コハルビヨリ
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帰ってきました。
お通夜の終わった晩、お酒飲みながら なぜかお父さんに「ふたりに気に入られたらどうする?」と相談。 「俺はそんなにもてたことないからわかんない」そうな。
もてるわけではないけど…。 気に入ってもらえる理由はお父さんにはナイショ。 隙を作って“落とせるかも!”と思わせることだなんて…いえない…。
お前の思い過ごしじゃないのか?とも言われたので そういうことにします。自惚れません。 思わせぶりな感じで終わってください。
私の思い過ごし!よし!みんなでわいわい飲むぞ!
もう呼吸をしないおじいちゃんの顔を見ては そのたびに泣いていたけれど、 がまんしながら安らかな寝顔のおじいちゃんを絵に描いた。 最初で最後の、恩返し。 生きてる間にすればよかったよね。 ごめんね、おじいちゃん。
おばあちゃんが、おじいちゃんの思い出を話す。 あまりに淡々と話すから、余計にせつない。
お見合いで結婚して、50年以上も一緒に過ごして。 いつもちいさなケンカしながら、 でもちょっとずつ思いやりながら。
恋愛の時期があったのかはわからないけど、 その50年を一緒に歩んできたのは事実で、 その時間は確実にふたりが共有してきたもので。
夫婦が最期まで一緒にいるって、 小さい頃は普通のことだと思ってたけど今ではすごいことだとわかる。
いきなりそういう二人になれたわけではなくて、 たくさんの時間が、出来事が、思いが、そうするんだろう。
最期に立ち会えなかった私に 「最期の顔は思い出して辛いからあなたは見なくてよかったのよ」 と言ったおばあちゃん。
さみしくなっちゃったね。
彼のおじいちゃんが亡くなったとき、 落ち込んでる彼になんて言えばいいのかわからなかったけど、 今もなんて言ったらよかったのかわからないけど、 でも彼のそのときの気持ちは少しわかった気がする。 たぶん、何かを言って欲しかったわけではないことも。
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