酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年05月18日(日) からくりからくさ 梨木香歩

 蓉子は、亡くなった祖母の家で暮らすことにする。蓉子に多大な影響とりかさんをたくした大好きな祖母の気配の残る古い家に。同居人は、すぐに見つかった。鍼灸師を目指す日本的なものを愛する異邦人(あえて)マーガレット。機を織る音がうるさいと苦情がでて困っていた神秘的な紀久。テキスタイルの図案研究をしているはきはきした与希子。4人とりかさんの生きることを慈しむような生活がはじまった。そんな4人とりかさんの織り成す生活の中に神崎と言う男が流れ込んできて・・・。

 ある方の企画に参加させていただきたいなぁと思い、久しぶりに読み返しました。何度読んでも梨木さんの文章から滲み出る美しさ暖かさに涙が止まりません。たまたま個人的に落ち込んでしまっていたところへ、命が連綿と受け継がれていく素晴らしさを再確認させてもらえたようで、不思議な巡り合わせに感謝したい感じです。
 私はこの物語の中では蓉子は別格として不器用な異邦人マーガレットのことがすごくスキなのです。神崎がマギーと呼んでいいかと言うと、マーガレットはきっぱりと「私はそういうマーガレットではない」と答えるところがなんとも言えずスキで。また、マーガレットが今の自分の性質を作り上げた少女時代を語るとき、同調して泣けて泣けて。
 うまく言えないけれど、いつこの物語を読んでも感じることは《受け継がれていく命の尊さ》みたいなものなのかしら、と思います。もし読んだことのない方がおられたら是非読んでいただきたい、そんな宝物のような物語です。

 
 流れをただ見つめていたら、そのうち流されているものも落ち着くところに落ち着くわ。

『からくりからくさ』 1999.5.20. 梨木香歩 新潮社



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