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2004年03月02日(火) 僕と彼女と彼女の生きる道(第9回)

”オヤジみたいには、なりたくないんだ”

とは言いつつ、うまくいかない現実。
肩書きに、こだわりたくない、と、言ったのに、
現実に、バカにされると、心落ち着かず。


”バカだと、思っているんでしょう”

人のやさしさも、理解できないほどに。


”オレにどう思われようと、いいじゃないか”

東さんの、このセリフは、とても、難しくて。
そう、わかっていても、なかなか、人は、割り切れない。

”人はみんな、肩書きで、見るんだよ”

自分も、そう思っている。そうは、思いたくないけど、そうだと思う。
だって、初対面の人を、理解するには、まずは、ソレからだし、
肩書きは、仕事に対する評価だから、それだって、その人の個性の一部だと。

自分は、そう、思っている。
それが、全てではないけど、でも、やっぱり、そう思っている。

わたしも、どちらかといえば、迷っている徹朗と、同じだと思う。
家族の大事さとか、仕事だけじゃないとか。
わかってはいるけれど、ふたつの価値観の中で、揺れている。



”お父さん、お仕事、がんばって!”

子供の視線に、自然と姿勢が、ぴんとして。
どうやら、りんちゃんには、お父さんが、みどり銀行の社員だとか、
洋食屋の皿洗いとか、そいうことは、関係がないみたい。

”オレは、娘に、愛されている”

だれかに、無条件に受け入れられることで、強くなれる。

”仕事も大事だけど、子供も大事”

自分の人生も大事だし、いっしょに生きる人も、大事。
だから、そのふたつを叶えるように、妥協したくない。


”心配してくれて、ありがとう”

やっと、心の平穏も、取り戻せて、人に優しくなれて。


わたしは、いつになったら、その平穏と幸せを、
手に入れることが、できるのだろうか?



追伸

”わたしの未来図に、あなたはいない。もう、愛することは、ない”

かなこさんの気持ちは、とても、固いみたい。
それは、女として、よくわかる気がする。


”おかあさんの料理が、食べたいのね。がんばってね”

違う、かなこさん。りんちゃんは、そんなこと、思っていない。


いけないよ、かなこさん。それは、いけない。
憎む気持ちも、わかるけど、その人は、りんちゃんの、お父さんだよ。
あなたが、一時でも、愛して、夫とした人なんだよ。

あなたの夫は、変わったよ。ほんとうに、変わったよ。
もちろん、それでも、ダメ、っていうのも、わかるけど、
でも、誤解のまま、憎みつづけるのは、あなたのためにも、よくないよ。

憎しみが、活力となり、がんばれる人も、いると思う。
でも、一生、自分の娘の父親を、ひどい人だと、思って、生きていくの?


徹朗さんは、もう、あなたとは、切っても、切れない人。
例え、戸籍上は、赤の他人でも、あなたの娘の、唯一の、父親。

いっしょに、住めなくても、いい。
もう、元に戻れなくても、それでも、かまわない。

でも、その憎しみの炎だけは、消して欲しい。

だって、誤解したまま、生きていくのは、かなこさんのためにも、よくないから。
結局、辛い気持ちになるのは、かなこさん、あなただから。


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