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2004年07月11日(日) 新撰組(いっしょに探してやる)

”おまえだけのもを、オレもいっしょに、さがしてやる”

すごいセリフだと、思った。
三谷さんはプロだし、でも、きっと、そうだと、思う。

あのセリフは、絶対、ものすごい切り札だ。
作家の中で、いつか、ここぞ、という場面で、使ってやるぞ、
というくらいの、とっておきのセリフ、のひとつではないかと思う。

みなさん、言えますか?
普通、自分だけのもの、というのは、その人にしか探せない。
自分で見つけるものだ、というのが、定番です。
それは幕末だって、変わらないことのように、思えるのですよ。


三谷さんが、慎吾ちゃんに、なにを求めているのか、よくわかる。
あのセリフを言える、ぴったり言える役者は、そうそういない。
香取慎吾だから。慎吾ちゃんのキャラクターだからこそ、言える。
わたしには、そう思えた。


前にわたしは、なぜ、山南さんが、
あの近藤勇に、賭けたのか、わからない、と書いた。
慎吾ちゃん演じる、あの近藤勇は、少々やさしすぎて、
どちらかといえば、歳三に、ひっぱられるようにして、ここまで来た。

今だって、土方歳三に、ひっぱられている。
やさしい近藤勇像のため、悪役を一手に引き受けている、土方歳三。
彼が、全ての泥をかぶり、近藤慎吾は、光の中を、歩いている。

でも、わかった気がする。

あなただけのものを、いっしょに探しますよ、というのは、
ずっと、あなたを見守っていますよ、というのと、同じことだと思う。
男同士ではあるが、非常に強い愛情を感じる。
あの近藤勇は、平助を弟のように、広い心で、受け入れている。

近藤慎吾ちゃんの言葉に、笑顔で答える平助の演技も、すごくよかった。
安心した笑顔と、近藤さんについていく!という気持ちが、よくわかった。


人は、自分を受け入れていくれる相手を、探している。
誰かと比べたりして、自信を失い、自分が嫌いになってしまうこともある。
でも、ダレもが、最後の最後で、自分を嫌いになれない。
相手がわかってくれない、と、ひがんでしまうことが、多い。

そして、ほとんどの人が、自分のことで、手一杯。
相手のことまで、なかなか、気が回らないのは、
きっと、いつの世も、同じことのように、思える。
でも、あの近藤勇は、仲間の一人を、強く見守っていた。


”おまえだけのものを、オレもいっしょに、さがしてやる”

若干、能天気にも思える、このセリフ。
生半可な言い方では、なんだか偉そう、もしくは、ただの身の程知らず。

でも、慎吾ちゃんの言い方は、いままでの積み重ねもあるが、無理がない。
このセリフは、絶対、難しい。とっても、難しい。
少し違うだけも、あの近藤勇、としての言葉には、ならなかった気がする。


やさしさあふれる男。熱い志がありながら、まだ迷いもある男。

今までの近藤勇とは、多分、大幅に違う。
おそらく、実在の近藤勇とも、大きく、違う。

でも、三谷さんが作りたかった、近藤勇。
そして、それを、見事に体現している、香取慎吾。


あのセリフ、ひとつ。

見事な、三谷&香取のタッグが、見れたと思います。


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