酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2005年06月07日(火) |
『魂萌え!』 桐野夏生 |
59歳の敏子の夫が心臓麻痺で急死。専業主婦だった敏子に襲い掛かる夫の秘密に子供達の遺産争い。さまざまな経験を重ね、敏子が選び取っていくもの・・・
やー、桐野夏生って人がまたやってくれましたって感じ。またもヤラレタ。こういうヤラレ感は爽快です。なにを書こうとも桐野夏生パワーの底力をビシバシに受けとめてしまう。でも今回は桐野さんにしては抑え気味かしら? 人が死ぬって本当にすごいこと。当たり前にそこにあった生がいきなり消滅してしまう。そこから波及すること、遺された人の心に及ぼすこと、とても多いのです。実感しながら読みきりました。 いきなり死んじゃった旦那の秘密を知った時、敏子は動揺し、取り乱し、本来持っていた己を呼び覚ます。秘められていた敏子の猛々しいパッションが心地よかったです。苦しみや悲しみや嫌な事を受け止めながら前へ進む。それを人それぞれのペースでやっていけばいいんじゃないかな。なにかに遭遇したときポキリと折れないで。ちょっと骨折して治しながら前へ。不細工でいいじゃない。カッコ悪くていいじゃない。自分が自分らしく前へ。それでいいじゃない。そんなこと思いました。
「人が一人死ぬと、いろんなことが変わるんだね。あたし、今回すごくよくわかった」
『魂萌え!』 2005.4.10. 桐野夏生 毎日新聞社
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