酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年05月09日(金) 重力ピエロ 伊坂幸太郎

 泉水の母は情熱的な美しい人。泉水が一歳の時に男に襲われてしまう。泉水に危害を及ぼすぞと脅迫し、強姦するという未成年の割には卑劣きわまる熟練した強姦魔だったらしい。春はその結果生まれた泉水の弟。ふたりの父は春を自分の息子と言い切る。心に悲しみを抱えながら春も20代となる。母は亡くなり、父は癌におかされ入院をしている。そんな三人の周りで放火事件が続発。春は現場の近くにいつも書かれている落書きに着目。三人三様の事件へのアプローチがはじまった。

 いやー、いいものを読ませていただきました。春がレイプされて生まれた子供と言うことが物語全体からいろんな問いかけとなっていて、春自身物語の内外(と言うのもおかしな書き方ですが)で悩みぬいたであろうことがわかります。その春を愛する父・母・兄がまことにいい。物語の謎もまたうまいv これは読んでください。
 伊坂幸太郎さんの作品は『オーデュポンの祈り』しか読んでいなかったので、他の作品も読みたいと思います。そう言えばこの作品にオーデュポンのアノ方(?)がちらりと出てきてそれは嬉しい。

 「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを忘れているんだ」

『重力ピエロ』 2003.4.20. 伊坂幸太郎 新潮社



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