また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)
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2004年05月14日(金) |
ロンドンで盲腸の手術をする(5) |
案内された個室はすごくきれいな部屋で、完全看護の一人部屋いう感じ。部屋には専用のバス・トイレがついていて、しかもぴかぴか。窓際には小奇麗な一対の青いソファーに小さなテーブル。なんとも居心地の良い部屋だ。どうしたら良いのか戸惑っていると、看護婦が現れてにこにこしながら話しかけてくる。、
看 「今夜手術するんですか?」 俺 「え? いや、まだわからないんですが、、、 だって診察してもらわないといけないでしょう?」
この間、何人かの看護婦や看護士が入れ替わり様子を見に来る。みんながおんなじような質問をする。
「手術は今夜? それとも明日?」 「手術を受けるのは心配ですか?」 「心配しなくて大丈夫ですよ。すぐ済みますから。」
などなど。基本的にイギリスのシステムを信用していないので、金を取られた上に診察もせずに手術するつもりかと言う気がしてくる。しかし、ここの人達はみんな笑顔がさわやかで、使う英語も上品。しかも文句の付けようがないぐらい親切であたたかい。イギリスで、しかもロンドンでこんな状況があることが異常。それが俺を不安にさせる。
こちらはあまり状況を把握できず、頭もぼーっとしているので、流れにまかせることにする。いかにイギリスといえども盲腸でない患者に盲腸の手術はしないだろう。
そうこうするうちに背広を着た怪しい中東系の二人組のおじさんが登場。いきなりの登場に何が起こっているのかぜんぜんわからない。二人組のうち年配な方の一人はやたらと陽気で、いきなり大きな声で片言の日本語を話し出す。
男 「ハジメマーシテ」 俺 「・・・?? あ、どうも、、、。」
俺は状況がわからず頭のなかが大混乱となる。この人たちは何者なのだろうか? また別の集金部隊なのか、何かをチェックしにきたのか、すべてが謎。
俺 「すいませんが、、、。ハッキーム教授はいつ見えるんですか?」 男 「私がハッキームです」 俺 「え? あー、あ、そうですか、それは失礼! じゃ、これから診察ですか。」 男 「そういうことです」
やっと診察が始まる(と言うか「手術の前に診察がある」という)ことに安堵を覚える。教授は一時部屋を出る。残された若い男は研修生といった感じだろうか。
俺 「彼はなんで日本語をしゃべるの?」 研 「ああ、あの人は何語でもちょこっとずつ話すからね」 教授が戻ってくる。ベッドに横になり、服を脱いで腹を見せるようにいわれる。何回か腹を手で押してみる教授。うーん、いたい。
教授 「はい。すぐに手術ですね」 俺 「ということは、先生の診断も盲腸ということですね」 教授 「そういうことになりますね」
こうしてやっと診察が下った。にしてもこの先生やたらと陽気。大きな声で、しかもいきなり日本語で
「だいじょーぶでーす」
と言い出したり、、、。俺も頭がぼーっとしていたので、果たしてその日本語が結果的に俺を安心するように作用したのか、不安にさせたのか、今考えても判断を下しにくい。
いずれにせよ、今夜手術が行われることになったらしい。
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