コハルビヨリ
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「好き」
T君と一緒に短い時間眠って、起きようかどうしようかというとき。 そんなことを言われた。
でも “私も”とはとっさにいえなくて。言い切れなくて。 うれしい、とだけ答えた。
だって、たぶんつきあえない。遠いもの。 一緒にいたら楽しいけど。会いたくなるけど。 腕の中でどきどきしたりするけど。
「好き」以上のことを言わなかったのは、 T君もたぶんそう思ってるからだろう。
そして。言い切れなかったもうひとつの理由。
なんだか気になる人がいる。かも?
彼に、“おじいちゃんが死んじゃった”とメールした。
次の日、電話がきた。 免停中で自転車通勤してるらしい。 そしてまた太ったらしい。 「お前の好きな体型じゃなくなってきたよ。 見ないほうがいい。」
葬儀屋の男の人がぱっと見は私好みだったことを話したりしてたら 「お前にはおじさんになりかけくらいの人がいいよ」 と言う彼。それって君のこと?
でも もうおじさんっぽいのはいやなの! 年の近い、ちゃんと若者がいいの私は! と言い張ってみた。
なんだかどんどん普通になっていく。 家族の声を久しぶりに聞くのと似てると思った。
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