Juliet's Diary
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27日。すますま鑑賞後、何気なく、まわしたチャンネルで、そのまま鑑賞。 ”北朝鮮収容所映像特集” という言葉に、無条件で。
驚いた。収容所の映像など、見たことがない。 西側諸国でも、スクープ映像に、近かった。 番組内で、検証作業もあったが、おそらく、ホンモノの、映像なのだろう。
しかし、映像を見て、すぐに、おかしいと、気がつく。 チョルファン氏の本に、記載されていた内容と、大分、違う。 文字と、ダイレクトな映像とはいえ、あまりの違いに、驚く。
隠し撮り、とのこと。(当たり前) それも、通行人を装って、というシチュエーションにも、疑問。 なぜなら、収容所は、人里離れた山奥で、一般人は、近寄ることも出来ない。
収容所の人々も、話に聞いていたより、体格がいい。 チョルファン氏の話だと、やせるだけ、やせて、 体を引きずるように、歩く、と、あった。
しかし、亡命者の方々で、その収容所経験者の話には、驚かされる。 詳しくは、放送を見ていないと、難しいと思う。
が、それでも、苛酷な労働の末、トイレで、子供を早産し、 生まれたばかりの子供を、殺された彼女の悲しみは、想像できると思う。 自分の子供を、汚れきった不潔な場所で、産み落とし、 泣き声を聞いたと思ったら、殺されるなど、全ての女性は、考えもしない。
少ない食料。苛酷な強制労働。不潔な部屋に、押し込められ。 私語すらも、禁止された、人の住むところでは、ない場所。
おそろしい、と、思った。
だが、更に、驚いたのは、 なぜ、わたしが、チョルファン氏の話と、違うと、感じたか。
その収容所は、短期収容用だった。 それより、罪が重くなると、教習所(だったかな?) で、教化所。 そして、最も、恐ろしい、”政治犯収容所”は、ほとんどが、終身。
チョルファン氏が、収容されていたのは、政治犯収容所。 短期とはいえ、あの映像は、それでも、まだ、マシなのか(あの地獄で) だから、なんだか、映像に、違和感が、あったのだ。
このHPに、長く、来て頂いている人には、もう、何度も、お伝えしました。 しかし、それでも、何度でも、言います。
一度で、いいです。図書館でも、かまいません。
くどいようですが、知ってしまった者には、見過ごせないことが、ある。 それは、知ってしまった者の、義務なのかもしれません。
ぜひ、一度で、いいです。 図書館でも、人から借りてでも、なんでも、かまいません。
同じ空の下。日本から、飛行機で、数時間の場所に。 夜明けを恐れ、そして、明日の朝日を、信じることができない人が、いる。
ぜひ、一度、お読み頂ければ、幸いです。
北朝鮮脱出〈上〉地獄の政治犯収容所 文春文庫 姜 哲煥 (著), 安 赫 (著), 池田 菊敏 (翻訳) 価格:¥619
北朝鮮脱出〈下〉氷上の逃走 文春文庫 姜 哲煥 (著), 安 赫 (著), 池田 菊敏 (翻訳) 価格:¥543
追伸
その本との出会いは、確か、23の時。 会社帰りに寄った、本屋で。
友人が、在日であることは、知っていた。 だが、彼は、自分が、朝鮮籍であることを、7年も、教えてくれなかった。 てっきり、韓国籍だと、思っていた。
なぜ、隠していたのか、知りたくて。在日の本を、数冊、読んだところだった。 そして、伯父から借りた、1冊の本。 北朝鮮の、普通の亡命者の、生活記録も、読み終えたばかりだった。
”北朝鮮脱出”
最初は、小説かと、思った。 だが、亡命者の、手記であることが、明記されていた。
”どうしようか・・・・”
財布の中は、1000円しか、なかった。 他に、興味を持った、くだらない本も、あった。
他の本を持って、レジへ向かう。 だが、本棚から、あの本が、自分を、呼んでいるような気がした。
"ボクの声を、聞いて!!”
本から、そんな声を、感じたのは、初めてで、思わず、振り返る。
じっと、その上下巻を、見つめる。 合計しても、1000円で、買えるはず。
”本に、呼ばれるなんて、こりゃ、運命だな”
苦笑しながら、持っていた本を戻し、その2冊を。
だが、その日は、埼京線が、遅延していた。 これ幸いと、買ったばかりの本を、読み開く。
だが、それは、車内で読むには、あまりに、壮絶だった。 本を持つ手も、震えるほどに。思わず、本を、放してしまいたくなる。 1時間以上の遅延が、まったく、気にならないほどに。
家に帰って、食事もとらずに、一気に、読んだ。 幸い、週末の金曜で、翌日、会社は、休みだった。
本に、呼ばれた経験は、コレ1度きり。 まさに、わたしにとっては、運命の、1冊でした。
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