えがにき
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2002年12月29日(日) |
『チョコレート』"Monster's Ball" |
『ソードフィッシュ』(ジョントラボルタ主演)に出ていた綺麗な女優さんがアカデミー賞をとった映画なのね。という認識のみで女2人で観に行く。
会社帰り。雨が雪にかわり、そんな中自転車で傘をさしながらようやく待ち合わせ地点まで。時間がないので急いで目の前にあるお店に入りサラダもとらずにパスタを注文。モクモクと食べながら「これってどんな話?」と互いに言い合い「知らない」と互いに返答し合う。ただでさえ寂れた映画館。平日の雪降り、ともなればお客の入りが気になる。「うちらだけかもしれないよ、わはは」と言って向かった先にはちゃんと映画ファンが鎮座。映画ファン万歳。
本編始まっていきなり始まった乾いたXXXシーンにオドロキ固まる自分。この地点でこれから観て行く上の覚悟も固まらせる。シリアスでシビア。
固定観念で固まった理不尽な父親。愛されたいと叫ぶ息子。その間を埋めるものは何もない。愛すると言うことを知らない父親、いびつな方にはめられて息をすることも忘れたそのこころ。そして崩壊。大事なものを失ってからもぎこちなく、隔たれたままの精神。そして、はじめて周囲に触りはじめる。自分の手で。その感触によって息をし始めようとする。男は自分の力で泳ぎはじめる。息ができる。ひと泳ぎして帰ってみると、家には父親がいるのだった。父親にもさらにその父親がいて連なるもの。
なくしていく時に世界は薄まってゆく。以前の半分以下の空気を吸って吐いている。世界に膨大な欠損があるのにそれに気がつかないでその他が動いている。空白と世界のバランスを独りで持ちこたえようとする。水面下でのとてつもない努力。
空気が煤けていてワントーン暗い。泣いた後のような気持ち。
チョコレート(食べもの)は大好きなのです私。見終わってチョコレートアイスクリーム買って帰りました。無言で食べました。
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