後が心のどこかで気にかかっていました。フィクションなのにまるで自分の知人であるかのように。だから唯のその後をこうして読むことが出来てものすごく嬉しかったです。そう昔に馴染んだ親しい人に出会えたようで。好きな作家さんの描く物語というのは心にフィットするものなのですね。

憎しみの連鎖を断ち切るために、人は、法律を作ったんじゃないでしょうか。法律がなければ、人間はいずれ、憎み合い、殺し合う。そんな人間の弱さをどこまで、法律で克服できるのか、わたしにはわからない。わからないけれど、あなたがもしその手で憎悪の輪をまた繋げてしまえば、たくさんの悲しい輪が、あちらにもこちらにもできてしまうとは思いませんか。そして・・・・・・理由はどうあれ、あなたと同じ苦しみを味わう人が、たくさん、たくさん生まれます

『回転木馬』 2007.3.20. 柴田よしき 詳伝社



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