カンラン 覧|←過|未→ |
今回の旅は台風のお供なしで。 昨夜遅くまで仕事をしていた友達からも, 「自然に目が覚めたよ。ちゃんと迎えに行くからね。」と 朝イチメールをもらう。 羽田まで来てもらえるようなので, とりあえず首都圏路線図ハンカチは 大きなバッグのポケットに忍ばせててよさそうだ。 家を出る間際まで着てく服について悩む。 考えてたのを着てみて,ふと思うところがあって違うのを着てみる。 しばらくしてまた元通りに着替えてみたくなる・・・。 ブラック・ホォル。 むこうの気候はどんなんだ。 大して変わらないような気もするし,こっちよりか寒いような気もする。 結局は考えるのが面倒になってTシャツに上着を羽織って出掛けることにした。 広島空港にてあれこれおみやげを買い込んでから荷物を預けたが, カメラも中にいれてたことに後から気付き, ちょっとばかし心配になる。 どうかご無事で・・・。 羽田に着く間際,ディズニーランド及びディズニーシーが窓から見えた。 今回の旅ではディズニーシーに行くとかそんな提案が出されていたけど, 生まれてこのかたディズニーと慣れ親しんだ過去を持たない私・・・。 一瞬浮かんだ妄想に不安になり,思わず鳥肌。 ただならぬ違和感。 「エスちゃん,死ぬまでに一度は・・・。」と つぶやく職場の先輩の顔に平謝り。 羽田に着いたと思ったら, 弱小地方都市広島からの便てば,空港ビルディングからほど遠いところに止まる。 バスに揺られて空港の中をぐるぐるまわる。 橋なんてものまで渡るの。 それから荷物を受け取ったりしてたら, 到着時間前からロビーで待っててくれた友達を長い間待ちぼうけさせてしまった。 5年ぶりだというその友達は(私はそんなに経ってるかなぁと思う。), 私が出てくるなり立ち上がって笑顔でむかえてくれた。 そんなに変わってない。 ちょっと安心。 「あんただけはちっとも変わらんね。」と いつも言われてばかりの私は, 友達が妙に大人(実際大人なんだけども。)な雰囲気を漂わせていたりしたら どうしよう・・・と多少心配していたからだ。 彼女の部屋に着くまでの移動の間は, 大きくてきれいな電車内の様子を首をぐるぐるまわして眺めていた。 なるほど。 空港連絡線とだけあって, 荷物を置くスペースがあったり,席が変な配列になってたりする。 いなかものには感心させられる合理的な設計だ。 ていうか,いつの間に電車に乗り込んだのか記憶が微妙なのが一番の驚き。 そのぐらい空港からの電車の乗り継ぎはスムースだった。 その後何度か乗り継いで彼女のお部屋へ。 大通りに面した都会のマンションからは案外緑がたくさん目に飛び込んでくる。 ここに来て,私の東京のイメージは深緑だ。 季節のせいかも知れないけれど, やわらかな緑や光を通す黄緑ではなく, 深い緑。 強い緑。 都会と共存する力強さゆえ? そんなことを考えていたら,冷たいお茶を出され, それと同時に強烈な喉の渇きをおぼえて,めずらしく一気に飲み干した。 思い出話と近況報告の入り口に立ったぐらいのところで部屋を後にする。 少し遅めの昼食を食べる。 街の名前や店の名前は・・・覚えてない。 頭は必死にまわるのだけど,あまりの情報の多さについていかないみたいだ。 メニュウを見て,3種類のデリがメインとなったランチ・セットを頼む。 即座に決めた私を見て, 「エス,それどんなのかわかってて頼んでる?」と心配がるけど, これぞまさに(多分。)旅人の強みだ。 別名:勢い。 案の定,おいしくたいらげた。 それから古着屋めぐりであちこち連れまわしてもらって, 夜は8時頃,予約してもらってたきれいなお店でご飯食べる。 大通りから少し入ったところの黒が基調のガラス張りのお店だ。 私達のそばでは黒いパンプキンたちがその炎をゆらりゆらり揺らしてて, お酒の入って気持ちの良くなった頭から記憶を いもづる方式で手繰り寄せては懐かしむ。 私は意外と人の名前を覚えているようだ。 同じクラスになったことのない人,一度も喋ったことのない人。 「顔はこーでさ,服はこんなで。あの人なんて言う人だっけ?」といった 友達のいい加減な描写でも結構答えられちゃったりしちゃって, その日私はたくさんの眠っていたものたちを吐き出したような気がする。 次から次へと。
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