│←おかあさん、私、家出します→│
少女時代、家族と共に通っていた銭湯を何年かぶりに訪れた。それを言い出したのは父で。 皆、どうして?と疑ってはいたが、父の言葉に従い、母は支度をし始めた。
シャワーヘッドの下にある鏡に、銭湯周辺のお店の広告が埋め込まれてある。 8年前の、あの時と変わらない、お店屋さんの広告。 店の主が他界しもう3年ほど前に閉店したところや、今はもう無いお弁当屋さんや。 タイルの壁の柄は変わった様子もなく、寂れてもいなかった。 私の身体は成熟し、そうして、 腕の傷だけが増えたようで、タイムスリップしたかのような・錯覚。
懐かしい・あの頃。 あの頃から、死を望んでいた私。何故だろう。 綺麗な爪は老いと絶望と現実だけしか捉えられなかった。 10歳の私、そうして 今の私の状況を考えてみると、少し、疲れているのかもしれない。 いずれにせよ、現代人に多い軽症うつ病的な性格は 治らないだろうから、このまま放置しておくのもいいのかもしれませんね。
大人になるのが恐い。 勉強をしたくないわけではなくて、 自分の居場所がなくなるのが恐くて。 それは結局、自分の心の基盤が出来上がっていないだけで、 1人で立つことも出来ない脚の弱さを持っているからでしょう。 「居場所が無いなら、創れば良い」と、常識人は言う。
居場所を作る・材料は、何処に売っていますか?
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