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2006年02月24日(金) 機動戦士Zガンダム

好評だったんですよ!前回の「機動戦士ガンダム」な日記は。
だってこの件で、はじめてメールを下さった方もいたくらいですから!
そうなんですよ。好評だったんですよ(多分)

そういうワケで「おもしろいからっ!」と、たっくんが大絶賛で
かしてくれた「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」
もうれつに期待して、鼻息荒く鑑賞いたしました。



して、今回もあらすじの説明です。

主人公はカミーユ・ビダンという少年です。
前回の「1年戦争」から7年が経過しています。

地球連邦軍(アムロが所属していた)は、ジオン(シャア所属)の
残党狩りを目的に「ティターンズ」という組織を結成していました。
しかしこのティターンズというのがクセモノでして、
宇宙居住者に対し、非常に残忍な行為に及んでいます。
地球に対して反抗的な兆候があると、虐殺に及んだりしています。
つまり「ジオンのような組織の発生」を恐れているのです。

しかしジオンが生まれたのは、
宇宙居住者に対する差別から脱出するため、です。
つまり圧制や差別がなくならない限り、第二のジオンは発生するのです。
それを虐殺や更なる抑圧をしても、事態はよくなりません。

そうです。第二のジオンが生まれるのです。
地球連邦軍のティターンズに対抗する勢力。「エゥーゴ」です。

ただちょっとわかりにくいのが、この「エゥーゴ」も、
宇宙居住者を主とした、地球連邦軍のひとつな感じなのです。
そして「ティターンズ」も地球連邦軍のひとつです。
つまり、地球連邦軍の中の「ティターンズ」という組織がチカラを持ち、
地球連邦軍を牛耳りだした、それに対して、という感じだと思います。
ちなみに「ティターンズ」は生粋の地球居住者が中心と思われます。

旧日本軍の中でも、海軍・空軍・陸軍とありましたが、
陸軍の暴走があったと思います。
そんな感じでイメージしてください。詳しくは自分もわからないのですが、
同じ地球連邦軍の中で、派閥争いな感じだと思ってください。


宇宙居住区サイド7の高校生カミーユ・ビダンは、些細なことで、
ティーターンズの兵士ジェリド・メサとケンカになります。
すごい下らないケンカなのですが、ここから彼らのいさかいは続きます。

カミーユはティターンズに恨みを持ち、誘われるままエゥーゴへ参入。
誘ったのはクワトロ・バジーナという男性。
実はこの人、以前は「シャア・アズナブル」という名前。
そうです。シャアが身分を隠し(いやシャアも本名ではありませんが)
エゥーゴに参加していたのです。
とはいえ、周囲には「シャア」であるとバレバレなんですが、
本人はバレていることに気がついていないようです(笑)

そして、地球連邦軍に危険分子として軟禁されていたアムロ。
既にエゥーゴの一員として加わっていた、ハヤト・コバヤシ。
ホワイトベース元艦長として輝かしい職についててもよさそうですが、
ティターンズのせいで閑職にまわされていたブライト・ノア。
ティターンズの悪政を暴こうとジャーナリストになっていたカイ・シデン。

旧メンバーもエゥーゴに参加なZですが、いかんせん殺伐としています。


前回のガンダムでは「アムロの成長」というのが物語の軸です。
だが今回の主人公カミーユは、まったく成長しません。
もともとゲリラ的要素の強いエゥーゴは、一応地球連邦軍のひとつである
ホワイトベースのような規律がどうも薄いようです。

おまけに「ハヤトもシャアも、若いのにガンダムをまかせて」
と、相変わらずふてくされるアムロの言葉の通り、
やたらコドモがガンダムに搭乗します。
ちなみにアムロが乗っていたガンダムは既に旧式になり、
カミーユが乗るのが「Zガンダム」です。ガンダム2って感じです。

他のパイロットも子供が多く、どーにもワガママ放題。
クソ生意気だわ、作戦は無視するわ、まったく成長しません。
「いつか成長するに違いない!」
そう思い、ガマンしながら次々とDVDをセットするじゅりちゃんを、
彼らはあっさり裏切ってくれます。


しかし新要因も登場です。それがティターンズの「強化人間」
彼らは「ニュータイプ」が自然進化なのに対し、
強制的に「ニュータイプ」の要素を加工された人々です。
自分の意思を押さえつけられ、まるで洗脳されたような強化人間は、
ものすごい能力を持ち、カミーユ達を苦しめます。

繰り返される殺し合い。だがカミーユもアムロとララァのように、
強化人間とは心で会話が出来るニュータイプです。
けれども強化人間がニュータイプと違うのが、それが人工的につくられ、
自らの意思を抑圧されているところにポイントがあります。

心を通わせながらも、狂ったように攻撃してくる強化人間達との戦い。
本編のほぼ全てを、そんな戦いが占めるのです。


アムロは兵士として成長しました。
それは、コドモから大人への成長でもあります。
けれどもカミーユは成長しませんでした。
子供の心のまま、彼は戦いの中に身をおき続けたのです。

その結果がどうなるか?

アムロは1年戦争のヒーローとしてその名を歴史に残しますが、
ティターンズの親玉を殺すことに成功したカミーユ・ビダンは、
アムロの次の栄光者にはなれませんでした。

カミーユには悲しい結末が待っていました。
それこそが、このZガンダムの真髄。
前作とは違い、ただただ、むなしい戦いだけが続くZガンダム。

カミーユ・ビダンはコドモの心のまま戦い続け、
戦争に対する怒りを克服できず、精神異常を起こし、物語は終わります。



あまりな結末に、じゅりちゃん呆然!

