Juliet's Diary
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後輩の芝居を見に行きました。 前の日記でそこの役者さんと話をした件はお伝えしましたが、 今回、看板俳優のお二人とお話しする機会がありました。 補足説明を先にしてから、お話したいと思います。
その看板俳優Iさんは、後輩と一緒に劇団を旗揚げした方です。 最初は3人からのスタートで、当時は19歳でした。 もう一人の方はDさんで、旗揚げ数年後に入団。 数年後とはいえ、4人目か5人目の役者で、やっぱり18歳くらいでした。
Iさんは当初より、なにか光るものがあったのを覚えています。 後輩と言うより、我々はそのIさんの演技が楽しみで見に行っていました。 そしてその後を追うようにDさんがいたのですが、 当時はやはり、Iさんに見劣りしていたように思います。
けれどもここ数年。Dさんの追い込みはすごいものでした。 ある日受取ったチラシの役者の名前順が、 いつもはIさんから始まるのに、今回はDさんから! 見てみると確かに、今回はDさん中心でした。
またこのときのDさんの演技がとってもよかったのです。 「Dくんも成長したねぇ〜。おもしろかったねぇ〜」 と、我々は帰りの食事会で、感嘆したものです。
して「我々」とは、後輩とわたしを含む、高校時代の仲間です。 後輩のおかげで、我々は演劇に興味がない人間も、 「東京オレンジ(堺雅人所属)」とか「野田秀樹」とか、 当たり前のように会話の中に出てきていました。 そして当然、Iさん、Dさんの話題も、てんこもりです。
「Dさん最初の頃は、ほんと見劣りしたけど、今すごいいいじゃん!」 「人は成長するんだねぇ〜」 「でもさぁ。あの二人は、もう10年近くも、アイツ(後輩)を 見捨てないでいてくれているんだよ。なんでだろね?」 「理由はわかんないけど、とにかく感謝だよ。 アイツ(後輩)が芝居を続けられているのも、あの二人のおかげだよ」 「ホント。感謝しなきゃね〜」
という具合。 勿論「あの変態チックな演技は、Iさんのオハコだよね!」 というような話題も平気でするし、 「Dのヤツ、彼女にフラれてさ。修羅場ですよ」 なんて、互いに知らないと思って、我々も後輩も言いたい放題!
そんなこんなで、早10年近く。 我々も歳をとり、彼らも確実に成長し続け、 今では彼らが舞台に上がってくるだけで、 じゅりちゃんの笑いは既にフルモードへとONするのでありました。
して、前々回の打ち上げは新人のKくん。前回は中堅のTくん。 「じゃ今回は看板俳優さんと、お話できるかな?」 そんな、まさか。彼らだって人気があるのだ。 そんな都合よくいくわけないんだよ、と、思ったら。
「先輩、紹介します。ウチのDです」
なんと! わたしの後輩がDくんを連れてきてくれたのだ! それもテーブル向かい合わせ。超まじかで見ちゃった。
だがちょっと思う。なんか違う。 一通りの挨拶を済ませ、よーく見るのだが、ものすごい違和感。 「帽子のせいかしらねぇ? なんかお顔が違う感じがするのよ」 そう言うと、Dくんは帽子を取ってくれたが、その瞬間わかった(笑) 確かに、確かに、あの舞台で見ているDくんだ。
後輩や一緒に見ていた他の後輩と話をするDさん。 でも顔だけじゃない。根本的に残る違和感。 それは妙に礼儀正しく、そんでもって丁寧な印象・・・・。
私が好きなDさんの演技その1:正義感を振りかざすオヤジキャラ 「なんなんだ〜!キミたちはぁ〜!」 と言うワリには、オマエがなんなんだ、というキャラ。 どこにでもいそうなイヤな感じ満載。
私が好きなDさんの演技その2:ぷちバカキャラ すべてがバカではない。ほとんどまとも。 でもちょっとした隙間が、かなりバカなのだか当人は真剣。
わたしには信じられない。 目の前にいる、この礼儀正しく丁寧な青年が、 どーやったらあんなふうになってしまうのかが、わからない。 「じゅりちゃんさぁ。あのキャラで日常生活は送れないよ」 同行していた後輩が、そう言う。確かにそうだ。
「演じている役者と、その役者本人は違うのだ」
つよしくんを見ていて、わかっていたつもりだが、 そうは言っても、プライベートのつよしくんは知らない。 Dさんとつよしくんは違うって? そんなことはない。 わたしには同じだ(かなり無理のある仮説なのは自覚しています)
