酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年03月21日(水) 『麦の海に沈む果実』 恩田陸

 読むべき新刊は山とあると言うのに恩田陸に浸っている。恩田陸と言う作家さんはデビュー作の『六番目の小夜子』からずっとものすごく好き。このまま行けば私は死ぬ時に一番好きな作家は恩田陸だと言うのかもしれないな。なんと言うのか、トンデモナイ不気味さが美しくて、どこかに迷い込まされてしまう。そのゾクゾクさせられる感がたまらないのですよね。根底にホラーが流れているからかもしれないなぁ。郷愁を感じさせる残酷な陰湿なブラック感。それでいてライトに割り切る部分も多分にあるし・・・何度読んでも引き込まれてしまう。いつまでも恩田陸と言う文字の海を漂っていたい。遭難したってかまわないー。スキー。
 『図書室の海』を読んでいるとスゴク面白い。ちょっとした前宣みたいな感じで短い物語を描いておいて、あとからがっつりどっぷり書き込んで読ませてくださる。物語がどこかで繋がっていたり、「あれ?これって・・・?」と言う感覚がひょいひょい頭をよぎるのです。何度も何度も読んでいると「あ、これはアレだったんだー」ってあらためて気づけたり。キラキラした光物をあちらにこちらに贅沢に散りばめてくれているから、再読にもたまらない快感を与えてくれます。大絶賛だわ。
 この『麦の海に沈む果実』は美少女・理瀬が迷い込んだ閉鎖された学園で起きる不思議な出来事の数々にどきどきわくわくはらはらしちゃいます。憂理という少女(彼女もまた別の物語のヒロイン)が今までは一番好きだったのですケレドモ、今回は麗子にやられてしまったわ。いつか麗子をメインに描いてもらえないかしら(願)。しかし・・・何度読んでも、結末は知っているのに、驚かされてしまうのよねぇ。すごい力だ。神業ですね。

『麦の海に沈む果実』 2004.1.15. 恩田陸 講談社文庫



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