箱の日記
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遠く、あたたかい
僕に向けられたのだか、そうでないのだかよくわからない気持ちで 映画を見ていた 見たことのあるような木々や鳥が現れては 消えていった もはや 誰のためのものでもなかった そこにあなたがいて 息を白くして 凍り付きそうな掌をあたためようとしている あなたを愛するすこしばかりのものたちが あたためようとする あなたは愛するすこしばかりを あたためようとしている 映画は途中で終わっていた それは僕のためでもなく 映画をつくったひとのためでもなく カタカタととぎれたフィルムの端が回り いつまでも座って見ていた
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