8年近く、結果的にずっと見ていた、知っていた。 年に数回、1・2m先で、さまざまな演技をする彼。 前よりいいな、と、右上がりで上昇する様を、結局知っている。
だが、彼がセリフ以外の言葉を発する声を聞いたことがない。 私服を見たことがない。演技以外の表情も動きも知らない。
それでも私は、彼のことを知っていると思っていたのだ。 約8年だ。舞台以外のことも、後輩を通じてちょっと知っている。
だから「知っている」と思っていたのに、こりゃぜんぜん違うぞ、 と、わかった際、ちょっと狼狽した。 この衝撃度が「つよしくん」だったら、どれくらいなのか? と考えたら、わからなすぎて不安になる。 いくらバラエティを見てたって、錯覚の可能性は未知数だ。
Dさんはまた帽子をかぶりなおすと、にっこりしながら控えめに、 そして話すときは、とても丁寧な言葉遣いだった。 (私が後輩(主宰)の知り合い、というのもあるのだろうけど)
KくんやTくんと話したときにも感じたのだが、 なにせKくんの舞台は初見。Tさんも違うなとは思ったけど、 私にとってのDさん蓄積量とは、大きく開きがあるのだ。
だからまさかこんなにだとは思わなかった。 もうちょっと夢見ていたかったと思った。
Dさんはオヤジキャラ。Iさんは変態キャラ。
だが実際の彼らは、ごくごく普通の好青年だった。 わたしが考えていた、おもしろおかしい人ではなかったのだ。
人様から伝え聞いた印象でも、左右される場合もあると思う。 だが役者というのは、確かに実際にそう言い、そしてそう行動している。 だから余計、強い印象を受けてしまう。 例えソレが「お芝居だ」とわかっていても、かなりの影響を受けている。
アタマではわかっていたが、こういうことだったんだ、と実感。 非常にいい経験をしたと思っています。
ただつよしくんに対する視線は変わらないと思います。 だって直接会う機会なんて、ないでしょうからね。 今後も思い込み発言をどんどんするでしょう。 でも、その一方での冷静な視線が、少し大きくなったと思います。 いい意味での冷静な視線ね(笑)
追伸
ありがたいことに、Dさんが気を遣って、Iさんを連れてきてくれました。 Dさん以上に夢を見ていたかったIさんですが、これまた好青年(泣) 本当にごく普通の丁寧な方でした。あぁっ!夢が崩れる。
追伸2
そうだったの?? という猛烈なショック続々。
Dさんの場合
「はじめまして。じゅりと申します」 「はじめまして。Dです」 と、ここまではよかった。が、しかし。 「お噂はかねがね、伺っております」 と、Dさんは笑顔でぬかしやがる。
なんだって? 知っているのはこちらばかりと思いきや、 アッチもわたしのこと、顔は知らねど、存在を認知していたとは??
ものすごい不思議。互いに一人の人を介して、9年間もその存在を知っていた。 一人は舞台の上で。そしてもうひとりは客席で。 そして一方はその人物の成長をつぶさに見ているのだ。
不思議。不思議。そして奇遇。
だがそんな感傷とは別に、すぐさま爆発。 「アンタ! いったいナニを言ったのさっ!!!」 けれども他の人が会話に入ってきちゃって、結局わからずじまい・・。
ひいきの役者さんが、わたしのナニを知っているのか? ものすっごい、不安です・・・。
Iさんの場合
「はじめまして、Iです」 「はじめまして。じゅりです。お噂はかねがね、お伺いしております」
Dさんで失敗したので、今回は先制攻撃。 Dさんが知っているなら、Iさんだって知っているだろうけど、 でもでも、そのIさんのクチから、そんなこと聞きたくない!!
だがしかーし!予想外の言葉がIさんから!!
「ボクのどんなことを聞いているんですか??」
悪かったよ。普通に考えれば、そうくるよな。
でも言えない。絶対言えない。 「Iのことが好きで好きで、たまらない」とか 「いざとなったらチカラではオレの方が上だ」とか・・・。
そうなんですよ。Iさんも男。後輩も男。 Iさんは100%気がついているとは思うけど、 でも、改めて聞いたら、ドン引きだよな。言えねぇよ。
追伸3
2回前にお話した、ほぼ新人のKくんが終演後、挨拶に来てくれました。 「前よりぜんぜんうまくなったし、とってもよかったよ」 と言うと、とても喜んでくれました。
セリフの言い方などに、彼自身の個性が見えるようになり、 非常にいい役者さんに成長しつつあるな、と、思いました。
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