酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年09月28日(水) 『壺中の天 鬼籍通覧』 椹野道流

 大阪府高槻市O医科大学法医学室に伊月崇がへろへろになって現れた。昨日、幼馴染で刑事の筧とゲーセンのDDR(ダンス・ダンス・レボリューション)で奮闘しすぎたらしい。その昼に都筑教授とミチルと崇が昼食に出かけ、そのゲーセンを通りかかると事件に遭遇。奇しくもDDRの台の上に若い女性が失血多量で倒れていた。昼食から戻ったら解剖か、とため息混じりに教室に戻った彼らに届いた知らせは「ホトケが消えた」と言うものだった・・・

 都筑教授とミチルさんと崇が見て死を確認したはずのホトケさんが、極楽袋から消えた。世にも奇妙な現象から彼らが辿りつく事件のあらましは、なんとも言えず不思議で身につまされるものでした。タイトルの壺中の天の意味するところがなんともねぇ。やるせなくって。この回から兵庫県監察医の我らが龍村泰彦が登場v ミチルさんと同期のお友達。奇談シリーズとのリンクも楽しめます。龍村さんって素敵なバイプレイヤーだわ〜。あと筧と崇が面倒を見ることになる猫のししゃもも出てきます。ししゃもってネーミングにはやっぱり笑えてしまう。
 この鬼籍通覧シリーズは(巻末で椹野道流さんが述べられていますが)、なかなか難産の末に生まれる作品のようです。書かれている文章を読ませていただいていると、作家さん自身が少し見えてくる気がします。椹野道流さんの場合、サラッと書いているようでずいぶんと考えながら書かれているんだなってことがしっかりと伝わってきます。なんて言うんだろう。言葉に対する責任感を教えてくださるんですよね。だから登場するキャラたちも決して軽くない。文は人なりってこういうことなのだろうなぁ。

「ええもんやなあ・・・・・・。あんな事件のあった墓場で、新しい命を拾うて来るとは。何や、命は巡るっちゅう説を、信じたくなるわな」

『壺中の天 鬼籍通覧』 2001.6.5. 椹野道流 講談社ノベルス



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