月。
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2002年03月15日(金) 桜の木の下。

逢いたかったヒトに逢えた
もうすぐこの土地を離れてしまう彼だ

「金曜日の夜、仕事が終わったら行くから」

そんな約束を前日の電話で交わして
私は一日中ドキドキして過ごしていた

ほんとうに来てくれるのか?
当日、トラブルが起きたりして
仕事が終わらないんじゃないか?

そして

・・・どうして来てくれるのか

ぐるぐる考えながら
フワフワと待っていた
もうすぐ今日が終わってしまう
もう来ないと思っていた
メールが入る

『今、馬喰横山。着いたら、連絡するね。』

嬉しかった
やっと逢えると思った

あのヒトは
普段は、戸惑うくらい
丁寧に接してくれるのだけれど
酔うと仲良しの男友達のようになる

頭をポンポンってして
よしよし、よく頑張ってる
ギュウって

そういう扱い方をされるのが私はとても好きだ

本当は
話すつもりなんてなかった
ほんとうのことを話した

あのヒトは

ポンポン
よしよし
よく頑張ってる
あんまり頑張り過ぎるな
ギュウ

私を抱き締めてくれた
嬉しかった
コドモみたいに泣いてしまった


明け方、彼は大切な人のいる家に帰って行った
たぶんもう二人きりで逢うことはないと思う

別れ際に
彼は私の頬にそっと触れ
頬に指先の感触だけ残して
帰って行った

これ以上あのヒトに近くなっても
何も変わらないし、変えることは出来ない
出逢うのが遅かったんじゃない
このタイミングが彼と私に用意されていたもの

そう思った


彼を見送ってふと見ると
家の隣の細い桜の木が花を咲かせていた

綺麗だった
あの風景を忘れたくない
と思った


杏 |MAIL

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