どこでだったか忘れたけど、 読んで気持ちのいいことを書けば、 好印象を持ってもらえて、長く読んでもらえる、 というような文章を、目にしたことがあるような気がする。 確かに、それは誠実であり、思いやりのあることだとは思う。 でも、残念なことに、わたしは寂しくてもいいから、 好印象も要らないし、気にしてまで人に読んで貰いたいとも思わない。 なんの利害も、味も素っ気もないのだ。 で、そのイヤなことなんだけど・・ わたし達が今、住んでいるマンションはATUが独身の時に ずっと、一人でも快適に暮らしていけるように、と コツコツ働いて貯めた頭金と将来を犠牲にして組んだローンで 手に入れた部屋で、どちらかというと軽い気持ちで買ったものだ。 ここなら静かだろうと、マンションの一番端にある角部屋で すぐ隣は、小さな小さな公園になっている、 階下は、ベランダの前に広がる駐車場への通路になっている物件を選んだ。 ところが、この夢のマンションがとんでもないしろものだった。 6年位前のことから書いてみる。 まず朝は、我が家の北側の窓の下にあたる、駐車場の出入り口になっている ところの少し道路側が広くなっていて、そこに幼稚園の送迎バスが来る。 送ったまま始まる井戸端会議に、この下の空間が格好の隠れ場所になる のか、多い時は10人程がたむろしていた。 ひそひそ話すならまだしも、まだ若いお母さん達は、大はしゃぎだった。 しかも、それは北側の窓がうるさいだけでは済まなくて、 階下の通路を通してベランダからと、床下からも聞こえてくるのだ。 それもトンネル内でのように反響しながら・・・ 窓が薄いからかサッシを閉めても余り変わらない。 床からも壁からも聞こえてきていた。 午後になると、今度は脇の公園に子供達が集まって来た。 我が家の台所のちょうど横に滑り台があるので そこに登ってはしゃいでいる声が、家の中にいるかのように聞こえる。 おまけに金属でできた滑り台なので、ワンパクして おもちゃでもぶつけようものなら銅鑼でもたたいたような音を立てる。 そして、こんどは午後遅くなると高学年の男の子達が下の通路に来た。 5人程の男の子達がサッカーボールを蹴りまくるのだ。 我が家の床下は、恐ろしい程の騒ぎになった。 まるで、フライパンの上に住んでいるようだ。 居ると分かると、もっとやられると思って息を潜めていた。 別の日には、なんの音かと降りてみればローラースケート、 スケートボード、インラインスケートなんとポンピングまであった。 滑るところがないのだろう事は分かる。 だったら、総合公園にでも連れて行けばいいのだ。 ここ以外でできない。といってこちらを恨むのは筋違いだ。 夜中にになると、今度はどこからか若者がタバコを吸いにやってくる。 たむろしてヒソヒソやっているけど、笑い声はそうは押さえられない。 床から這い上がってくる人の気配は、何とも気持ち悪いものだ。 雨の日には、雨に濡れないように、下の通路で車を停めて乗り降りする。 ドアの開け閉めが床を伝わってビックリする。 頭の上がボンッとなることもある。 これが、多い日では一日15回はあった。 我が家では、遠くの駐車場から重い荷物持って濡れて帰っているのに・・・ この真下ではなく、少しずれて外で乗り降りすれば、ドアの風圧も 少しは和らぐのだけど、外がイヤな訳だから、この下しかないらしい。。 ここの立地というのが前にも脇にも、公園があるので 見ているだけでは勘違いしやすいのだろう。 公園から駐車場までが、大きな遊びエリアだと 誰かが勘違いしているのだろう。 親がたむろせば、子供は必ず、そこで遊ぶだろう。 人が住んでいるなんて、思ってもみないのだろう。 鉄筋の建物が、まさかこんなに音を拾うなんて誰も想像できないから 若者達は渋谷や新宿のガード下のつもりで集まってくる。 交番に連絡しても、夜中の1時に高校生がタバコ吸っているというのに 名前も聞かずに帰っていくお巡りさん。誰も頼りにできない。 おかげで、その夜、住民のポストに火が入れられたのを防げなかった。 せめて、あの時名前を聞いてあれば、その子達だったのか 別の犯人だったのか調べることだってできたかも知れないのに。 今は随分と静かにもなったし、嫌がらせも少なくなった。 深く考えずにやめてくれと言った為に、嵐のような無言電話、 投げられた砂、ボール、枝、ピンポンダッシュ。 今も続くシカト。 なんで、やめてくれと言うギリギリの言葉に、ここまで反発するのか? 時の経過と共に、嫌がらせをしていた奥さんが離婚していなくなったり、 井戸端会議のグループの子供が学校へ上がったり 子供の成績が悪くて、大きな態度ができなくなったり いろいろな変化で解体していったように見える。 何年か前には、下の通路の横に住む独身の居住者の人と一緒に交渉して、 階下の通路には「遊んではいけない」という看板も付けてもらった。 我が家だけでは、マンション全体の自治会は全く相手にしてくれなかった。 その人が発言して初めて、聞き入れてもらえた苦情だった。 でも、もっと変なことは、入居する時に分かっていただろうに その通路の横に住戸があると、誰も思っていなかった事である。 その独身の人は、ずっとずっと、住人扱いされずに耐えてきていたのだ。 ベランダに子供が入り込んで、かくれんぼしたり、 窓から顔を突っ込んでワンパク共が罵声や奇声を浴びせたり、 食事中でも目の前を人が通り過ぎたり、という 傍若無人、に誰も耳貸さなかった事に耐えてきたのだった。 病気の人も、受験の人も、夜勤の人も、元気な人も、大人しい人も いろんな人生があるはずだ。 みんな高いお金を払って住んでいる住人だ。 買うということは、とても重いことな筈ではないのか? 階下の若者達の件も去年の夏に1階の住戸に不審者が入り込んだ事件が あってから、周りがいくらかは納得するようになったような気もする。 我が家だけが異常なわけではないだろう・・・ 結局、何か言うと他人の子を不良呼ばわりする、と言うことになるようだ。 実際に不良でも、不良呼ばわりされると将来に関わるから止めて欲しい。 ということらしい。 自転車のサドル盗もうと、火を付けようと不良呼ばわりは困るのだそうだ。 というように、この場所に対する、異常な執着は怖いくらいのものだった。 どうして、ここに来たいのか理解に苦しんだ。 わたし達が住んでいるのに、車に乗る以外なんの用があるのだ? 車の通路なのに、ここで何がしたいのだ? 建物自体も上階のドスドスという音に耐えかねることもあるけど これは生活音なので、今日書いたこととは又少し違う事だ。 今もマンションの周りは不法駐車だらけで 警察は何も関知しないので、やりたい人がやりたいようにやっている。 思い通りになんかいきはしない、けれど、 もうすこしどーにかならないのか? きょうだって3年生くらいの女の子が3人、階下通路で 靴にローラーがついてる、最近流行っているので遊んでいた。 これでも、カコンカコンズーッガタガタと鉄筋の音が喧しいのだ。 注意したら、もの凄い顔でじーっと睨んでいた。 わたしは悲しくなった。 こんなに年端もいかない子が、ちょっと注意されたくらいで あれだけのもの凄い形相で人を睨むということが とてもとても悲しくて、情けなかくて、恥ずかしかった。 マンションの子じゃないという。 ほんとかウソかは、これまた分からない しかし、なんで、そんな顔で睨めるんだ! この子達の担任でなくて、本当に良かった。 先生をやっていなくて、本当に良かった。 小学生以下の子供が居なくて、本当に良かった。 十代の子供が居なくて、本当に良かった。
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