酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年11月16日(日) 『anego』 林真理子

 野田奈央子は33歳・独身、一流商社OL。若い派遣社員の女性が席捲する中、しっかりと働き、後輩の女性たちに絶大なる信頼を受けている。性格的に人から頼られやすいアネゴ肌な奈央子は、つい人の相談に乗ってしまう人の良さがある。旅先でかつての後輩、鈴木絵里子とその夫、沢木に出会った時から、彼女の人生は波乱と混乱と恐怖に満ち溢れていく・・・。

 これは、紛れもない怖いホラーですね。しかもかなり上質のホラーでした。どうして上質かと言うと一番最後のたった一文にホラーを感じさせたからです。これでもか、これでもか、と畳み掛けるホラーもいいけれど、普通に読みすすめていって、たった最後の1文でぞーっとさせるなんてなかなかできるもんじゃありません。
 どちらかと言うと林真理子さんは読まずギライで通してきたのですが、ここまで面白いと認識を改めないといけませんねー。
 若さを通り越した33歳の独身女性がぶつかるさまざまなことが描かれていて、きっと読みながらどこかに自分を見つけた女性も多かったのではないでしょうか。奈央子がとても好きなタイプの女性だっただけに、本当にどうして幸せになれないのだろうとものすごく同調してしまいました。そこもまたある意味ホラーでした。
 いい人と回り中から認められ、頼りにされた女性が迷い込んでしまった迷路。はたして彼女はそこから抜け出ることができるのでしょうか?

 けれどもセックスというのは菓子と同じで、すぐに食べなくても常備しておかなければ心もとない。不安になる。

『anego』 2003.11.1. 林真理子 小学館



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