ソレイユストーリー
▽▲▽▲▽ ソレイユストーリー ▽▲▽▲▽

2003年07月07日(月) 9話 『海戦』

海賊とギルドはある協定を結んでいた。
海賊の停泊、補給、修理、などを請け負うかわりに、
ギルドの旗を掲げた船舶は、決して襲われない。
持ちつ持たれつ。


このころ、「人工環礁連合」は、
軍備増強の理由に海賊からの領民の保護を挙げていた。
だが実際は本腰を入れていない。
略奪による被害はもっぱら下層民だからだ。
ブルジョアは高速クルーザーに居を構えている。
しかも海賊の欲がる金目の物は、安全なギルドの本部に預けてある。
ギルドは漁夫の利を得ていた。


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今、ある海域において方々より船団が集結しつつある。
ロフティー率いる自警団が、各地の自警団を呼び集めたのである。
ちょうど略奪に失敗して、保護区(ギルドのコロニー)に、
帰還しようとしている海賊一派を撃つため、
横並びの方舟を目隠しに潜んでいた。

コロニーまで数キロまで迫った時…
ようやく海賊は見知らぬ船団の存在に気づいた。
しかし、そのてんでばらばらな様子から同業者かと思った。
ギルドに連絡をとったが、なんの返事も無い。
ロフティーは、あらかじめコロニーの代表と密約を結んでいた。
このところ突け上がっている海賊一派を、
煙たく感じていたギルド上層部は、
彼らを見切ってロフティーの自警団を、
傘下に入れようと画策していたのだ。


飼い犬はライオンの檻に放りこまれた…


1発の発煙筒を合図に、横1列になっていた方舟が退避した。
そして一斉艦砲射撃!
陣形も取っていなかった海賊船は、慌てふためいた。
海賊とは、本来海戦には向いていない。
ホームベイから狙った街に出向き、上陸して略奪。
荒らすだけ荒らして帰還する。それが海賊行為の定番である。
海戦に慣れている自警団にとって、不意を突かれた海賊船などちょろいもの。
たちまち戦線放棄する海賊船が後を絶たない。
1/3が撃沈。残りは航行不能。
あっという間だった。
ロフティーは胸のすく思いだった。

後にギルドは、この1件への関与を否定した。


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ロフティーには考えがあった。
その昔ギルドにいた時、苦汁を飲まされた経験から、
思わせぶりなそぶりとは反対に、ギルドへの暗計を練っていた。
ギルドの飼い犬になるつもりなど、はなから無い。

この「自警団連合」を、より密にする為には、
「人工環礁連合」というスポンサーが必要だ。
暗礁海域での妨害行為に腹を立てている連合にとって、
海賊を叩いて廻る自警団の存在は小さくない。
正式な海軍への登用も考えられている。


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ギルドは連合への態度を強硬化させつつある。
難民受け入れの拒否から始まった。
重要な商用航路を牛耳る方舟は、連合に関連する船舶の停泊を拒否した。
人工環礁間の通商妨害とみなした連合は、これを実力行使で捻じ伏せる。
つまり…いまや正式な海軍となったロフティー率いる「自警団連合」を、
ギルド本部のあるコロニーへ派遣したのだ。




                  つづく





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