│←“みにくいアヒルの子”現象→│
湖のすぐ底に、ヘンケンが居るなんて知らなかった。 彼らは、僕の両腕に付いた傷を見て 「オイオイ、あれはなんだ?」 『きっと、wrist cutよ。』 「ぇ? 何それ。英語で言わないでよ。解らないじゃない。」 そうして、皆が口々に 「そうだね…。」 言った。しかし、水面の一人の水草も僕のほうを見ていたようで 僕に向かって 「心配すんな。大丈夫じゃないときはいつでも俺の中に潜り込みな。」 と、優しく諭した。
夜が明けると、ヘンケンたちは、見境もなく襲ってきた。その鋭い眼で。 僕は、こんな眼に出遭ったことがなかったので、とても戸惑った。 しかし、初めてのことだからといって、逃げてばかりじゃいられない。 ヘンケンの眼を・壁を跳び越して、あの空に舞う日が来る・その日までに 自身を強く保って、大抵の人には迷惑をかけないようにしないといけないし、 世間の甘さに溺れてばかりもいられない。 僕を受け入れてくれる人ばかりで この世の中が構成されているわけではないから、 人間という生物の素晴らしい個性を受け止めていくべきであろう。僕は、強く、そう思う。§2003年09月27日(土)§ |