だがわかる!この作者の言いたいことはわかる。
「書ききれてないって、作者の人は言ってたよ」と、たっくんは言うが、
なんの! じゅりちゃんだって、小説を書く。

「書きたいことを100%出せることなんて、ありえない!」

なにをどーしたって、物足りない、伝えたりない。
ただただ、最後の結末のためだけに続いた、あの長い戦い。

だが言いたいことはわかる!! ものすっごい、わかる!
最終回を除いたほぼ全てが「前フリ」だと思われるこのZガンダム。
ものすっごいつまんないと思うけど、我慢して見る価値アリです。


だが難点もたくさんあります。

1:脚本に統一性がない。

前作が大好評で続編を望む声が大きかったのでしょう。
そのため、大急ぎで作られたと思いますが、とにかくザツ。
一番わかりやすいのが、アムロのシャアに対する二人称。
「キミ」と言ったり「アナタ」と言ったりしています。

日常生活でもそうですが、日本語の二人称は大事です。
「キミ」と「アナタ」では、相手をどう捕らえているかが全く違います。
尚、アムロはクワトロがシャアであることを知っています。
ファーストの最終話では生身の戦いをしていますし、
なにせ「にっくき赤い彗星」です。顔を忘れるワケがありません。

最初はアムロの中で、まだわだかまりがあるのかと思っていましたが、
どーも違うようです。話の流れに関係なく、二人称がばらばらです。

これは単なる製作上の不一致です。
複数のライターが関わっているのでしょうが、一本化されていない。
つまり推敲の段階で、あまり時間がとられていないように思うのです。

一人の人間が書いていたなら、まずありえない。どんなに時間がなくても、
日本人なら二人称をおろそかにすることはありません。
つまり、完全なキャラクター設定が出来上がっていないまま、
共通の定義を持たないまま、脚本が完成してしまったと思われます。

ってかさ。アムロがシャアに対して「キミ」は、ないだろっ!



2:ホワイトベースの元クルーのシャアに対する態度に疑問

あれほど仲間を殺された彼らです(シャアもそうですが)
なぜハヤトがシャアを受け入れたのかが、わからない。
ブライトも落ち着きすぎ。
唯一わかるのは、面会を拒否したカイと、敵意むき出しだったアムロ。
他の二人は、どーしてそーなったのかが、すっぽり抜けています。
小説版などで説明があるのでしょうか?



3:女性パイロットが多すぎ

やたら多いです。半数が若い女性です。
いや、メインキャラの半数以上が女性です。
人口が半減するほどの大戦争の後、若い女性が兵士というのは、
どーにも違和感、ありありです。

女性差別ではありませんが、戦争で女性パイロットというのは、
やはり異常です。なんでも男女平等ではありません。
おそらくニュータイプ能力のあるものがパイロットに、
ということなのでしょうが、これじゃ人口が増えないよ。



4:敵キャラがつまらない。

前作では「シャア・アズナブル」という、主人公のアムロ以上に、
絶大なる人気を誇り、いや、ガンダム史上、彼以上の人気者はありえない!
そんな、素晴らしい敵キャラがいましたが、今回はゼロ(泣)
前作ではランバ・ラル、クワラン曹長等、人間味あふれる人々でしたが、
今回はホント、記憶に残らない敵キャラばかりです。

おまけにずっとカミーユに付きまとう、最初のいさかいの相手ジェリドは、
本当にヘタレな男で、もうどーしようもなく、どーでもいいキャラです。
なんでこんなキャラ設定にしちゃったんだ、というくらい、つまらない。
多分、成長しないカミーユに対抗し、これまたジェリドも
成長しないコドモなキャラになったのでしょうが・・。つまらない。



5:シャアが殴られる

「そんな大人、修正してやるっ!!」

よくわかんないけどブチ切れたカミーユに、シャアが殴られます。
確か、2回くらい殴られます。
でもシャアは大人ですから(設定年齢がこのとき27歳)
コドモ相手に殴り返すことはありません。

ぐだぐだ言うつもりはありません。
ここは龍兄の言葉で、締めさせていただきましょう。

「シャア殴っちゃいかんですよね。殴っちゃ」

まさに。まさに。猛烈に同感です。



6:シャアのセリフがつまらない

「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを」
「坊やだからさ」
「これで勝てぬなら貴様は無能だ」
「いい女になるんだ、アルテイシア」

とにもかくにも、ファーストのシャアのセリフはすばらしい。
これは企画段階で相当練りに練られたものだと思われる。
時間の限られた中で、いかにその人物に的確、かつ印象的なセリフを
言わせるか? これこそが製作する側の最も難題とするところです。

前作のファーストでは、シャアはすばらしいセリフが随所にあった。
勿論、他の人物も、印象的なセリフが多く、ムダがひとつもなかった。

だが今回、どーしても納得できないセリフがある。

シャアに好意を持つ女性が、シャアの煮え切らない態度に腹を立て、
シャアに対して八つ当たりをします。その時のシャアのセリフ

「わたしに、どうしろというのだ」

あーりーえーねーっ!!! シャアのクセに! シャアのクセに!!
あんだけ自分の周りの女性を利用してきた男が、
今更「わからない」だなんて、言わせないぞ、ごらっぁ!!!

もう、がっかり。ありえなさすぎ。
おまけにシャアの戦闘能力を発揮するよなシーンもなかったしな。
っていうか、全ての登場人物が、モビルスーツの性能のよさで
勝っているような感じなんですよ。アムロの成長とは大違い。



以上が大体のじゅりちゃんの感想です。

ファーストの勢いで見ると、かなりがっかりしますが、
作品単体で見るなら、すじがきの荒さをがまんしつつ、
大局的に見ることにより、そのよさを感じることが出来るでしょう。



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